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介護職の志望動機の書き方!|ケース別の例文を用いてポイントを解説!

介護職の志望動機の書き方!|ケース別の例文を用いてポイントを解説!

[2024年7月更新]介護職への志望動機は何を書けばよいの?志望理由にはその施設で働きたい具体的な理由や自身の強みを書く必要があります。この記事では例文を用いて志望動機の書き方を解説します!【コラム/専門家:伊藤 浩一】


目次

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介護職への転職で志望理由は何を書けばよい?志望動機で事業所に想いを伝えよう!

執筆者

ささえるラボ編集部

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ささえるラボ編集部です。 福祉・介護の仕事にたずさわるみなさまに役立つ情報をお届けします! 「マイナビ福祉・介護のシゴト」が運営しています。

志望動機とは「自分が応募した事業所で働きたい理由」のことです。応募する事業所についてきちんと下調べをしたうえで、たくさんある事業所の中で「なぜこの事業所なのか」「自分の強みをどのように活かせる場所なのか」を具体的に伝えていきましょう。

また、採用担当者は毎日たくさんの応募書類を読んでいるため、ありきたりな内容だと熱意が伝わらない可能性もあります。ポイントをおさえた志望動機で、採用担当者に本気度を伝えましょう。

この記事の後半では、介護の専門家で、これまで職員の採用も担当してきた伊藤先生からのアドバイスも掲載しています。現場の声も確認し、希望の事業所への入職を目指しましょう!

志望動機は応募する事業所で働きたい理由!自己PRと混同しないように注意。

「志望動機を書いていたはずがいつの間にか自己PRみたいになっていた…」「そもそも志望動機と自己PRって何を書けばよいのか?」という方も多いのではないでしょうか。

それぞれの違いを確認し、伝え方などを工夫してみましょう!

志望動機:その事業所で働きたい理由

採用担当が志望動機(志望理由)を求職者に聞く意図は、その事業所で働きたい理由を聞くことで、ご自身とその事業所がマッチしているか(強みを活かせるかや事業所の理念とその方の価値観があっているか)を確認するためです。
多くの事業所があるなかでなぜこの事業所で介護職員として働きたいのか、なぜ他の事業所ではダメなのかを明確に伝えていきます。介護職が未経験の方や、ブランクがある方はなぜ介護職を志すのかの理由も併せて伝えていきましょう。

志望動機を書くためには、事業所への理解と自己分析が必要となります。
まずは、事業所の情報収集を行い、他事業所との違いを理解するようにしましょう。それと同時に、ご自身の得意なこと(強み)、興味・関心(価値観)を明確にし、その事業所と自身がマッチしているポイントを明確にしましょう。
このように事業所とご自身のマッチしているポイントを採用担当者に伝えることで、採用担当者はその方が当事業所の理念や価値観とあっている方かや熱意があるかということを判断できるようになります。

事業所のことを知る手段として、一番良いのは実際に働く人の話を聞く機会を作ることです。面接の前に見学会を行っている事業所もありますので、問い合わせてみることをおすすめします。
それが難しい場合は、Webサイト(ホームページ)や事業所のパンフレットなどから情報収集しましょう。

自己PR:自分の得意(強み)、興味・関心(価値観)を伝えるもの

採用担当者が自己PRを求職者に聞く意図は、その方の得意なこと(強み)、興味・関心(価値観)を理解するためです。「自慢話や武勇伝」を聞きたいわけではないという点がポイントとなります。

「ご自身の強みはなんなのか」や「仕事をするうえで大切にしている価値観」「事業所に入職した際に活かせそうなスキル」などを実体験のエピソードを根拠とし、伝えていきます。

自分自身のことであるため、志望理由よりまとめるのが簡単と考えがちですが、しっかり自己分析を行い、具体的に伝えていく必要があります。
例えば、「強みは柔軟性があるところです!」と伝えても、その柔軟性を発揮できたエピソードや根拠がなければ、採用担当者には伝わりません。

なぜ、強みとして柔軟性があると思うのか?どのような経験でそのような自分の特徴がみられたのか?という流れで、自己分析をしっかり行い、自身の強みをアピールしていきましょう!

