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T字杖(じつえ)を用いて歩行する左片麻痺(ひだりかたまひ)の利用者が、20cm幅の溝をまたぐときの介護方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.杖は、左手に持ちかえてもらう。
2.杖は、溝の手前に突いてもらう。
3.溝は、右足からまたいでもらう。
4.遠い方向を見てもらう。
5.またいだ後は、両足をそろえてもらう。
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1.(×)杖は、健側である右手で持つことが適切です。
2.(×)杖を溝の向こう側に突き、体のバランスを取りながら溝をまたぐようにします。
3.(×)片麻痺がある場合は、健側で持った杖→患側の足→健側の足の順で溝をまたぐことが適切です。左片麻痺であれば、溝をまたぐのは患側である左足が先となります。
4.(×)遠い方向を見ていては足元が確認できません。
5.(○)溝をまたぐような大きな動作の後はバランスを崩しやすいため、一度両足をそろえて安定させます。
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左片麻痺(ひだりかたまひ)の利用者が、前開きの上着をベッド上で臥床(がしょう)したまま交換するときの介護の基本に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.介護福祉職は利用者の左側に立つ。
2.新しい上着は利用者の右側に置く。
3.脱ぐときは、着ている上着の左上肢の肩口を広げておく。
4.左側の袖を脱ぎ、脱いだ上着は丸めて、からだの下に入れる。
5.利用者を左側臥位(ひだりそくがい)にし、脱いだ上着を引き出す。
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3.脱ぐときは、着ている上着の左上肢の肩口を広げておく。
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片麻痺がある場合は、「脱ぐ時は健側から、着る時は患側から」という脱健着患の原則に基づいて介護を実践します。
1.(×)健側である右側の袖を脱がせることから始めるため、利用者の右側に立ちます。
2.(×)着るときは、患側である左側から袖を通すため、新しい上着は利用者の左側に置きます。
3.(○)患側である左上肢の肩口を広げておくことで、先に袖を脱ぐ健側に負担がかかりにくくなります。
4.(×)健側である右側の袖を脱ぎ、脱いだ上着は丸めて体の下に入れます。
5.(×)利用者を健側である右側を下にした右側臥位とし、脱いだ上着を引き出します。
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胃・結腸反射を利用して、生理的排便を促すための介護福祉職の支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.歩行を促す。
2.起床後に冷水を飲んでもらう。
3.腹部のマッサージをする。
4.便座に誘導する。
5.離床する時間を増やす。
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1.(×)歩くことで腸腰筋を鍛えたり、腸の運動を活発にしたりすることができますが、胃・結腸反射とは関連していません。
2.(○)胃・結腸反射とは、飲食物が胃に入ることで反射的に起こる結腸(大腸)の蠕動運動のことです。起床後に冷水を飲むと、空の胃が刺激されて胃・結腸反射が起こりやすくなります。
3.(×)腹部のマッサージは腸の蠕動運動を促す効果が期待できますが、胃・結腸反射を利用した排便支援ではありません。
4.(×)決まった時間に便座へ誘導することで、排便リズムが安定し、排泄習慣を整える効果が期待できますが、胃・結腸反射とは関連していません。
5.(×)離床する時間を増やすことは適度な運動につながり、自然な排便を促すために有効ですが、胃・結腸反射を利用した排便支援ではありません。
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利用者の便失禁を改善するための介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.トイレの場所がわからない認知症(dementia)の人には、ポータブルトイレを設置する。
2.移動に時間がかかる人には、おむつを使用する。
3.便意がはっきりしない人には、朝食後に時間を決めてトイレへ誘導する。
4.下剤を内服している人には、下剤の内服を中止する。
5.便失禁の回数が多い人には、食事の提供量を減らす。
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3.便意がはっきりしない人には、朝食後に時間を決めてトイレへ誘導する。
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1.(×)認知症の見当識障害により場所が分からない場合は、新たにポータブルトイレを認識することも困難であるため、声かけや案内の設置などトイレへの誘導方法を検討する必要があります。
2.(×)移動が自立している場合は、おむつの使用により機能低下を招いたり、自尊心を損ねたりする可能性があります。排便パターンをチェックし、早めの声かけや誘導を行うことが適切です。
3.(○)胃・結腸反射により排便が促される朝食後のタイミングで、時間を決めてトイレへ誘導します。
4.(×)介護福祉職の判断で処方薬の減量や中止を行うことはできません。
5.(×)食事の量を減らすと、朝食後の胃・結腸反射が起こりにくくなるため、排泄習慣の確立がますます困難になります。
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女性利用者のおむつ交換をするときに行う陰部洗浄の基本に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.湯温は、介護福祉職の手のひらで確認する。
