第33回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(介護の基本)

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第33回 介護福祉士国家試験の試験科目【介護の基本】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


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第33回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(介護の基本)

問題1

「価値のある社会的役割の獲得」を目指すソーシャルロール・バロリゼーション(Social Role Valorization)を提唱した人物として、正しいものを1つ選びなさい。

1.バンク-ミケルセン(Bank-Mikkelsen,N.)
2.ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger,W.)
3.メイヤロフ(Mayeroff,M.)
4.キットウッド(Kitwood,T.)
5.ニィリエ(Nirje,B.)

解答

2.ヴォルフェンスベルガー(Wolfensberger,W.)

解説

1.(×)バンク-ミケルセンは、ノーマライゼーションを世界で初めて提唱した人物です。
2.(○)ヴォルフェンスベルガーは、ノーマライゼーションの理念を発展させ、ソーシャルロール・バロリゼーションを提唱しました。これは、障害者などの「価値ある社会的な役割の獲得」を通して、文化的・社会的な側面からもノーマライゼーションを達成しようとするものです。
3.(×)メイヤロフは、ケアの概念を「最も深い意味でその人が成長すること、自己実現することを援助すること」と定義しました。
4.(×)キットウッドは、認知症ケアにおけるパーソン・センタード・ケア(その人らしさを中心としたケア)を提唱しました。
5.(×)ニィリエは、バンク-ミケルセンが提唱したノーマライゼーションを8つの原理にまとめました。

問題2

ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)に おける環境因子を表す記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)である。
2.糖尿病(diabetes mellitus)があるため服薬をしている。
3.医者嫌いである。
4.町内会の会長を務めていた。
5.娘が近隣に住み、毎日訪問している。

解答

5.娘が近隣に住み、毎日訪問している。

解説

1.(×)アルツハイマー型認知症であることは、「心身機能」に該当します。
2.(×)服薬することは、生活機能の「活動」に該当します。
3.(×)医者嫌いであることは個人の好みや価値観であるため、背景因子の一つである 「個人因子」となります。
4.(×)町内会の会長を務めていたことは個人の経歴や社会的役割であるため、背景因子の 一つである「個人因子」となります。
5.(○)近隣に住む娘が毎日訪問していることは人的環境であり、背景因子の一つである 「環境因子」に該当します。

問題3

介護施設におけるプライバシーの保護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.ユニット型施設は個室化が推進されているため、各居室で食事をしてもらった。
2.個々の利用者の生活歴の情報を、ルールに従って介護職員間で共有した。
3.個人情報記録のファイルを、閲覧しやすいように机の上に置いたままにした。
4.着衣失行があるため、トイレのドアを開けたままで排泄(はいせつ)の介護を行った。
5.家庭内の出来事や会話の内容は、情報に含まれないため記録しなかった。

解答

2.個々の利用者の生活歴の情報を、ルールに従って介護職員間で共有した。

解説

1.(×)居室は個室であっても、他の利用者と社会的関係を構築できるよう、食事は共同生活室で行うことが適切です。
2.(○)個々の利用者の情報は、介護サービスを提供する上で必要不可欠なものであり、 プライバシー保護のルールに従って共有することは適切です。
3.(×)個人情報記録を誰でも閲覧できる状態で放置することは不適切です。
4.(×)着衣失行があっても、排泄介助においてはプライバシーを十分に保護し、 心理的負担に配慮して対応する必要があります。
5.(×)家庭内の出来事や会話の内容は、利用者に介護サービスを提供する上で有用な情報となる 可能性があるため、必要に応じて適切に記録します。

問題4

ハインリッヒ(Heinrich,H.)の法則に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.機能障害、能力障害、社会的不利という障害をとらえるための分類である。
2.人間の自己実現に向けた欲求を5つの階層で示したものである。
3.一つの重大事故の背景には、多くの軽微な事故とヒヤリハットが存在する。
4.患者が余命を知らされてから死を受容するまでの心理的プロセスである。
5.生活課題を抱えた人の支援をする上で必要な7つの原則である。

解答

3.一つの重大事故の背景には、多くの軽微な事故とヒヤリハットが存在する。

解説

1.(×)選択肢の内容は、国際生活機能分類(ICF)に関する説明です。
2.(×)選択肢の内容は、マズローの欲求階層説に関する説明です。
3.(○)ハインリッヒの法則は、労働災害の事例を集計・分析して導き出されたもので、「1つの重大事故の背景には、29の軽微な事故が存在し、さらにその背景には300の異常(ヒヤリハット)が隠れている」としています。
4.(×)選択肢の内容は、エリザベス・キューブラー・ロスが唱えた死の受容モデルに関する説明です。
5.(×)選択肢の内容は、バイステックの7原則(対人援助技術の原則)に関する説明です。

問題5

利用者の自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.ごみの分別がわからない利用者だったので、その場でごみを分別した。
2.利用者の自宅の冷蔵庫の中が片づいていないので、整理整頓した。
3.トイレ誘導した利用者の尿パッドを、本人に配慮して無言で取り替えた。
4.服薬時に、薬を飲むように促して、そばで確認した。
5.利用者が居間でテレビを見ているそばで、洗濯物を畳んだ。

解答

4.服薬時に、薬を飲むように促して、そばで確認した。

解説

1.(×)介護福祉職が分別してしまうと、見守り的援助にはなりません。
2.(×)片づいていないと感じたのは介護福祉職の主観であり、利用者にとっては使いやすい状態であった可能性もあるため、自己判断で整理整頓することは不適切です。
3.(×)利用者本人への配慮や清潔保持は大切ですが、無言で行うことは不適切であり、利用者が安心できるような声かけを実践すべきです。
4.(○)利用者の自立を支援するため、安全に留意した上で服薬を促し、そばで確認することは、適切な見守り的援助となります。
5.(×)介護福祉職が洗濯物を畳んでしまうと、見守り的援助にはなりません。