志望動機を書くときに押さえたい3つのポイント

採用担当者は、事業所の規模や採用活動の時期にもよりますが1日に複数の志望動機を目にすることがほとんどです。また、採用担当と同時に介護現場で働いている方もいらっしゃるため、忙しい中でも印象に残るような志望動機を書く必要があります。

志望動機を書く際は、次の3点を心がけるようにしましょう!
◇志望動機を書く際のポイント◇
1.応募する事業所についてよく調べ、特徴や理念に合う内容にする
2.自分の経験やスキルを活かして何をしたいか伝える
3.キャリアビジョンを盛り込む

1.応募する事業所についてよく調べ、特徴や理念に合う内容にする

志望動機は、主にその事業所に魅力を感じた理由を伝えるものです。志望動機を作る前に、まずは応募する事業所についてきちんと下調べをする必要があります。

下調べが不十分なまま志望動機を書くと、その事業所に合わない内容、あるいは説得力に欠ける内容になりがちです。事業所の特徴や業務内容、経営者の理念をしっかり理解したうえで、その事業所だからこそ働きたいという思いを伝えれば、採用担当者も真剣に検討してくれるはずです。

Webサイトなどでもある程度の情報は得られますが、できれば希望する事業所を見学しておくと、職場環境や職員の様子などを具体的に感じることができます。マイナビ福祉・介護のシゴトでは、サイトから見学予約ができますので、利用してみましょう。

2.自分の経験やスキルを活かして何をしたいか伝える

採用担当者は、応募者が入職後、どのような介護職として活躍してくれるかを見極めたいと考えています。採用されやすい志望動機にするためには、ただ「こんな仕事をしたい」「この事業所で働きたい」という自分の希望ややる気だけでなく、自分が応募先の事業所に貢献できる存在であることを伝える必要があります。

応募先の業務内容や求めている人材に対して、自分の経験やスキルをどのように活かしていけると考えているのか、さらにスキルアップを図りながら今後どのように働きたいかを具体的に盛り込むようにしましょう。

3.キャリアビジョンを盛り込む

そして、事業所側はせっかく一緒に働くというご縁があったのであれば、可能な限り長く働いてほしいとも考えています。そのため、将来の目標やキャリアビジョンを明確に伝えることは、採用担当者にとって有用な判断材料となります。

明確な目的意識を持った人は成長が見込めますし、そこから人物像や事業所との相性、長く働いてくれる人材かどうかといった情報も読み取れるからです。遠い先の漠然としたイメージや夢ではなく、現実的な数年後のキャリアアップのプランを書くようにしましょう。

ケース別で紹介!志望動機の例文

志望動機のポイント

志望動機の書き方に決まりはありませんが、上記の通り
1.結論(その事業所を志望する理由)
2.具体的なエピソード(志望動機の根拠)
3.入職後のビジョン(どんな活躍をしたいか)
の順(いわゆるPREP法)で話すと、相手に伝わりやすくなります。

ここからは、志望する施設のサービス形態や職種などに応じて、ケース別に志望動機の例文を紹介します。

例文1:特別養護老人ホーム(特養)の介護職に応募する場合

例:特養の介護職に応募する場合
利用者さん一人一人と向き合った介護をしたいと思い志望しました。
貴事業所は、「利用者さんがその人らしい生活を送れるようサポートする」という理念に基づき、個別ケア(利用者一人ひとりの個性やニーズに合わせたケア)に率先して取り組まれています。

これまで3年間勤務してきた特別養護老人ホームでは、どちらかというと効率を重視する従来型の集団ケアのスタイルで、一人ひとりのペースに合わせにくい点や利用者さんとの距離が縮まりにくい点にもどかしさを感じていました。

この経験から、個別ケアに力を入れている施設で働きたいと考えるようになりました。貴事業所は、介助ロボットなども用いて、職員の負担を減らしつつ、その時間で利用者さん一人一人と向き合える時間を創出できていると知りました。
利用者さんやご家族の声に耳を傾け、その方にとって最適な介護を提供できる介護職になりたいと思っています。
まずは一言で何に魅力を感じたのか伝え、そのうえで事業所の特性について伝えていきましょう。この場合は、「利用者さん一人一人に寄り添ったケアをしたい」というのが軸となっています。
また、前職をマイナスに伝えるのではなく、自分の考え方とあくまで相違があったという表現にすることが大切です。

例文2:有料老人ホームの介護職に応募する場合

例:有料老人ホームの介護職に応募する場合
自身の強みを生かして、レクリエーションの業務により力を入れたいと思い志望しました。貴事業所は、ドッグセラピーやロックのコンサート、マグロの解体ショーといった利用者様の視点から見ても、ユニークなレクリエーションを多数企画されていて、以前から興味を持っていました。また、施設見学の際に、レクリエーションに参加する利用者さんたちの様子を見て、他の事業所のレクリエーションとは異なるやりがいや楽しさを感じていることに気づきました。

