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サービス提供責任者に向いているのはどんな人?よくある悩みと解決法も

サービス提供責任者に向いているのはどんな人?よくある悩みと解決法も

サービス提供責任者に向いている人の特徴は?サービス提供責任者に向いていない人とは?サービス提供責任者の悩みと、解決方法についても解説します。自分の介護観と照らし合わせてみませんか?【回答者:脇 健仁】


目次

本日のお悩み

サ責になりましたが、人間関係がつらくて仕事が嫌いになりそうです。
ヘルパーのトラブル対応や、社長との関係に悩んでいます。

私には向いていないのかもしれません。
どんな人がサ責に向いていますか?訪問介護の仕事自体は嫌いではなかったのですが、辞めようか迷っています。

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自分の介護観と照らし合わせてみませんか?

脇 健仁

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/22

ゆりかごホールディングス株式会社 代表取締役 株式会社ゆりかご 代表取締役 茨城県訪問介護協議会 副会長 茨城県難病連絡協議会 委員 水戸在宅ケアネットワーク 世話人 介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・介護支援専門員・相談支援専門員

ご質問ありがとうございます。
非常にお辛い状況で、本当にご心労お察し申し上げます。

おそらく、相談者ご自身がサービス提供責任者に向いているかどうかについては、「訪問介護の仕事自体は嫌いではなかった」というお言葉通り、きっと素晴らしいお仕事をされる方なんだと思います。
しかし、事業所の理念や運営方針は、あなたに合っているでしょうか?

理念や運営方針は、きちんと浸透していますか?

どんなに理念が素晴らしくても、社長の想いがしっかりと伝わるような言葉として、職員の方達に伝わっているでしょうか?
とても大切なことは、社長・管理者または上長が、その理念や運営方針を「我がごと」として受け止め、自分の言葉として発信できているか。
そして、日常の業務で実行されているかということです。

理念となるような軸がしっかりとしている事業所であれば、職員同士のチームワークなども良いことが多く、個人間での人間関係が仮に悪くなったとしてもそのことを相談できる人がいたりします。
例えば、職員同士の支援方法についての考え方の違いからがあったとしても、理念に立ち返り、事業所としては、利用者の支援方法をどのように考えるのかと視点を変えて議論することで相互理解が得られたりします。

そのような話し合いができる組織になっているかどうかは、大切な視点だと考えます。

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社長との関係について

社長との関係も、社長として理念をきちんと職員に伝えながら、開かれた場で職員からの意見に耳を傾けられる社長であれば、悩みも少ないのではないでしょうか?

そういう意味では事業所を変えることを選択肢に入れてもよいのではと思います。
でも、訪問介護の仕事自体を辞めるというのは本当にもったいないと感じます。

働いている場所の価値観に共感できていますか?

また、あなた自身も事業所の理念や運営方針をしっかりと理解して、その理念や運営方針を元に行動できていますか?

自分が働く場所の一番大切な価値観は何か?ということを理解して職場を選び、そこに共感を持って仕事をするということが、大変なことがあっても乗り越えていけるかどうかの重要なポイントだと考えます。
これは訪問介護に限った話ではなく、介護以外の仕事をするときにも言えることです。

これらの点をご自身で振り返っていただき、ぜひ、自分の介護観をしっかりと実現できる事業所でご活躍されることを期待しております。

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サービス提供責任者に向いている人とは

最後に、サービス提供責任者に向いている人についてですが、訪問介護員との違いは個別支援計画(訪問介護計画)を作成したり、ケアマネジャーや利用者との連絡調整をしたり、契約締結したり、シフトを作成したり、現場も対応したりと本当に忙しいです。
一人一人の利用者に対して現場で全力を注ぎたいと考えているのなら、それ以外の業務が増え、サービス提供責任者は大変と感じるかもしれません。

しかし、自分ひとりの力では多くの人を幸せにはできないけど、自分の介護観に基づき作成した訪問介護計画に基づき多くのヘルパーが現場を実践してくれて、ケアマネジャーのケアプランにも自分の介護観が反映されるチャンスが与えられる仕事とも捉えられます。
そう考えると、とても魅力的で大きな影響力を持つ職種なのです。

もし、そこに魅力を感じられるのであれば、サービス提供責任者を続けていただきたいと思います。
お体に気を付けて、これからもがんばってください!

