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「家族に電話をかけて」という認知症の利用者さん。どう対応すればよかったの?

「家族に電話をかけて」という認知症の利用者さん。どう対応すればよかったの?

【回答者:古畑 佑奈】「なぜ、電話をしたいのか?」を探ってみましょう


本日のお悩み

グループホームに働き出して約2ヶ月たちました。
仕事にも慣れて来たのですが、認知症の利用者さんから「家族に電話をして欲しい」と言われました。

他の職員から「今日は、出かけてるから、電話を掛けても留守だからと言っておいて」と言われたので
「電話を掛けても、ダメなんです」と言ってその場をしのぎました。
でも、どういう答えをしたら良かったのか、悩んでいます。

アドバイスよろしくお願いします。

相談者:ふみちん さん

「なぜ、電話をしたいのか?」を探ってみましょう

古畑 佑奈

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/19

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

グループホームでお仕事をはじめて2ヶ月、お仕事にも慣れてきたとのこと。
質問内容を拝見し、質問者さんはきちんと利用者さんの様子を観察している方なのだなと感じました。

なぜなら、その場をしのいだときに「もっといい対応があるのではないか」と思って、質問をくださったのですよね。
それは自分が言葉を伝える前、伝えた後の相手の反応を、きちんと観察していたからだと思います。
その「気づき」が今後も非常に重要なので、ぜひ大切にしてほしいです。

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「言葉にできない思い」に注目

さて、質問にお答えすると「こう答えたらいいですよ」という正解は、ありません。

たとえ同じ「電話をしてほしい」という言葉であっても、それを発している利用者さん一人ひとりに理由があります。
家族になかなか会えないから心配なのかもしれない、寂しいのかもしれない。
やることもなく落ち着かなくてそわそわして、誰かと話したいのかもしれない。
なにか欲しいものがあって、連絡したいのかもしれない。

挙げていったらキリがないくらい、考えられることはたくさんあります。

考慮しなければならないのは、認知症の方は必ずしもその「言葉」がご本人の思いすべてとは限らないということです。
言葉にできない思いを「電話かけて」という形で発している可能性も、あるかもしれません。

その方の過去や、生活全体をとらえて考えてみましょう

とはいえ、どう対応したらいいかわからない、困ったな……と思いましたか?
でも実は、その場面で一番困っているのは「電話をかけて」とおっしゃる利用者さんご本人です。

まずは、その方のことをよく知ることからはじめてはどうでしょうか。
その会話の場面だけではなくて、生活全体をとらえて考えてみる。
これまでどんな人生を送ってきたのかをとらえて考えてみる。

そうすると、これまで気づけていなかったご本人の思いが浮かび上がってくるかもしれません。

最後に

明確な答えをお伝えできず、これを読んだだけではもやもやしているかもしれないな、と少し心配にはなりますが、ご不安があったらぜひいつでも質問をお送りくださいね。

これからも、気づきを大切にして続けていただければと思います。

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この記事のライター

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

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