現在は通所介護施設(デイサービス)で働いていますが、レクリエーションの企画担当は最もやりがいを感じる業務です。私自身、美術系の大学を卒業しており、何かを作ったり考えたりすることは昔から好きでした。そのため、この能力を活かして人の人生をより豊かなものにしたいと思い、現在の職場でもレクリエーションの企画には特に力を入れてきました。

しかし、現在の職場で実施ができるレクリエーションの幅には限りがあるため、貴事業所で実施されているようなレクリエーションの企画は提案しても通すことができませんでした。

貴事業所でなら、前職で得た経験とスキルを活かしながら、現在の事業所では実施が難しいレクリエーションの企画にも挑戦できると思っています。レクリエーションに参加した利用者さんにとって、通うのが楽しみになる施設づくりを目標にしていきつつ、私自身も多くのことを経験し、介護職としてのスキルを高めていきたいです。
有料老人ホームが公的施設ではなく、民間施設であるからこそできることを具体的に挙げることで、入職後のギャップがなく、しっかりと調べたうえで面接に来ているとアピールすることができます。

また、現在の職でもレクリエーションの企画に関する経験があるというのも、即戦力として活躍できるアピールになります。

例文3:通所介護施設(デイサービス)の介護職に応募する場合

例:デイサービスの介護職に応募する場合
運営規模が大きい事業所で、スキルアップを目指しつつ、より多くの経験を積みたいと思ったからです。貴事業所は、利用者の人数も多く、また施設数も複数あり非常に大きい規模であると認識しています。そのため、施設見学時にも多様な利用者さんと触れ合うことができたり、職員の方から、同じ事業所間で異動をし、地域差などに触れた経験を聞いたりしました。

現在勤めている施設は、地域密着型の小規模デイサービスです。アットホームで利用者さんとの距離も非常に近くやりがいを感じやすいのですが、勤続3年目となったため、より多くの経験を積みたいと考えています。

また、貴事業所は資格取得に対するスキルアップが手厚いことも魅力です。
多くの利用者さんと関わるなかで経験を積みながら、スキルアップも目指し、将来的には新人職員を育成できるようになりたいです。
上記例文では、大きな施設に行きたい理由としてスキルアップや経験値を積むことといった前向きな理由を掲げています。
また、新人育成も視野に入れているというエピソードで、長期的に働くつもりがあるというアピールにも繋がります。

例文4:訪問介護事業所のホームヘルパーに応募する場合

例:訪問介護事業所のホームヘルパーに応募する場合
地域包括ケアシステムに興味があり、介護職の中でも訪問事業の貢献度の高さに惹かれ志望しました。特に貴施設は、地域の高齢者が交流できる施設を運営していたり、地域との連絡も他施設と比較して、より密にとっていたりと地域に密接して運営していることを知り魅力を感じました。

私は10年以上、特別養護老人ホームで働いてきました。介護業界で働いていると、「できるだけ住み慣れた自宅で暮らしたい」という高齢者のニーズを肌で感じます。加えて、今後ますます高齢化が進むにつれて訪問介護の重要性が高まると予想されることも、ホームヘルパーへの転職を考えるきっかけになりました。

訪問介護の現場で、長年の介護職としての経験と身体介護のスキルを活かし、利用者さんの個性やニーズに合わせたケアを行いつつ、地域とも連携をとり、より社会貢献をしながら働いていきたいです。
社会的な背景にも触れながら、訪問介護サービスの特徴をきっちり踏まえてホームヘルパーになりたい理由を伝える、経験を積んできた介護職として相応しい志望動機です。

応募先の事業所の特徴を盛り込んでいる点も、採用担当者の印象に残りそうです。

例文5:未経験(他業種)から施設の介護職に応募する場合

例:未経験(他業種)から施設の介護職に応募する場合
祖父母の介護経験を生かしたいと思い志望しました。
私は一昨年まで、祖父母の介護を両親と行っていました。最初は介護に対して消極的な気持ちでしたが、経験を積むなかで、ただ介護をするのではなく相手に生きる活力を与えていることに気づきました。また、祖父母は定期的にデイサービスに通っていたのですが、祖父母が介護職員さんの顔を見ると安心した様子を見せていて、私もこのように誰かに頼りにされる、安心してもらえるような存在になりたいと思いました。

