第33回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(認知症の理解)

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第33回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(認知症の理解)

問題1

日本での認知症(dementia)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)以外の認知症(dementia)の患者数が増加している。
2.アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)の有病率は、男性より女性が高い。
3.年齢が若いほど、認知症発症のリスクが高い。
4.生活習慣病(life-style related disease)と認知症発症には関連がない。
5.運動は認知症予防に無効である。

解答

2.アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)の有病率は、男性より女性が高い。

解説

1.(×)アルツハイマー型認知症も含め、すべての認知症の患者数が増加しています。
2.(○)アルツハイマー型認知症の有病率は男性より女性が高く、女性の発症率は男性の1.5~2倍であるといわれています。
3.(×)認知症発症のリスクは、加齢に伴って高齢者ほど高くなっていきます。
4.(×)生活習慣病は、認知症発症のリスク因子となります。
5.(×)適度な運動は生活習慣病の予防に有効であり、認知症予防にも有効であるといえます。

問題2

うつ病(depression)による仮性認知症(pseudodementia)と比べて認知症(dementia)に特徴的な事柄として、適切なものを1つ選びなさい。

1.判断障害がみられることが多い。
2.不眠を訴えることが多い。
3.誇張して訴えることが多い。
4.希死念慮がみられることが多い。
5.抗うつ薬が効果的であることが多い。

解答

1.判断障害がみられることが多い。

解説

1.(○)仮性認知症では、応答に時間を要するだけで正しく判断することが可能です。判断障害は、認知症にみられる特徴的な症状の一つです。
2.(×)不眠は、認知症でも仮性認知症でもみられる非特異的な症状です。
3.(×)誇張や作り話で病気や不調を訴える行動は、作為症(虚偽性障害)やうつ病などでみられます。
4.(×)繰り返し死にたいと考える希死念慮は、うつ病でみられる症状です。うつ病が原因となる仮性認知症でもみられます。
5.(×)抗うつ薬が効果的であることが多いのは、仮性認知症です。

問題3

認知症初期集中支援チームに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.認知症(dementia)の人は病院への入院や施設への入所をするべきであるという考えに基づいている。
2.既に認知症(dementia)の診断を受けている人への支援は含まれない。
3.家族への支援は含まれない。
4.支援期間は2~3年である。
5.チーム員会議を開催してケア方針を決定する。

解答

5.チーム員会議を開催してケア方針を決定する。

解説

1.(×)入院や施設への入所をできるだけ避け、在宅で自立した生活を送れるようサポートします。
2.(×)すでに認知症と診断されていても、医療・介護サービスを受けていない場合は対象となります。
3.(×)支援対象は、40歳以上の認知症が疑われる人、認知症患者、その家族であり、家族への支援も含まれます。
4.(×)支援期間はおおむね6か月間であり、集中して対象者の在宅支援を行います。
5.(○)認知症初期集中支援チームは、専門医、保健師、看護師、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士などから構成され、早期診断・早期対応に向けて訪問や会議などを行います。

問題4

Cさん(87歳、男性、要介護5)は、重度のアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)である。
現在、介護老人福祉施設に入所しているが終末期の状態にある。できる限り経口摂取を続けてきたが、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)(aspiration pneumonia)を繰り返し、経口摂取が困難となった。臥床状態(がしょうじょうたい)が続き、声かけに対する反応も少なくなっている。
医師から、「死が極めて近い状態である」と伝えられた。

施設で看取(みと)ることになっているCさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1
つ選びなさい。

1.離床している時間をつくる。
2.会話によって本人の希望を聞く。
3.事前指示書を作成する。
4.苦痛があるかないか、状態を観察する。
5.本人の好きな食事を用意する。

解答

4.苦痛があるかないか、状態を観察する。

解説

1.(×)要介護5の認知症患者が終末期の状態にあり、離床は困難であると考えられます。
2.(×)声かけに対する反応が減っている状態であれば、会話による意思疎通は難しいと思われます。
3.(×)事前指示書とは、将来自らが判断能力を失った際に備えて、医療についての本人の希望を予め伝達するための法的文書のことです。事前に準備するものであり、死が極めて近い状態で作成することは困難です。
4.(○)苦痛の緩和を最優先に考慮すべき段階であり、苦痛の有無を確認することが適切です。
5.(×)すでに経口摂取は困難となっているため、適切な対応とはいえません。

問題5

クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.有病率は1万人に1人である。
2.プリオン病である。
3.認知症(dementia)の症状は緩やかに進行する場合が多い。
4.致死率は低い。
5.不随意運動は伴わない。