サービス提供責任者に向いている人の特徴

現場の仕事も大好きだけど、自分も利用者のために介護でできることを考えたい!と思う人

サービス提供責任者に向いている人は、「現場の仕事も大好きだけど、自分も利用者のために介護でできることを考えたい!」と思う人です。

基本的には訪問介護員は訪問介護の個別援助計画に基づいて対応しているはずです。
しかし、現場では刻一刻と利用者様の状態が変化することにより、計画と実際の状況がずれてくるということもあります。そんなときに、いち早く個別援助計画を修正して、ケアマネジャーにも個別援助計画の根拠となっている居宅サービス計画書(ケアプラン)の修正や変更の依頼をしたいと思える人はとても向いていると思います。

自分たちが行っている介護の内容が効果的かどうかという視点はとても大切ですよね。少しでも利用者の最善のために、早く対応したいと考える方はぜひ、サービス提供責任者になってほしいと思います。

自分だけでは利用者さまへ良いケアは提供できないと考えている人

また、自分だけでは利用者さまへ良いケアは提供できないと考えている人も向いていると思います。

事業所内でケアの方向性を一致させ、目標に向かって情報を収集し、分析して計画に反映させて、職員間のケア方法の統一をしていくことが大切だと理解できている方は、ぜひサービス提供責任者になってほしいです。

管理者と共同で事業所の運営に携わっていきたいという人

管理者と共同で事業所の運営に携わっていきたいという方も向いています。

このたび、「実地指導」から「運営指導」へと名称が変更されましたね。ハラスメントや虐待などの委員会設置および運営、BCP作成など運営指導は多岐にわたります。
人員管理や雇用管理、計画書、契約書など運営指導で確認される事項の多くに、サービス提供責任者が関わることになります。今後事業所の運営や独立を目指す方にとっては、多くの経験が積めるのでサービス提供責任者になると良いと思います。

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サービス提供責任者に向いていない人とは

とにかく現場で利用者と接する時間を増やしたいという人

サービス提供責任者なんて大変そうという方もいらっしゃいます。
その通りで、一般の訪問介護員よりは格段に業務の範囲は広いです。
よって、とにかく現場で利用者と接する時間を増やしたいという方にとっては、サービス提供責任者には向いていないと思います。

人に教えること、書類作成が苦手な人

また、自分で業務をすることは好きだけど、人に教えることが苦手だったり、書類作成はなるべくやりたくないという方も向いていないと感じるかもしれません。

自分が訪問介護という業務を通して、どのような介護をしたいのかと考えるのは人それぞれです。自己実現のため、利用者様のために自分が訪問介護でやりたい事は何か、ぜひ考えてみてほしいと思います。

やってみて、だんだんやりがいを感じることも

でも、本質的に向いていない人なんていないとは思っています。
私自身も「向いているからサービス提供責任者をやっていた」わけではありません。やる前はわからないことだらけでしたが、職場の先輩や、地域の訪問介護事業所のサービス提供責任者のみなさんからも情報交換や情報共有を通じて少しずつ学び、実践しながら理解し、だんだんやりがいを感じるようになっていきました。

苦手意識を持つことなく、もしサービス提供責任者をお願いされたら、それは事業所にとって「あなたは要の存在です」と言われているということです。ぜひ期待にこたえられるよう、挑戦していただきたいと思います。

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サービス提供責任者の悩みと、解決方法

実際のサービス提供責任者の悩みとしては色々ありますが、よく耳にするのは

・現場に出ている時間が多いので、計画書作成やモニタリングする時間が取れない
・自分より年上のヘルパーさんに言いたいことが言えない
・医療従事者が怖くて、気が付いたことがあっても伝えづらい
・シフト作成が大変(利用者から特定のヘルパーを拒否されるなどの理由)

