マイナビ福祉・介護のシゴト
コロナ終息後、介護業界はどのように変化していきますか?

コロナ終息後、介護業界はどのように変化していきますか?

【回答者:伊藤 浩一】閉塞感が続くかはどうかは私達次第です!


本日のお悩み

コロナ終息後、介護業界はどう変わると思いますか?今みたいに閉塞感が続くのでしょうか。

閉塞感が続くかはどうかは私達次第です!

「閉塞感」、たしかに感じますよね。
新型コロナウイルスの終息は先が見えず、感染者の対応に苦慮された方はもちろん、感染予防に日々最大限に注意を払っている皆さまは、この先行き不透明さに大きなストレスを感じていらっしゃるでしょう。もちろん私もその一人です。

では、介護業界、新型コロナウイルス終息後にはどんな未来が待っているのでしょうか?
二つの課題に分けて考えてみます。

人手不足について

介護業界の慢性的な人手不足は、コロナ前も大きな社会課題となっており、現場に閉塞感をもたらしています。求人をかけても応募がない、そんな中、新たな退職者がでた日には、現場の落胆はないでしょう。

では、この人手不足は、新型コロナウイルスによりどう変化したか?実は、大阪の求人応募者は、コロナ前の2倍に増加しているといいます(非常勤)。飲食やサービス業関連で解雇や雇い止めを受けてしまった方が介護に興味を持ち、求人に動きがでていると考えられます。

また、介護現場の職場定着意欲は3年連続で上昇している(介護労働安定センター2019年度実態調査)とのデータが公表されました。今の勤務先で働き続けたいと答えた介護労働者は58.9%に上り、職場の人材定着率UPに事業所が努力している結果と考えられます。ちょっと明るい兆しではないですか?

ITやロボットの導入について

介護業界のITの浸透は他業界に比べ大きく出遅れています。そもそも、人手不足に関しては、介護業界だけの問題ではなく、どの業界も人手不足ですよね。

そういった中、他業界はどうしたかといえば、IT及びロボットを積極的に導入し、人員不足の代替として精度を上げてきました。むしろ、どうしたら人手不足を解決できるかだけでなく、更に作業の効率化や質の向上を発展させられるかに力点を高く置き、驚くべきテクノロジーの進歩をとげているのではないでしょうか?

一方、介護業界はというと、「ひとのぬくもり」「あたたかさ」はもちろん重要ですが、逆に人以外考えられない状況に陥っているかもしれません。記録の電子化は進んでいますが、いまだに紙ベースでの記録で、理由を聞けば、職員がパソコン得意でないから反対されているみたいな話も聞きます。現場とのマッチングに課題はあるとはいえ、ロボットへの抵抗感でロボット活用を見送っている事業所さんも多いのでは。

社会変化を柔軟に捉えて行動しましょう

では、新型コロナウイルス終息後は、どうなるか?

現在、ビデオ電話ツールの浸透度はかなりの勢いです。面会ができない中で、あらたなツールとしてオンライン面会に踏み切った事業所さんは多いと思います。また、今まで、移動に時間がかかるため、現場を抜けられず受講できなかった研修は、オンライン研修の普及で格段に受講しやすくなるでしょう。研修が受講できる環境は、成長の喜びやサービスの質向上につながりますし、業務の効率化にもつながります。

このような状況変化を鑑みると、新型コロナウイルスは、介護業界にとって悪影響だけをもたらしているだけとは決して言えないのではないでしょうか。ピンチをチャンスに捉えて前向きに行動すれば、「人手不足改善」や「ITやロボットの浸透」に大きなプラスとなりうる可能性を新型コロナウイルスはもっていると言えるでしょう。

つまり、私達が新型コロナウイルスによる社会変化を柔軟に捉えて行動することが閉塞感を打ち破る唯一の方法なんです。

介護の未来は明るいですよ。

専門家への質問はこちらから!

この記事のライター

茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)

関連する投稿


住居型有料老人ホームでの老老介護|介護職員ができるサポート方法とは?

住居型有料老人ホームでの老老介護|介護職員ができるサポート方法とは?

