本日のお悩み
男性介護士です。先日女性利用者から爪切りのケアの介護拒否を受けました。
上司の報告しても「なーんだ爪切りか」と言われ、軽く流されました。
私はどうしたら良かったんでしょうか?
介助拒否はなぜ起こったのか?6つの視点で確認してみましょう
ご質問ありがとうございます!
爪を切れなかったことはもちろん残念ですが、上司の方に流されてしまった事の方がよほどおつらい印象です。
『きちんと対応方法や助言をして下さいよー』と、ついつい言葉に出てしまいそうな場面ですが、『なーんだ爪切りか』と一蹴されてしまうと、困惑とショックで固まってしまいますよね。
上司の方も悪気があってそのような伝え方をしたわけではないと思いますよ。
恐らく、『気にしないで、他のスタッフにも任せて大丈夫ですよ』と伝えたかったのだと思いますが、言葉の選択を誤ってしまったのかもしれませんね。
次に同じような返答があった際には、具体的な対応について伺ってみてくださいね!
■介護職員が行う爪切りについて振り返りましょう
それでは、ご質問にお答えいたします!
初めに、振り返りとして介護職員が行う爪切りについてお伝えいたしますね。
現場でも、医療行為なのかと迷ってしまう介護職員さんも少なくなかったりしますからね。
平成17年厚生労働省から提示された「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」によると、医療行為ではないとされている項目の中に、限定的に記載されていますね。
内容としては、
『爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚にも化膿や炎症がなく、かつ、糖尿病等の疾患に伴う専門的な管理が必要でない場合に、その爪を爪切りで切ること及び爪ヤスリでやすりがけすること』
と明記されています。
という事は、全ての爪切りができるわけではないという事ですね!
こちらを踏まえたうえで、ご質問にお答えさせていただきます!
■介助拒否があったときに確認したい、6つの視点
①これまでそのご利用者が爪切りを拒否されたという事はありませんでしたか?
これまでの爪切りの経験において傷つけられてしまった経験があり、痛い思いをされたことがある方ですと、爪切りに限らず嫌がってしまう事がありますよね。
これまでそのような経験をされていないか調べたり、ご本人に伺ってみると良いと思います。
その様な事実があった場合は、看護職員に対応してもらった方が、ご本人も安心される可能性はありますね。
質問者さんが実施する場合にもポイントがあります。
ご利用者の方に、『この人は爪切りが上手い人』という事を認識していただけると、スムーズに爪切りができる事があります。
あえて指先や爪を現認しながら、自信たっぷりなネイリストの風格をだされてもよいかと思いますよ!
②拒否されたのは初めての事ですか?
これまでその方の爪を切ったことはありますか?
もしこのご利用者さんの爪切りが初めての場合、ご本人が質問者さんの事を理解できておらず、不安になってしまった可能性もございます。
この際にも、丁寧に自己紹介から初めて、自信たっぷりのネイリストの風格を出しながら、ご本人の爪の状態のアセスメントから始めてみてください!
③爪を大切にしている利用者さんではありませんか?
女性の方で、爪を大切にされている方ではありませんか?
ご本人の好みの長さがあるのに、以前切られてしまったときにとても短くされ、不満に思っている場合も拒否をされてしまうことがあります。
この場合にも、①②の対応で、しっかりと仕上げの長さを確認してから実施すると安心して任せてもらえるのではないでしょうか。
④職員を煩わせたくないという気持ちから、他の介助でも拒否がある方ではありませんか?
スタッフの手を煩わせたくないという気持ちから、拒否をされる場合も少なくありません。
そのような場合には、業務の作業としてではなく『私は○○さんの爪を切って差し上げたいと思っています』と笑顔でお伝えください。
穏やかな笑顔と声色で、ご本人を安心させてくださいね。
⑤当日の利用者さんの体調はどうでしたか?
その日の体調がたまたま悪かったという事はありませんか?
めまいがしたり倦怠感が強いと、爪切りさえもおっくうに感じられてしまう場合もあるかと思います。
表情やバイタルを確認し、体調の確認をしてみてください。
体調がすぐれない場合には、別の日に振り替えるなどの対応をしましょう。
何故切りたくないのか、ご本人に直接伺うのが良いと思いますよ。
⑥たまたま気分が乗らなかった可能性はありませんか?
私達もありますよね。今は気分が乗らないとき!
そんな時は、やむなしです!そんなこともある!ある!
1日延期しても、爪はそんなに伸びませんからね!明日にしましょ!
■最後に
拒否されてしまう事が毎回続く場合には、必ず理由があるかと思いますので、その理由を探ってみてください。
ご利用者の不安な気持ちが、介助を断る原因になっている場合が多いですからね!
ご質問ありがとうございました!
・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士