問題6

高齢者のリハビリテーションに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.機能訓練は、1回の量を少なくして複数回に分けて行う。
2.基本的な動作を行う訓練は、物理療法である。
3.関節障害のある人の筋力訓練は、関節を積極的に動かすことが効果的である。
4.パーキンソン病(Parkinson disease)の人の訓練では、体幹をひねることは避ける。
5.関節リウマチ(rheumatoid arthritis)の人の訓練は、朝に行うことが効果的である。

解答

1.機能訓練は、1回の量を少なくして複数回に分けて行う。

解説

1.(○)体力が低下した高齢者のリハビリテーションでは、負荷がかかり過ぎないように1回の量を少なくし、複数回に分けて継続的に行うことが効果的です。
2.(×)基本的な動作の維持・改善を図る訓練は、作業療法です。物理療法は、電気や温熱、光線などを用いて運動機能の維持・改善を図るものです。
3.(×)関節障害のある人の筋力訓練では、積極的に動かすことで関節を痛めてしまう可能性があるため、関節周囲の筋力増強などを図ります。
4.(×)パーキンソン病の人の訓練では、体幹の筋力増強を図り、回旋を可能にすることで小刻み歩行を予防します。体幹をひねることは効果的であり、転倒防止のため座位で行われます。
5.(×)関節リウマチでは、多くが朝に関節のこわばりを生じるため、訓練は症状が落ち着いた日中に行うことが効果的です。

問題7

施設利用者の多様な生活に配慮した介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.夜型の生活習慣がある人に、施設の就寝時刻に合わせてもらった。
2.化粧を毎日していた人に、シーツが汚れるため、化粧をやめてもらった。
3.本に囲まれた生活をしてきた人に、散乱している本を捨ててもらった。
4.自宅で畳に布団を敷いて寝ていた人に、ベッドで寝てもらった。
5.自宅で夜間に入浴をしていた人に、夕食後に入浴してもらった。

解答

5.自宅で夜間に入浴をしていた人に、夕食後に入浴してもらった。

解説

1.(×)施設の規則に合わせているのであり、利用者の生活習慣に配慮してはいません。
2.(×)シーツが汚れて困るのは施設側の都合であり、利用者の好みや習慣を尊重していません。
3.(×)あくまでも本人の意思が尊重されるべきであり、介護福祉職のみの判断で本を捨ててもらうことは不適切な対応です。
4.(×)布団を敷いて寝たいと希望している可能性が高く、施設側の都合を優先していることになります。より良い方法を一緒に考える姿勢が求められます。
5.(○)利用者の生活習慣を尊重して入浴時間を調整することは、多様な生活に配慮した適切な対応だといえます。

問題8

介護医療院に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.入所できるのは要介護3以上である。
2.介護医療院の開設は市町村から許可を受けなければならない。
3.入所者のためのレクリエーション行事を行うように努める。
4.入所者一人当たりの床面積は、介護老人福祉施設と同じ基準である。
5.サービス管理責任者を1名以上置かなければならない。

解答

3.入所者のためのレクリエーション行事を行うように努める。

解説

1.(×)介護医療院に入所できるのは、要介護1~5に認定された人です。
2.(×)介護医療院の開設は、都道府県知事から許可を受けなければなりません。
3.(○)介護と医療の両方のサービスが提供される介護医療院は、入所者の生活の場となるため、運営基準にレクリエーション行事実施の努力義務が定められています。
4.(×)入所者一人当たりの床面積は、介護老人福祉施設は10.65m2以上、介護医療院は8.0m2 以上とされています。
5.(×)サービス管理責任者の配置は要件とされていません。

問題9

Eさん(女性、82歳、要介護1)は、夫(80歳)と二人暮らしである。膝の痛みがあるが、夫の介助があれば外出は可能である。最近Eさん宅は、玄関、トイレ、浴室に手すりを設置している。Eさんは料理が趣味で、近所のスーパーで食材を自分で選び、購入し、食事の用意をしたいと思っている。こうした中、Eさん宅で介護支援専門員(ケアマネジャー)が関係職種を招集してサービス担当者会議を開くことになった。

Eさんの思いに添ったサービスの提案として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.訪問介護員(ホームヘルパー)による調理の生活援助の利用
2.介護支援専門員の手配による配食サービスの利用
3.社会福祉協議会の生活支援員による日常生活自立支援事業の活用
4.福祉用具専門相談員の助言による四輪歩行車の利用
5.通所介護(デイサービス)の職員による入浴サービスの利用

解答

4.福祉用具専門相談員の助言による四輪歩行車の利用

解説

1.(×)料理が趣味で、自分で食事の支度をしたいという希望があるため、調理の生活援助をサービスとして提案することは不適切です。
2.(×)Eさんは夫の介助があれば外出も可能であり、自分で選んで食材を購入し、食事の用意をしたいと思っていることなどから、配食サービスの利用を提案するのは不適切です。
3.(×)日常生活自立支援事業の対象者は、認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な人であり、Eさんは該当しません。
4.(○)膝の痛みがあり、自宅でも手すりを利用していることから、安全に外出するための支援が必要であると考えられます。
5.(×)浴室にも手すりを設置しており、通所介護での入浴サービスを積極的に希望しているとは考えにくい状態です。
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