2.おむつを交換するたびに、石鹸(せっけん)を使って洗う。
3.タオルで汚れをこすり取るように洗う。
4.尿道口から洗い、最後に肛門部(こうもんぶ)を洗う。
5.洗浄後は、蒸しタオルで水分を拭き取る。
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4.尿道口から洗い、最後に肛門部(こうもんぶ)を洗う。
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1.(×)湯温の確認には、手のひらよりも温度感覚が敏感な前腕内側を用います。
2.(×)皮脂の欠乏による皮膚トラブルを避けるため、石鹸を用いた洗浄は1日1回を基本とします。
3.(×)陰部の皮膚や粘膜は傷つきやすいため、汚れを泡で浮かせて優しく洗います。
4.(○)肛門部から洗い始めると大腸菌などの感染を招く可能性があるため、尿道口から肛門部へ向かって洗い進めます。
5.(×)洗浄後は、乾いたタオルや拭き取り用ペーパーを用いて、水分を吸い取らせるように押し拭きします。
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ベッド上で臥床(がしょう)している利用者の洗髪の基本に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.利用者のからだ全体をベッドの端に移動する。
2.利用者の両下肢は、まっすぐに伸ばした状態にする。
3.洗うときは、頭頂部から生え際に向かって洗う。
4.シャンプー後は、タオルで泡を拭き取ってからすすぐ。
5.ドライヤーの温風は、頭皮に直接当たるようにする。
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4.シャンプー後は、タオルで泡を拭き取ってからすすぐ。
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1.(×)身体全体ではなく、頭部がベッドの端にくるように移動させます。
2.(×)利用者にとって安楽な姿勢に調整することが適切であり、クッションなどを利用して膝を軽く立て、腹部の緊張を和らげます。
3.(×)洗うときは、生え際から頭頂部に向かって洗います。
4.(○)シャンプー後にタオルで泡を拭き取ることで、すすぎの回数や時間を省くことができます。
5.(×)髪を乾かす際は、ドライヤーの温風が頭皮や顔に直接当たらないよう注意します。
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総義歯の取扱いに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.上顎から先に外す。
2.毎食後に洗う。
3.スポンジブラシで洗う。
4.熱湯につけてから洗う。
5.乾燥させて保管する。
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1.(×)総義歯を外す際は下顎から、装着する際は上顎からとします。
2.(○)義歯は食べかすや歯垢が付着し、細菌が繁殖しやすくなることから、感染症予防のためにも毎食後に外して洗います。
3.(×)スポンジブラシは口腔内の清拭用であり、義歯は義歯専用ブラシで洗います。
4.(×)義歯を熱湯に浸けると熱により変形する可能性があるため、流水で洗浄します。
5.(×)乾燥はひび割れや変形の原因となるため、専用の容器を用いて水や義歯洗浄剤に浸した状態で保管します。
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終末期で終日臥床(しゅうじつがしょう)している利用者に対する介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.入浴時は、肩までお湯につかるように勧める。
2.息苦しさを訴えたときは、半座位にする。
3.終日、窓を閉めたままにする。
4.会話をしないように勧める。
5.排便時は、息を止めて腹に力を入れるように勧める。
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1.(×)入浴時に肩までお湯に浸かると心臓に負担がかかるため、終末期で終日臥床している状態ではリスクが高いといえます。
2.(○)半座位(ファーラー位)は、臥位から上半身を45度起こした体位です。半座位や座位にすると、横隔膜が下がり、内臓による肺への圧迫を軽減できるため、呼吸しやすくなります。
3.(×)換気することで、室内の二酸化炭素濃度を低下させたり、気分転換を図ったりすることができます。
4.(×)会話や声かけによるコミュニケーションは、終末期の精神的サポートとして重要です。
5.(×)体力低下により自力での排泄が困難な時期であるため、息を止めて負荷をかけるよう勧めることは不適切です。
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介護老人福祉施設に入所している利用者の看取りにおける、介護福祉職による家族への支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.利用者の介護は、介護福祉職が最期まで行い、家族には控えてもらう。
2.利用者の反応がないときには、声をかけることを控えるように伝える。
3.利用者の死後は、毎日電話をして、家族の状況を確認する。
4.利用者の死後は、気分を切り替えるように家族を励ます。
5.家族が悔いが残ると言ったときは、話を聴く。
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1.(×)最期まで家族が立ち会えるよう準備を整え、ケアにも参加してもらうことが適切です。
2.(×)聴覚は最期まで保たれていることが多いため、反応がなくても声をかけるよう家族に伝えます。
3.(×)毎日の電話では、看取ったばかりである家族の心身への負担となる可能性が高いと考えられます。
4.(×)家族の寂しさや不安などの思いを傾聴する姿勢が大切な時期であり、安易な励ましは不適切です。