状況や背景も様々ですので、ずばり正解というものは言いづらいのですが、少しでも参考になればと思います。

現場に出ている時間が多く、計画書作成やモニタリングする時間が取れない・シフト作成が大変

現場に出る時間が多いのは、人材育成が間に合っていないことや、人材自体が不足していること、サービス依頼が多すぎることなどが原因かと思います。

人材不足を背景とした課題は多くの事業所で共通の課題でもあります。しかしながら、無理をして依頼を受けることで、介護事故やヒヤリハットの増加、サービスの質の低下、苦情増加などの可能性も出てきます。

依頼を受ける件数を抑え、人材育成に注力する

厳しい判断かもしれないのですが、依頼を受ける件数を抑え、しっかりと今いる人材を育成する時間にあてることに注力することをお勧めします。
これにより長い期間での視点で、サービスの質の高い事業所となり、依頼も評判の良いところには後々依頼が来ると思います。

育成で質が上がったの結果、時間短縮にもつながる

また、成長した訪問介護員からくる利用者様の情報は良質なフィードバックとなり、モニタリングのための情報収集時間短縮にもつながります。モニタリングの質が上がれば、再アセスメントも質が高まり、計画書作成の負担も軽減されていく好循環が生まれるのではないかと考えます。

事業所運営をしていく上で、売り上げや件数と同じくらい人材育成への時間や費用をかけることを重要視していくことをお勧めいたします。

自分より年上のヘルパーさんに言いたいことが言えない

科学的根拠を理解した上で指導する

こちらは、指導する際に、「科学的根拠」を理解した上で指導ができるようになると良いと考えます。
言いづらいという関係性自体はなかなか解決は難しいかもしれませんが、正しいことを伝えることは、相手も否定はできないと思います。

多くの訪問介護員は経験則に基づき、現場の判断をすることが多いです。科学的根拠と照らし合わせ、それが間違った判断となっている場合は、たとえ言いづらくても利用者様の不利益につながる可能性が高いので、きちんと伝えましょう。

就業規則等と照らし合わせて伝える

また、就業規則や運営規程、法人理念などもしっかりと理解し、それらに反する場合は、サービス提供責任者の自分としての意見ではなく、就業規則などに違反しているということでお伝えしていくと良いと思います。

ぜひ科学的根拠となる解剖生理や病態について、しっかりと学び直しをしたり、就業規則や運営規程などを見直す機会としていただければと思います。

医療従事者が怖くて、気が付いたことがあっても伝えづらい

介護職の専門性を見出せていますか?

医師や看護師に苦手意識を持っている方も多いと思います。
苦手意識を持つ多くの方にその理由を聞くと、サービス担当者会議などで意見交換する際に、心無い言葉を投げかけられた、冷たい態度をとられた等の経験を持っている人が多いです。

医療従事者が介護職に対しての意識を変えていかなければならないことももちろんあると思いますが、私たち介護職は、自分たちの専門性をきちんと見出せているでしょうか?

病気のことや体について分かっている方がもちろん良いですが、利用者様は病気や体のことだけが課題ではありません。生活していく中での不便さや困っていることがあり、その生活の中の不便さをどのように解決していくかというプロが私たちです。

「領域が違うだけ」で上下関係はないと理解する

得意とする領域が違うので、どちらが上とか、どちらが偉いとかではないのです。
また、以前に経験した辛い出来事があっても、その他の医療従事者が同じような態度をとるとは限りません。まずは、私たち介護職が医療従事者に対しての苦手意識を取り除き、自分たちの専門性を深めていくことが大切だと考えます。

サービス提供責任者は、事業所の中核になる仕事!

とても業務の範囲は広いですが、事業所の中核となる、やりがいのある職種です。ぜひサービス提供責任者になれるチャンスがあればチャレンジし、目の前にいる利用者様の最善のために力を尽くしていきましょう!

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この記事のライター

ゆりかごホールディングス株式会社 代表取締役
株式会社ゆりかご 代表取締役
茨城県訪問介護協議会 副会長
茨城県難病連絡協議会 委員
水戸在宅ケアネットワーク 世話人
茨城県介護支援専門員協会 水戸地区会幹事
茨城県訪問看護事業協議会 監事
水戸市地域包括支援センター運営協議会 委員
水戸市地域自立支援協議会全体会 委員
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
日本社会事業大学大学院 福祉マネジメント研究科 在籍中

介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・看護師・介護支援専門員・相談支援専門員・FP2級

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