本日のお悩み
有料老人ホームで4年働いています。
勤務時間が4~6時間で週3の勤務形態なのですが、国からの手当ての処遇改善が月1,000円なのです。
他の方に聞くと少ないと言われることもあるのですが、介護職では今の職場でしか働いたことなく、平均なのかわかりません。
どうなのでしょうか?
相談者:スー さん
まずは事業所に確認することから始めてみてはいかがでしょうか
「介護職員処遇改善」についてのご質問ですね。
この制度は非常にややこしく、介護事業の経営者でも理解しにくいところが多いです。
■処遇改善とは?
まずは、この制度について簡単に説明しますね。
介護職員の処遇改善を目的とした介護報酬上の加算のことを「介護職員処遇改善加算」といい、2012年開始の「処遇改善加算」と2019年10月に開始された「特定処遇改善加算」とがあります。
「処遇改善加算」
加算率は加算Ⅰから加算Ⅴまでの5段階あり、事業所の判断で加算を取らないところもあります。
「特定処遇改善加算」
「処遇改善加算」のⅠ~Ⅲの段階に上乗せされるものであり、こちらも加算率は特定加算Ⅰと特定加算Ⅱの2段階あり、事業所の判断で加算を取らない選択肢もあります。
どちらの加算も段階ごとに要件があり、より高い要件を満たすと高い段階の加算が事業所にもたらされるという仕組みです。
つまり、より高い加算率の「処遇改善加算」と「特定処遇改善加算」を得た事業所の職員は、より高額の処遇改善が得られる仕組みになっています。
■処遇改善には分配ルールがあります
加算を得た事業所は、そのすべてを職員の処遇改善に使用しなければなりません。
相談者さんの「処遇改善が月1,000円」とは、働かれる事業所が得た加算の分配の結果です。
ここで大切なポイントは、その事業所で働く方全てが同じ処遇改善でなくてもいいというルールがあることです。
厚生労働省が定める一定のルールを守りさえすれば、個人への配分の自由度はある程度事業所に委ねられています。
また、処遇改善の形も、「一定額を給与に上乗せ」「毎年の昇給の原資に」「賞与に上乗せ」「別途一時金を支給」など、事業所に裁量を持たされています。
また正職員とパートでは異なる処遇となることが多いようです。
■加算の段階と配分ルールを確認しましょう
まず確認すべきは、相談者さんの働く事業所の加算の段階です。
低い加算率の段階であれば、職員には低い処遇改善しかできません。
そして、そのあと確認すべきは配分方法です。
どのようなルールで職員に配分されているかを確認してみてください。
これらの確認はいたって簡単です。
処遇改善の配分方法等に関しては、職員への周知義務が課せられています。
掲示や回覧で毎年確認できるはずなので、自分の事業所が加算のどの段階なのか、自分自身への配分はどうなのかを確認してみてください。
加算取得率(参考)
ちなみに、2020年2月の調査では、「処遇改善加算」の算定率(加算取得率)は
処遇改善加算が93.5%(内訳:加算Ⅰ・75.6%、加算Ⅱ・10.0%、加算Ⅲ・7.0%、加算Ⅳ・0.4%、加算Ⅴ・0.5%)
特定処遇改善加算は63.3%(特定加算I・34.7%、特定加算II・28.6%)となっています。
※「特定」の算定率は「処遇改善加算」のⅠ~Ⅲの中での比率
■まずは情報収集から
これらを踏まえ、自分自身が受け取っている処遇改善額が、高いのか安いかの判断をされてはいかがでしょうか。
参考までに、厚生労働省は「処遇改善加算」では
加算Ⅰは「月額3万7千円相当」
加算Ⅱは「月額2万7千円相当」
加算Ⅲは「月額1万5千円相当」
加算Ⅳは「加算3×0.9」
加算Ⅴは「加算3×0.8」と説明資料には記しています。
「特定処遇改善加算」については、勤続10年以上の介護福祉士に対して「月8万円相当の処遇改善を実施する」という目的であることを添えておきます。
相談者さんが、処遇改善加算の恩恵をしっかりと受けることができますよう、願っております。
福岡福祉向上委員会 代表