5.(○)他人から見てどんなに介護を尽くしていても、本人には後悔が残る場合があります。話を傾聴して気持ちに寄り添い、自らの介護を肯定的に評価できるよう精神的なサポートを行うことが重要です。
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利用者の障害特性に適した福祉用具の選択に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.言語機能障害の利用者には、ストッキングエイドの使用を勧める。
2.全盲の利用者には、音声ガイド付き電磁調理器の使用を勧める。
3.聴覚障害の利用者には、床置き式手すりの使用を勧める。
4.右片麻痺(みぎかたまひ)の利用者には、交互型歩行器の使用を勧める。
5.肘関節拘縮の利用者には、座位時に体圧分散クッションの使用を勧める。
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2.全盲の利用者には、音声ガイド付き電磁調理器の使用を勧める。
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1.(×)ストッキングエイドは、足先まで手が届きにくい人が使用する福祉用具です。膝や腰の障害により、靴下やストッキングを履きにくい人に適しています。
2.(○)音声ガイド付き電磁調理器は、全盲であっても耳からの情報で安全に使用できます。
3.(×)床置き式手すりは、布団からの起き上がりや、座った状態からの立ち上がりを補助する福祉用具です。
4.(×)交互型歩行器は、左右のフレームを個々に動かすことで進む福祉用具です。四肢の筋力低下がみられる場合などには有用ですが、片麻痺の利用者では転倒リスクがあります。
5.(×)体圧分散クッションは、身体にかかる圧力を分散させる福祉用具であり、体位変換の際などに用いられます。
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介護予防教室で介護福祉職が行う安定した歩行に関する助言として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.「歩幅を狭くしましょう」
2.「腕の振りを小さくしましょう」
3.「足元を見ながら歩きましょう」
4.「後ろの足のつま先で地面を蹴って踏み出しましょう」
5.「つま先から足をつきましょう」
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4.「後ろの足のつま先で地面を蹴って踏み出しましょう」
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1.(×)歩幅を狭くすると足が上がらずつまずきやすくなるため、少し広めにするよう助言します。
2.(×)腕の振りを小さくすると足が振り出しにくくなるため、軽く腕を曲げて前後にしっかりと振るよう助言します。
3.(×)足元を見ながら歩くと前傾姿勢になり、周囲の人や物に気付かずぶつかるおそれがあります。目線を上げて視野を広く保つよう助言します。
4.(○)後ろの足のつま先で地面を蹴って踏み出すことで、自然に踵から着地し、歩幅が広くなって安定します。
5.(×)つま先から足をつくと転倒のリスクが高くなるため、踵から着地するよう助言します。
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利用者が食事中にむせ込んだときの介護として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.上を向いてもらう。
2.お茶を飲んでもらう。
3.深呼吸をしてもらう。
4.口の中のものを飲み込んでもらう。
5.しっかりと咳(せき)を続けてもらう。
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1.(×)むせ込んでいるときに上を向くと、気管の奥へ誤嚥した食べ物などが入り込んでしまいます。
2.(×)液体は誤嚥しやすいため、お茶を飲むのは呼吸が落ち着いた後にします。
3.(×)むせ込んでいるときに深呼吸をすると、気道が開き、誤嚥したものが気管の奥へ入り込んでしまいます。
4.(×)さらなる誤嚥を引き起こす可能性がある行為です。口の中に食べ物が残っている場合は、吐き出してもらいます。
5.(○)むせ込んで咳が出るのは、誤嚥した食べ物を喀出するための防御反応です。前屈みの姿勢でしっかりと咳を続け、気管から誤嚥物を外へ押し出します。
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テーブルで食事の介護を行うときの留意点に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.車いすで食事をするときは、足をフットサポートから下ろして床につける。
2.片麻痺(かたまひ)があるときは、患側の上肢を膝の上にのせる。
3.スプーンを使うときは、下顎を上げた姿勢にして食べ物を口に入れる。
4.利用者に声をかけるときは、食べ物を口に入れてから行う。
5.食事をしているときは、大きな音でテレビをつけておく。
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1.車いすで食事をするときは、足をフットサポートから下ろして床につける。
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1.(○)車いすで食事をする際は、フットサポートから足を下ろして床に着けると姿勢が安定します。
2.(×)片麻痺がある場合は、患側の上肢をテーブルの上に乗せると姿勢が安定します。
3.(×)下顎を上げた姿勢では誤嚥を起こしやすいため、軽く顎を引いた姿勢で食べ物を口に入れるようにします。
4.(×)食べ物を咀嚼しているときに話しかけると、誤嚥を招くおそれがあります。
5.(×)食事中にテレビから大きな音がしていると、食事に集中できず誤嚥などを起こしやすくなります。また、むせ込みなどの異音に介助者が気付けないリスクもあるため、大きな音にすることは推奨されません。
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