本日のお悩み
ケアマネをしています。昨年から担当しているかたへの対応について質問です。
自分のミスでそのかたの権利であるオムツ支給の申請を怠り損害を与えてしまいました。
保険者に相談したところ、申し込みは動ける家族がやることであり100%ケアマネの責任とは言えないとの見解。遡って支給はできません。
先日謝罪のために訪問し十分に時間をかけて話しを聞ききましたが、全く聞いてもらうことができず、来週管理者が訪問し再度話しをし謝罪。
今後は別の居宅のケアマネ交代の予定になっています。
とても激しい性格の奥様で毎日ご主人を怒鳴り散らし、
明らかに虐待ケースですが、お互いが親戚付き合いもなく、頼れる友人もいません。
虐待の届けをしたらどんな恨みを買うか考えるだけでも恐ろしいです。
その上、障害のタクシー券についても、もらってきてと頼んだのに行ってくれてないと言い出し
それはケアマネの仕事ではない、といくら説明してもわかってもらえません。
契約時の重要事項説明に、オムツやタクシー券の申請代行などはありません。
ただ、それで通る人ではないので困っています。
損害賠償だ、訴えると言われ、上司管理者と対応に悩んでいます。
どのように対応したら解決するのか、ご助言いたたけますようお願いいたします。
相談者:さくらざか さん
訴えの背景にあるかもしれない「悲鳴」にも目を向けてみて
質問内容を拝見し、日々悩みながら対応していらっしゃる様子が目に浮かびました。
担当している方は他にもたくさんいるのに、その方にどれだけ時間を費やしたらいいのか……と途方に暮れる気持ちもあるでしょうか。
■課題を分けて考えてみましょう
さて、ご質問の中にはいくつかの課題が混同しているように感じました。
まず1つ目は、オムツ支給の申請を怠り損害を与えてしまったことについて。
2つ目は、虐待行為の対応について。
3つ目は、本来の業務ではない過度な要求への対応についてです。
■オムツ支給の申請を怠り損害を与えてしまったこと
まず、1つ目について。
これは奥様が納得する落としどころをきちんと話し合う必要があるかと思います。
すでに対応されていると思いますが、質問者さんだけではなく管理者も含め組織として対応を検討し、ミスがあったことに対しては再発を防ぐための今後の対応についてもお伝えしましょう。
誠意をもった謝罪と、今後同じことを起こさないということが大切だと思います。
■虐待行為の対応
2つ目については、1番優先させるべきなのは利用者の「命」です。
専門職として、これだけは揺らいではいけない部分です。
家族に恨まれるというのは自身の保身でしかなく、まずは利用者の命を守る行動をとるべきです。
すでにご利用者本人は1度ご自宅を出たことがあるそうですが、また同じようなことが起き、万が一事故に遭うようなことが起きたらと思うと
地域包括支援センターや市役所など他機関と相談しながら早急に対応を検討するべきではないかと思います。
■過度な要求への対応
3つ目については、やや1つ目の課題にも重なる部分があります。
実は、それらの訴えは、奥様の「悲鳴」なのかもしれません。
どういうことかというと、「私を見て、私を理解して、手を差し伸べて!」というSOSを、「苦情」という形で表現しているかもしれないということです。
あくまでも推測ですが、親戚も、ご友人もいらっしゃらないと書かれていましたので
実は誰かに聞いてほしい、理解してほしいことがあるけれど、機会がなく表現も出来ず様々な状況が相まった結果の表現なのかもしれません。
これについては、奥様の人となりや心、気持ち、そして訴えの背景にある「悲鳴」がなにが要因であるかを、相談援助技術によって明らかにしていく必要があります。
かなり分厚く読み応えがありますが、奥川幸子著「身体知と言語」を読むと、このあたりの理解が深まるのでぜひおすすめです。
また、どうしても解決の方向に進まない場合は、福祉分野に強い弁護士さんに相談する、という方法もあります。
■問題には、組織で対応を
いずれにせよ、「これ!」といった即解決する策はありませんが、1人で抱え込まずに組織で対応を検討するということが大切かと思います。
事態が落ち着き、みなさんが穏やかに過ごせることを願って、応援しています。
社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員