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機能訓練指導員とは
■機能訓練指導員の定義
「日常生活を営むのに必要な機能を改善し、又はその減退を防止するための訓練を行う能力を有すると認められる者」と定義されています。※
※出典:指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準 第二章 人員に関する基準
■機能訓練指導員の役割と重要性
機能訓練指導員の役割は、利用者さんの生活機能の回復や減退防止を目的として、機能訓練を提供することで、利用者さん一人ひとりに対して適切な訓練をおこなうよう、機能訓練計画表を作成しています。
介護人材の不足が懸念されている昨今、生活機能の維持・減退防止を目指す機能訓練指導員の役割は、介護予防や社会参加の促進に繋がることが期待されており、今後もますます重要性があがっていく職種であると考えられます。
■機能訓練とリハビリテーションの違い
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大きな違いとしては、実施の目的と、実施者です。機能訓練は体操や歩行練習、筋力トレーニングなどを通じて、現状の身体機能から改善や減退の防止を目指していただくことが目的です。機能訓練指導員が利用者さんの要望などを聞いたうえで作成する機能訓練計画書をもとに進められます。
一方で、リハビリテーションは医師の指示のもと身体機能の維持や回復を目的に実施します。医師からの処方の有無が大きく異なる点です。
機能訓練指導員になるために必要な資格とは?
■必要な資格一覧
2.理学療法士
3.作業療法士
4.言語聴覚士
5.柔道整復師
6.あん摩マッサージ指圧師
7.鍼灸師
■各資格の取得方法と仕事内容
●1.看護師・准看護師
機能訓練指導員として働く、看護師や准看護師は、資格取得や業務で身につけた知識や技術を活かして利用者さんの健康状態の管理や、病気やケガの予防に関する業務にも携わります。機能訓練に関する知識は、看護の業務だけでは身につかないため、働き始めてから経験を積む方も多くいらっしゃいます。
●2.理学療法士
機能訓練指導員として働く理学療法士は、医学的なリハビリテーションに基づき、高齢や疾患、ケガなどの理由でなんらかの運動機能の低下が見られる利用者さんに対して、運動療法や物理療法(電気や温熱)の知識を用いて機能訓練を行います。また日常生活における運動や動作の機能改善や症状悪化防止、疾患予防を目的とします。
●3.作業療法士
機能訓練指導員として働く作業療法士は、入浴や食事などの日常生活動作や手工芸、園芸・レクレーションなどの創作動作を用いる作業療法の知識を活かして、精神的および身体的な機能訓練を行います。
●4.言語聴覚士
機能訓練指導員として働く言語聴覚士は、話したり、聞いたり、食べたりといった動作に対して機能低下が見られる利用者さんに対して、それらの機能回復を目指す訓練を行います。
●5.柔道整復師
柔道整復師は、骨折や脱臼、捻挫、打撲などのケガに対して、整復・固定などの手技のみで機能回復を目指す専門資格です。機能訓練指導員として働く場合は、これらの知識を活かして利用者さんの日常生活で必要となる機能維持のための機能訓練を行います。
整骨院や接骨院で高齢者の対応の経験などがある場合は、高齢者の多い事業所での採用において有利になることがあるでしょう。
●6.あん摩マッサージ指圧師
あん摩マッサージ指圧師は、指圧などの手技で肩こりや腰痛などの身体の不調軽減する専門資格です。機能訓練指導員として働く場合は、これらの知識を活かして機能訓練を行います。 高齢者の対応の経験などがある場合は、高齢者の多い事業所での採用において有利になることがあるでしょう。
●7.鍼灸師
鍼灸師は、鍼灸の技術(はりやきゅう)を用いて、身体の不調を軽減する専門資格です。 機能訓練指導員として働く鍼灸師は、鍼灸の知識を活かして利用者さんの生活機能の回復や減退防止をおこないます。
ー鍼灸師は平成30年から機能訓練指導員に!