解答

2.プリオン病である。

解説

1.(×)日本での有病率は、100万人に1人といわれています。
2.(○)プリオン蛋白が変化した異常プリオンが脳に沈着することが原因であり、動物に感染する牛海綿状脳症(狂牛病:BSE)などの類似疾患とともにプリオン病と総称されます。
3.(×)クロイツフェルト・ヤコブ病は認知症の原因疾患の一つであり、認知症の症状は発症して数か月のうちに急速に進行します。
4.(×)認知症の症状だけではなく、筋固縮などの運動失調や、意識障害などの神経症状が初期から出現し、寝たきり状態になった後は全身衰弱や呼吸器系疾患などが原因となり、多くは発症から1~2年で死に至ります。
5.(×)歩行障害や行動異常に加え、しばしばミオクローヌスと呼ばれる不随意運動を伴います。

問題6

レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies)に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.脳梗塞(cerebral infarction)が原因である。
2.初発症状は記憶障害である。
3.けいれんがみられる。
4.人格変化がみられる。
5.誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)(aspiration pneumonia)の合併が多い。

解答

5.誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)(aspiration pneumonia)の合併が多い。

解説

1.(×)脳梗塞が原因となるのは、脳血管性認知症です。レビー小体型認知症は、脳の広範囲にレビー小体という異常蛋白質が蓄積し、脳細胞が変性をきたしたり、減少したりすることが原因となります。
2.(×)初発症状としては、幻視やパーキンソン症状が現れます。
3.(×)けいれんはてんかんの症状であり、レビー小体型認知症ではみられません。
4.(×)人格変化は、前頭側頭型認知症でみられる症状です。
5.(○)レビー小体型認知症ではパーキンソン症状が出現するため、姿勢の傾きや嚥下機能低下などにより、誤嚥性肺炎を合併するリスクが高まります。

問題7

Bさん(80歳、女性、要介護2)は、1年前にアルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)の診断を受け、服薬を継続している。同居の息子は日中不在のため、週に3回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用し、訪問介護員(ホームヘルパー)と共に活発に会話や家事をしていた。不眠を強く訴えることが増えたため、1週間前に病院を受診したときに息子が主治医に相談した。その後、午前中うとうとしていることが多くなり、飲水時にむせることがあった。歩くとき、ふらつくようになったが、麻痺(まひ)はみられない。バイタルサイン(vital signs)に変化はなく、食欲・水分摂取量も保たれている。
訪問介護員のBさんと息子への言葉かけとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.「日中は横になって過ごしたほうがよいでしょう」
2.「歩行機能を保つためにリハビリを始めませんか」
3.「嚥下障害(えんげしょうがい)が起きてますね」
4.「処方薬が変更されていませんか」
5.「認知症(dementia)が進行したのでしょう」

解答

4.「処方薬が変更されていませんか」

解説

1.(×)日中横になって過ごしてしまうと、活動性が低下し、昼夜逆転が生じるなど、認知症が進行する原因となります。
2.(×)受診後に突然それまではみられなかったふらつきが生じているため、原因は歩行機能の低下ではないと考えられます。
3.(×)嚥下障害が生じている可能性があったとしても、介護福祉職が病名や障害名を断定することは不適切です。
4.(○)受診をきっかけとして、午前中の傾眠や飲水時のむせ、歩行時のふらつきが生じています。不眠症状を訴えたことで、改善を目的とした睡眠導入薬が処方されている可能性が高く、処方薬を確認することが適切です。
5.(×)受診後の変化は、認知症の進行を示すものではありません。また、介護福祉職が疾患の進行に関して断定することは不適切です。

問題8

認知症(dementia)の原因疾患を鑑別するときに、慢性硬膜下血腫(chronic subdural hematoma)の診断に有用な検査として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.血液検査
2.脳血流検査
3.頭部CT検査
4.脳波検査
5.認知機能検査

解答

3.頭部CT検査

解説

1.(×)血液検査で炎症所見などを調べることはできますが、血腫の有無を確認することはできません。
2.(×)脳血流の異常を検出する脳血流検査は、認知症や変性疾患の鑑別診断に有用な検査です。硬膜下血腫は、脳を包む硬膜と脳表面との間に血腫が存在するため、脳血流検査では検出できませ
ん。
3.(○)慢性硬膜下血腫では、頭部外傷などを原因として、脳に血腫ができることで器質的に認知症症状を引き起こします。血腫の診断には頭部CT検査やMRI検査が有用であり、検査で確認した血腫を外科的手術で取り除くことで、認知症症状が改善する可能性があります。
4.(×)脳波検査は、てんかんや意識障害などの診断時に有用な検査です。
5.(×)認知機能検査は、記憶力や判断力の低下など、認知機能を評価するための検査です。

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