貴事業所では、未経験の職員に対し1週間に1度集合型の研修を開いていると聞きました。介護職員初任者研修は先月修了しましたが、介護職としての実務経験がないため、研修体制が整っている貴事業所で介護職としての第一歩を踏み出したいと考えています。

できるだけ早く知識やスキルを身につけ、誰かにとって頼りたい介護職員を目指したいと思っています。
未経験者の場合、介護業界そのものを知らないわけですから、応募先の事業所でないとだめと言い切れるほどの強い志望動機はないかもしれません。
その事業所に魅力を感じた理由や経緯を素直に伝え、介護職につきたいと思っている理由を中心に述べましょう。前職が他業種でも、コミュニケーション能力など介護の現場で活かせる強みがあれば盛り込むとよいでしょう。

例文6:ブランクありで施設の介護職に応募する場合

例:ブランクありで施設の介護職に応募する場合
以前は有料老人ホームで介護職として勤務していましたが、出産を機に退職し、約7年間、子育てに専念していました。この度、復職することを決意し、子どもを持つ職員向けの制度が充実している貴事業所に応募しました。

ブランクはありますが、その間、2人の子どもの育児と家事を経験したことで、迅速に判断する力や段取りを考えて業務を進めるスキルは向上したと考えています。また、以前よりもご利用者の役に立ちたい、社会に貢献したいという意識が高まっています。

最近は復職に向けて、介護の知識を学び直しています。将来は介護福祉士の資格を取得し、ご利用者のご家族の相談にも乗れるような経験豊富な介護職を目指して、貴事業所でキャリアを重ねていきたいです。
介護職は、他業種に比べるとブランクがあっても仕事復帰しやすい職種だといわれています。長く現場を離れていたからといって謙虚になりすぎず、自分の強みをアピールして復職したい気持ちを真剣に訴えることが大切です。

この例文では、ブランクの間に得た経験や意識の変化も盛り込んで志望動機につなげています。

例文7:介護職から施設ケアマネ(介護支援専門員)に転職する場合

例:介護職から施設ケアマネに転職する場合
「職員全員がプロ意識を持ち、質の高いサービスを提供する」という貴事業所の理念に共感し、ケアマネージャーの職に応募しました。
10年にわたって特別養護老人ホームや有料老人ホームで働き、現場でケアにあたる介護職を天職だと感じてきました。しかし経験を重ねるうち、利用者さんの希望や身体の状態に適した満足度の高い介護サービスを提供するにはケアプランが重要だと実感しました。そこで、ケアプランの作成を行う、ケアマネージャーを志すようになり、2カ月前に介護支援専門員の資格を取得しました。

ケアマネージャーの仕事自体は未経験ですが、貴事業所の施設ケアマネとして、職員の皆さんのプロ意識も学びながら、長年の介護経験や介護福祉士としての専門知識、人生経験を活かして全力で業務にあたりたいです。利用者さんはもちろん、そのご家族の立場にも立って考えられるケアマネージャーを目指しています。
利用者やそのご家族の希望を聞き、介護職や管理職、医療関係者の意見を調整しながら、介護サービスの計画書であるケアプランを作成するケアマネージャー。応募するには、介護福祉士や看護師などの医療福祉系の国家資格に基づく実務を5年以上、または生活相談員などの相談業務を5年以上経験したうえで、介護支援専門員の試験に合格するという条件を満たす必要があります。

そうした条件に加えて、事務処理能力や総合的な人間力も必要とされる職種です。例文は未経験からチャレンジするケースですが、ケアマネージャーを志す理由を中心に、事業所の理念への共感、介護職としての豊富な経験があることも伝えています。

すでにケアマネージャーとしての経験があって別の事業所に応募する場合は、その事業所で働きたい理由をしっかり述べたうえで、ケアマネージャーとしての経験や強み、将来像を盛り込みましょう。

例文8:介護職から施設の生活相談員に転職する場合

例:介護職から施設の生活相談員に転職する場合
「信頼の上に成り立つコミュニケーション」を理念の1つとしている貴事業所で、利用者さんやご家族はもちろん他の職員にも心から信頼してもらえる生活相談員を目指したいと思い、志望しました。

介護職として4年間の経験があり、介護福祉士の資格も持っています。以前勤めていた有料老人ホームで、生活相談員の職員が、利用者さんやご家族と丁寧に対話し、難しく思える課題を粘り強く解決していく姿に尊敬の念を抱き、生活相談員への転職を考えるようになりました。