住居型有料老人ホームなどの介護施設では、夫婦での入居が認められています。長年連れ添った家族と同じ施設に入れることは安心感がある反面、施設に入居をしているにもかかわらず、老老介護になってしまうというリスクもあります。この記事では、夫婦で入居している方に介護職員ができるサポート方法を専門家が解説します!【執筆者/専門家:伊藤 浩一】


【介護業界】実はそれ、労働基準法違反かも?!よくある事例を解説!

【介護業界】実はそれ、労働基準法違反かも?!よくある事例を解説!

「訪問ヘルパーの移動時間は業務外?」「アルバイトに有休はない?」実はそれ、労働基準法違反にあたるかも。この記事では、介護業界でよくある労働基準法違反の事例を専門家が解説します!働く人も事業主も知らなかったということがないようにすることで、働きやすい業界を目指しましょう。[執筆者/社労士:山本 武尊]


【スピードと質どっちが大事なの?】介護現場での仕事の効率と業務内容の質に関するお悩みに答えます!(専門家:後藤晴紀先生 回答)

【スピードと質どっちが大事なの?】介護現場での仕事の効率と業務内容の質に関するお悩みに答えます!(専門家:後藤晴紀先生 回答)

「仕事のできる人」この定義はなかなか難しいと思います。スピード重視で業務の質にはこだわらない環境に身を置く質問者。利用者に丁寧なサービスを提供したい!そんな想いがあり、立ち振る舞いや転職をするか否かなど多くの悩みを抱えています。そんな質問者のお悩みに専門家が回答します!(回答者:後藤 晴紀先生)


【介護事業の経営難はなぜ?】介護職員や経営者に求められる対策とは

【介護事業の経営難はなぜ?】介護職員や経営者に求められる対策とは

介護事業者の倒産数が過去最多となったというニュース。超高齢社会の日本においてなぜ、倒産数が増えてしまったのでしょうか。 今後、事業所が生き残るために必要なことを専門家が解説します。 【解説者:後藤 晴紀/介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・潜水士】


介護施設でコロナ感染発生時の対処法とは?BCP策定や認知症の方への接し方について解説

介護施設でコロナ感染発生時の対処法とは?BCP策定や認知症の方への接し方について解説

[2024年10月更新]介護のお悩み:介護施設にコロナが蔓延し、認知症の利用者さんにも感染。他の利用者にも感染が拡大してしまいました。どうすればいいでしょうか? 介護施設でのBCP策定、感染症対策のポイントを専門家が解説します。【執筆者:羽吹 さゆり】


マイナビ福祉・介護のシゴト 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東・甲信越】
【北陸・東海】
【関西・中四国】
【九州・沖縄】

最新の投稿


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(こころとからだのしくみ)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(こころとからだのしくみ)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【こころとからだのしくみ】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(医療的ケア)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(医療的ケア)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【医療的ケア】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(総合問題)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(総合問題)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【総合問題】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

自立支援介護とは、介護が必要になった高齢者が、可能な限り自分の力で生活できるように支援する介護のことです。高齢化が進む日本において、デイサービスなどを提供する介護施設でも近年、自立支援介護は注目されています。この記事では、自立支援介護の4つの基本ケアや実際の取り組みについて専門家が解説します!【執筆者/専門家:古畑 佑奈】


介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

年末年始は、クリスマス会や忘年会などさまざまなイベントが行われる時期です。介護施設でもこれらのようなイベントを実施すると、利用者さんたちの活力を高めたり、親睦を深めたりする良い機会になります。この記事では、年末年始のイベントを企画するにあたって準備したいこと、当日取り入れられるレクリエーションなどを紹介します。【執筆者/専門家:後藤 晴紀】


マイナビ福祉・介護のシゴト
「マイナビ福祉・介護のシゴト」は、福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
介護職をはじめ、福祉・介護業界に関連する職種の求人を掲載しています。
本当に自分にあった施設や事業所を、ご自身で手軽に探すことができるよう職場の雰囲気がリアルに伝わる情報を用意することで、適切なマッチングを実現していきます。
【職種から求人・転職情報を探す】