第35回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(社会の理解)

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第35回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(社会の理解)

問題1

社会福祉法に基づく、都道府県や市町村において地域福祉の推進を図ることを目的とする団体として、正しいものを1つ選びなさい。

1.特定非営利活動法人(NPO法人)
2.隣保館
3.地域包括支援センター
4.基幹相談支援センター
5.社会福祉協議会

解答

5.社会福祉協議会

解説

1.(×)特定非営利活動法人(NPO法人)は、特定非営利活動促進法に基づき、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するために活動する団体です。
2.(×)隣保館は、社会福祉法に基づき、地域住民の生活や文化の向上、社会福祉の増進を図り、人権啓発の拠点としての役割を担います。
3.(×)地域包括支援センターは、介護保険法に基づき、住民の健康保持や生活の安定のために必要な援助を行い、その保健医療の向上や福祉の増進を包括的に支援することを目的としています。
4.(×)基幹相談支援センターは、障害者総合支援法に基づき、地域の相談支援の拠点として総合的な相談業務や成年後見制度利用支援事業などを実施します。
5.(○)社会福祉協議会は、地域福祉の推進を図ることを目的とする民間団体です。高い公益性を有する法人として、職員には高い倫理観や使命感が求められます。

問題2

生活困窮者自立支援法に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.最低限度の生活が維持できなくなるおそれのある者が対象になる。
2.自立を図るために、就労自立給付金が支給される。
3.疾病がある者には、医療費が支給される。
4.子どもへの学習支援は、必須事業とされている。
5.最終的な、「第3のセーフティーネット」と位置づけられている。

解答

1.最低限度の生活が維持できなくなるおそれのある者が対象になる。

解説

1.(○)生活困窮者自立支援法は、生活困窮状態ではあるが生活保護の支給対象外である場合や、生活保護の対象から外れた後の支援が必要である場合などに対象となります。
2.(×)就労自立給付金の支給については、生活保護法に規定されています。
3.(×)生活困窮者自立支援法に医療費支給についての規定は存在しません。
4.(×)生活困窮者自立支援法において、子どもへの学習支援は任意事業とされています。
5.(×)社会保険や労働保険制度などが「第1のセーフティーネット」、生活保護が「第3のセーフティーネット」であり、生活困窮者自立支援法はその2つの間に位置する「第2のセーフティネット」と呼ばれています。

問題3

「障害者総合支援法」の居宅介護を利用したときの利用者負担の考え方として、最も適切なものを1つ選びなさい。

(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

1.利用したサービスの種類や量に応じて負担する。
2.利用者の負担能力に応じて負担する。
3.利用したサービス費用の一定の割合を負担する。
4.利用したサービス費用の全額を負担する。
5.利用者は負担しない。

解答

2.利用者の負担能力に応じて負担する。

解説

障害者総合支援法における障害福祉サービスの負担金支払いは、利用者の負担能力に応じた応能負担の仕組みになっています。利用者は居宅介護などのサービスを利用した場合に費用を負担しますが、所得に応じた4区分の負担上限月額が設定されており、その月に利用したサービスの量にかかわらず、それ以上の負担が生じることはありません。
よって、1.(×)、2.(○)、3.(×)、4.(×)、5.(×)、となります。

問題4

我が国の社会保障制度の基本となる、1950年(昭和25年)の社会保障制度審議会による「社会保障制度に関する勧告」の内容として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.生活困窮者自立支援法の制定の提言
2.社会保障制度を、社会保険、国家扶助、公衆衛生及び医療、社会福祉で構成
3.介護保険制度の創設の提言
4.保育所の待機児童ゼロ作戦の提言
5.介護分野におけるICT等の活用とビッグデータの整備

解答

2.社会保障制度を、社会保険、国家扶助、公衆衛生及び医療、社会福祉で構成

解説

1.(×)生活困窮者自立支援法は、2013年(平成25年)に制定されました。
2.(○)「社会保障制度に関する勧告(1950年勧告)」では、憲法第25条における生存権の意義が具体化され、国内では初となる社会保障の体系付けが行われました。
3.(×)介護保険法は、2000年(平成12年)に施行されました。
4.(×)保育所の待機児童ゼロ作戦は、2001年(平成13年)に閣議決定されました。
5.(×)介護分野におけるICT等の活用とビッグデータの整備については、2016年(平成28年)の未来投資会議で提言されました。