介護職としての経験やスキルをもとに、まずは相談業務をきっちりこなせるよう、経験を重ねたいです。将来的には貴事業所の窓口として営業力も養い、運営を支える存在になりたいと思っています。
生活相談員は、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、通所介護施設(デイサービス)などで、利用者さんや家族からの相談への対応をはじめ、入退所の手続き、事業所内外の関係者との連絡調整など幅広い業務を行います。原則として社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかの資格が必要ですが、自治体によっては、一定期間以上の介護や相談業務の経験があれば無資格でもなれる場合があります。

未経験から目指す場合は、例文のように、事業所の魅力とともに、生活相談員を目指そうと思ったきっかけを伝えるエピソードを盛り込みましょう。経験者の場合は、過去の生活相談員としての仕事ぶりや周囲の評価などが伝わるエピソードを盛り込み、その事業所に転職したい理由を明確に示すことが大切です。

例文9:介護職からサービス提供責任者に転職する場合

例:介護職からサービス提供責任者に転職する場合
訪問介護事業所でホームヘルパーの指導や管理にも携わりたいと思い志望しました。
貴事業所では、サービス提供責任者とホームヘルパーが月1で1on1ミーティングを行っていると知りました。私自身、ホームヘルパーとして5年働くなかで、利用者さんとの関係に悩み退職していく同僚を数回目撃しました。このときに、訪問介護であるからこそ他のヘルパーの様子が見えず、ヘルパー同士での相談が難しい状況にもどかしさを感じていました。

貴事業所でなら、サービス提供責任者として全体を見渡すだけでなく、この1on1も通じてヘルパーの悩みに向き合う機会を増やせると考えました。
悩みを少しでも多くなくし、人間関係での退職が少ない現場を作っていきたいと考えています。
サービス提供責任者は、主に訪問介護事業所で、利用者とホームヘルパー間の連絡・調整を行う仕事です。ケアプランをもとに訪問介護サービスのプランを作成し、ホームヘルパーへの指示・指導も行います。

この例文では、ホームヘルパーとしての十分な経験、訪問事業への課題意識、ホームヘルパーの指導・育成に対するモチベーションをアピールし、次のキャリアとしてサービス提供責任者を考えていることを伝えています。未経験ながら、採用担当者に「即戦力として活躍できそう」と思わせる現実的で説得力のある志望動機です。

すでにサービス提供責任者としての経験がある場合は、自分の経験値が伝わるエピソードを交えながら、応募先の事業所に転職したい理由を中心に述べるとよいでしょう。

志望動機を書く際の注意点

志望動機を書く際には、具体性が大切ですが書かないほうが良いことや表現に気をつけたいこともあります。次のポイントを確認し、採用担当者にマイナスに捉えられないよう注意しましょう。

1.前職の悪口を書かない

志望動機でも面接でも、「ブラックな職場環境だったから」「前職の上司が高圧的だったから」といった前職を悪く言う退職・転職理由は、たとえ事実であっても控えましょう。採用担当者に、この応募者は、嫌なことがあるとすぐに辞めてしまうのではないかと思われるからです。

選考の場では、「キャリアアップを図りたいから転職したい」など前向きな理由でアピールする方が印象を良くするのは明らかです。

2.抽象的な内容は、より具体的に

応募先の事業所を志望する理由やそのきっかけとなったエピソードは、できる限り具体的に書くことが重要です。
例えば事業所を志望する理由として「ご利用者のニーズを最優先する介護に共感したためです」とだけ書くと、抽象的で印象に残らない可能性があります。

介護の現場では利用者のニーズを最優先にすることは当たり前の考え方で、どこの事業所でもさまざまな工夫をしています。もう一歩踏み込んで、その事業所がどのように利用者のニーズを最優先しているのかを書くと、応募者がその事業所に興味を持っていて真剣に入職を望んでいることが伝わります。事業所がやっている独自の取り組みや対策を調べてみましょう。

3.待遇面のこだわり、通勤しやすさは表現を工夫

例:待遇の良さにこだわった理由の書き方
成果を重視し、業務に対する評価制度が整っている点に魅力を感じました。介護職はもちろん、利用者さんの生活を支えることが最大のやりがいであると考えています。

しかし、取得した資格に対する評価や、実施した業務量に基づく評価もモチベーションを高めたりさらにスキルアップをするために必要な環境であると考えています。
そのような環境を活かして、より介護職としてのスキルを高めていきたいです。
例:通勤が便利な施設を選んだ理由の書き方
勤務時間の幅を広げて、介護職としての経験を積みたいと考えているからです。
現在の職場では、要介護度の高い利用者さんの介護にも携わることができ、非常にやりがいを感じています。