鍼灸師が機能訓練指導員になるには、他の資格と異なり、鍼灸師以外の機能訓練指導員がいる施設で半年以上の実務経験を積む必要があります。※
※出典:厚生労働省 通所介護等における機能訓練指導員の確保の促進について
機能訓練指導員の仕事内容

・機能訓練の実施
・訓練の経過観察と評価、見直し
・他職種との連携
■利用者さんの評価と計画作成
評価をもとに、利用者さん本人やそのご家族の意向、ケアマネジャーが作成したケアプランの情報なども加味しつつどのような訓練を行う必要があるか個別機能訓練計画書を作成します。
■機能訓練の実施
訓練の内容は利用者さんの状態に応じて異なり、個別で実施するか集団で実施するかも状況によって異なります。いずれにせよ、利用者さんが自信をもって日常生活を送れるようサポートするという目的は共通です。
■訓練の経過観察と評価、見直し
個別機能訓練計画書は、3ヶ月に1回見直しが必要とされているため、定期的に利用者さんやご家族、ケアマネジャーとコミュニケーションをとるよう心がけ訓練計画を作成する必要があります。
■他職種との連携
また、各職種との連携を通じて効率的なケアを提供し、利用者さんの生活の質を向上させるためのサポートを行います。
機能訓練指導員が働く場所と配置基準
その中でも、以下の施設においては、機能訓練指導員の配置が1名以上定められており、超高齢社会を支えるうえで、機能訓練指導員の需要は高まっていると考えられます。
・短期入所生活介護(ショートステイ。介護予防含む)
・認知症対応型通所介護(認知症デイサービス。介護予防含む)
・特定施設入居者生活介護(介護予防及び地域密着型含む)
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム。地域密着型含む)
参考:厚生労働省 機能訓練指導員の定義、基準上の要件 P.16
機能訓練指導員に向いている人とは?
■機能訓練指導員に求められるスキル
・コミュニケーション能力
・訓練に対するスキル
・柔軟な対応力
●観察力
●コミュニケーション能力
●訓練に対するスキル
スキルがあると認められると、採用や昇級においても有利になる場合があります。
●柔軟な対応力
そのような状況において、落ち着いて柔軟に対応する力は機能訓練指導員として重要です。
■機能訓練指導員に向いている人の特徴
・体力があり、健康な人
・根気強く、明るい人
・向上心があり、常に学び続ける意欲のある人
●人と接することが好きで思いやりがある人
そのため、相手の立場に立って物事を考えたり、相手に寄り添えたりする人は機能訓練指導員の仕事に向いているといえるでしょう。
●体力があり、健康な人
また、機能訓練中は長時間立ちっぱなしとなることもあるため、体力があり、健康な人は向いていると言えるでしょう。
●根気強く、明るい人
●向上心があり、常に学び続ける意欲のある人
一人ひとりに寄り添った訓練を行うためには、新しい情報や技術を積極的に学び、常に自身のスキルアップを目指せることが求められます。
機能訓練指導員の平均給与
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上記グラフは、厚労省のデータをもとに介護職の平均給与を比較したものです。機能訓練指導員を含む「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・機能訓練指導員」の平均給与は35万4770円です。医療的な国家資格を持つ人が、機能訓練指導員になることができるため、一般的な介護職の給与と比較すると高い傾向があります。
一方で、機能訓練指導員は一般的に夜勤がないことなどから、看護職員などと比較すると給与が低く見える傾向もあります。ライフワークバランスのとりやすさも考慮したい方にはおすすめの職種でしょう。
機能訓練指導員のキャリアパス
・持っている資格を活かした進路に進む
・機能訓練指導員として専門性を高める
■主任や副主任を目指す
管理職になることで、責任感や業務量が増えることもありますが、その分やりがいや給与のアップなどが期待でき、さらに上を目指す気持ちが湧いてくると思います。主任にいきなりなることに不安感のある方は、まず新人職員の教育担当を目指し、その後副主任、主任…といったようにスモールステップで目標を設定できるとよいでしょう。
■持っている資格を活かした進路に進む
例えば、柔道整復師を持っている方は、整骨院を独立して設立することなどが可能です。このように、自身が持っている資格の専門性を高めて次のキャリアに進むことも、機能訓練指導員のキャリアパスとなるでしょう。
■機能訓練指導員として専門性を高める
そのため、専門性を高め、技術をより深いところまで突き詰めることで、専門家として活躍していくことができるようになるでしょう。
機能訓練指導員の将来性と課題
一方で、慢性的な人手不足やそれが原因で起こる過重労働といった課題も山積みです。先述した通り、人手不足解消のために鍼灸師を平成30年から機能訓練指導員として働くことができる資格に追加しました。それでもなお、慢性的な人材不足は続いているため、今後ICT化や生産性向上を図って、専門性や労働環境を向上していくことが大切です。
まとめ:機能訓練指導員は介護業界の未来を支えます!
また、利用者さんの生活機能の回復や減退防止に携われることは、機能訓練指導員としてやりがいとなるでしょう。 機能訓練の分野は、日々新たな技術やアプローチ方法の導入が進んでおり、スキルアップやキャリアアップの選択肢も豊富にあります。さらに、機能訓練指導員の資格を活かして、他の介護職や医療職に転職することも可能です。自身の持っている資格を活かして機能訓練指導員として働いてみませんか。
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