問題5

我が国の「障害者権利条約」の批准(2014年(平成26年))に向けて行われた、障害者基本法の改正(2011年(平成23年))で新たに法律上に規定されたものとして、適切なものを1つ選びなさい。

(注)「障害者権利条約」とは、国際連合の「障害者の権利に関する条約」のことである。

1.自立支援医療(精神通院医療)の開始
2.共同生活援助(グループホーム)の制度化
3.成年後見制度の創設
4.社会的障壁の除去
5.東京2020パラリンピック競技大会の開催

解答

4.社会的障壁の除去

解説

1.(×)自立支援医療(精神通院医療)は、かつては障害の種類に応じて身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法などに規定されていましたが、2006年(平成18年)施行の障害者自立支援法により一元化されました。
2.(×)共同生活援助(グループホーム)は、障害者自立支援法の成立により2006年(平成18年)に制度化されました。
3.(×)成年後見制度は、民法改正に伴い1999年(平成11年)に創設されました。
4.(○)2011年(平成23年)の障害者基本法改正で新たに法律上に規定されたのは、社会的障壁の除去です。
5.(×)パラリンピックは共生社会の実現の促進をめざして開催されていますが、障害者基本法の改正で規定されたものではありません。

問題6

Eさん(75歳、女性、要介護2)は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。最近、Eさんの認知症(dementia)が進行して、家での介護が困難になり、介護老人福祉施設の申込みをすることにした。家族が訪問介護員(ホームヘルパー)に相談したところ、まだ要介護認定の有効期間が残っていたが、要介護状態区分の変更の申請ができることがわかった。
家族が区分変更するときの申請先として、正しいものを1つ選びなさい。

1.介護保険の保険者
2.後期高齢者医療広域連合
3.介護保険審査会
4.国民健康保険団体連合会
5.運営適正化委員会

解答

1.介護保険の保険者

解説

1.(○)要介護状態区分を変更する際の申請先は、介護保険の保険者である市町村および特別区です。
2.(×)後期高齢者医療広域連合は、後期高齢者医療制度の運営主体となる特別地方公共団体です。
3.(×)介護保険審査会は、介護保険給付や要介護(支援)認定などに関する処分に対する不服申立の審理・裁決を行う第三者機関です。
4.(×)国民健康保険団体連合会は、国民健康保険に関わる業務を担う団体です。
5.(×)運営適正化委員会は、福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業)の適正な運営の確保や、福祉サービスに関する苦情を適切に解決する第三者機関です。

問題7

次のうち、「障害者総合支援法」の介護給付を利用するときに、利用者が最初に市町村に行う手続きとして、適切なものを1つ選びなさい。

(注)「障害者総合支援法」とは、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

1.支給申請
2.認定調査
3.審査会の開催
4.障害支援区分の認定
5.サービス等利用計画の作成

解答

1.支給申請

解説

1.(○)介護給付を利用する際は、まずは居住地の市町村窓口に相談し、支給申請を行います。
2.(×)申請後、認定調査員による訪問調査を受け、障害支援区分認定調査が行われます。
3.(×)認定調査後、コンピューターによる1次判定が行われ、その後に市町村審査会が2次判定を行います。
4.(×)2次判定(市町村審査会の判定)後、障害支援区分が認定され、申請者に通知されます。
5.(×)障害福祉サービスの支給が決定された後、特定相談支援事業所がサービス等利用計画を作成します。

問題8

「高齢者虐待防止法」に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

(注)「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。

1.虐待が起こる場として、家庭、施設、病院の3つが規定されている。
2.対象は、介護保険制度の施設サービス利用者とされている。
3.徘徊(はいかい)しないように車いすに固定することは、身体拘束には当たらない。
4.虐待を発見した養介護施設従事者には、通報する義務がある。
5.虐待の認定は、警察署長が行う。

解答

4.虐待を発見した養介護施設従事者には、通報する義務がある。

解説

1.(×)虐待が起こる場として、介護保健施設などの養介護施設と、通所介護などを提供する養介護事業が規定されています。
2.(×)施設サービス利用者に限定されることはなく、65歳以上の高齢者や、65歳未満であっても養介護事業の利用者であれば対象となります。
3.(×)徘徊させないことを目的として車いすに固定することは、身体拘束(身体的虐待)に当たります。
4.(○)高齢者虐待防止法第21条に規定されている内容です。養介護施設従事者には、虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合、市町村への通報義務があります。
5.(×)虐待の認定を行うのは市町村です。立ち入り調査などが必要であると判断された場合は、市町村長から警察署長に援助要請を行います。

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