しかし、最寄りのバスのダイヤの都合上、早朝や夜勤のシフトには入ることができませんでした。早朝や夜勤にも興味があり、もどかしさを感じていたところ貴施設がオープンすると聞き、通勤時間を要さないため早番や夜勤などの経験も積むことができると考えました。

貴施設では幅広い時間帯に勤務をすることで、さらに介護のスキルや利用者さんに提供する介護の質を高めていきたいです。
上記のように、待遇面や通勤時間を魅力とする際にはそれらがスキルアップにつながる、経験に繋がるなどといった内容に繋げていけるよう工夫しましょう。

ぜひ、周囲の人に添削をしてもらいましょう!

志望動機を考えているうちに、だんだん何を書きたかったのか、伝えたいことが伝わっているかなど、不安が生じてきます。
そのようなときは、一度周囲の人に目を通してもらうと良いでしょう。介護に携わる友人や同僚ももちろん良いですし、介護業界とは関係ない方に見てもらっても、文脈がおかしくないか、内容が理解できるかなど確認してもらうことができると思います。

また、1人だけに見てもらうと、その人の価値観に寄ってしまう可能性があるため、可能であれば複数の人に目を通してもらえると良いでしょう。

介護の専門家/伊藤さんから志望動機の作成に迷っている方へアドバイス

執筆者/専門家

伊藤 浩一

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/14

茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもみじ館施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 NPO法人 ちいきの学校 理事 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員

志望動機とは「自分が〇〇な状態になりたいと思ったきっかけ」

そもそも、志望動機とは何かを考えてみましょう。
辞書で調べてみると、

志望:自分がこうなりたい、こうしたいと望むこと
動機:人間がある状況のもとでその行動を決定する意識的・無意識的な原因

と出てきます。つまり志望動機とは簡単に言うと、「自分が〇〇な状態になりたいと思ったきっかけ」というように考えられるのです。

志望動機を書く際には自問自答を繰り返しましょう!

上記を踏まえると、介護職の転職における志望動機とは、
「志望先の事業所でこんな風に仕事をしている状態になりたいと思ったきっかけ」というようになりますね。
では、どのように仕事をしたいのかであったり、なぜここで仕事をしたいのかなどを自分に問いかけながら志望理由を整理してみましょう!

1.なぜ介護の仕事をしてみようと思ったのか?そのきっかけは?

・祖父母の介護をする親の姿を見てきたから
・TVで介護職について知り、人の生活を支える姿に興味を持った
・国も力を入れている業界で共に成長したいと思った

などのように様々なきっかけがあると思います。そのうえできっかけと、志望する施設のギャップがないかを確認しましょう。

2.なぜこの事業所を選んだのか?そのきっかけは?

・提供しているサービスに興味をもった
・近所に新しく施設ができた
・今までできなかった介護に挑戦できそう

など「この施設いいな」と思ったきっかけを考えてみてください。そして、これを深堀ることでこの施設でなきゃダメな理由を見つけることができるようになります。

介護職で大切なことは「相手の身になれるか」

仕事によって求める人材は異なります。また、その会社の色や雰囲気もあるので、仕事に適した経歴や技術をもっていたとしてもマッチングしないこともあります。

なぜなら、事業所側は、その事業所・施設において同じ目的を共有できる人材を求めているからです。
仮に、サッカーチームに所属していて、新しいメンバーが入って来た際、その新メンバーが今までのチームの方針を全く無視した行動をとられたら困りますよね。

私は、介護職は「相手の身になれるか?」が最も重要なポイント(方針)だと考えます。 この回答をヒントに「無意識」を「意識」に変えてみてください。

最後に:ポイントを押さえて「ここで働きたい!」を伝えていきましょう

ここまで志望理由を書く際のポイントについて解説をしてきました。
イメージは湧きましたでしょうか。志望理由を書く際は、とにかく「ここで働きたい!」という未来に焦点をあてて話すことをおすすめします。そのため、「前職のこういうところが嫌だった」「今はこんなことで悩んでいる」のような過去や現在に関するマイナスな話はできる限り控えましょう。

自分自身と相手(事業所)を分析することで、より具体的な志望動機の作成が可能です。転職活動成功に向けてしっかりと取り組んでいきましょう。

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