マイナビ福祉・介護のシゴト
会議にケアマネが出席しない、ケアマネが相談に乗ってくれない…これって普通?

会議にケアマネが出席しない、ケアマネが相談に乗ってくれない…これって普通?

ケアマネとのかかわり方に関連したお悩みを、専門家が解決します!【回答者:大庭 欣二】かなり重たい事象であり、重たく受け止める必要があります


本日のお悩み

私は特養で働いている介護職員です。
私の施設ではサービス担当者会議にケアマネが参加せず、会議録を私のような職員が作成しています。
介護のことをよく知らないまま高卒で入社し、入社した当初からずっとそうだったのでそれを当たり前のようにやってきたのですが、他の施設でもそうなのでしょうか?

相談者:クロス さん

かなり重たい事象であり、重たく受け止める必要があります

大庭 欣二

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/11

福岡福祉向上委員会 代表

それは、大変困ったケアマネですね。
施設長などの管理職は、この現状をどこまで把握しているのでしょうか。

ケアマネの役割とは?

まずは、特別養護老人ホームにおける「ケアマネージャー」の役割を整理してみましょう。
主たる役割は「施設に入居する方・入居中の方のためにケアプランを作成し、管理すること」です。

さらにその役割を細かい業務に分けていくと、「アセスメント」「サービス担当者会議」「ケアプラン作成と更新」「モニタリング」などがあり、それらはケアマネージャーが主となり行っていきます。

サービス担当者会議とは?

その中における「サービス担当者会議」をさらに掘り下げてみましょう。
「サービス担当者会議」とは、まさに名前の通り、ケアマネージャーが作成したケアプランの内容を各サービスの担当者が集まって検討するための会議です。

ケアマネージャーがサービス担当者や関係者を招集し、自身が作ったケアプランの説明、よりよいサービスを提供するための意見交換・情報共有をします。
参加者は、ご本人や家族、各サービスにかかわる看護職・リハ職・嘱託医師などで、原則的にはケアプランを作成したケアマネージャーが中心となり、司会進行を担い、会議を進めていきます。

ケアマネ抜きのサービス担当者会議ははありえない

ここまで読んでいただいて、ご理解をいただけたと思いますが「サービス担当者会議」において「ケアマネージャー」は最重要な役割を担う職種なのです。
つまり、ケアマネージャー抜きでの「サービス担当者会議」などは、ありえないということですね。

今まで監査などでの指摘は無かったのでしょうか。
適切な施設運営がされていないとの指摘を受けても仕方がない状況です。
「行政指導」を受け、介護報酬の返還などにも通じかねない重たい事象です。

これからとるべき行動は

では、相談者さんはこれからどのような行動をとるべきなのかを考えてみましょう。
まずは一番信頼のおける先輩や上司に相談されてみてはどうでしょうか。

その現状を知っていなければ、伝えるべきであるし、その現状を把握されているのであれば、どう考えられているかを尋ねてはいかがでしょう。
その上で、そのケアマネ個人によるものなのか、施設全体の組織ぐるみのものなのかを見極め、進退も含め考えてもいいかもしれませんね。

最後に

最後に、この相談をされてこられた勇気と良心に、感謝申し上げます。
相談者さんが、利用者さんも職員さんと共に、安心して過ごせる環境で働ける日が来ることを強く願っています。

「介護職員」の求人を見る

ケアマネとの関わり方に関連したお悩み

ケアマネと介護職員の境目が分かりません。
私は無資格の介護職員なのですが、利用者様の身の回りのお世話をするのが介護職員だと認識しています。
例えば認知症の方の居室のテレビが壊れたというのは介護職員が対応し、家族と連携を取り、解決するものなのでしょうか?

ケアマネは見て見ぬふりで何一つせず、こちらに投げっぱなしです。

介護はチームワーク。コミュニケーションに主体性を持ってみては。

古畑 佑奈

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/19

社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員

ご質問を拝見し、思っていた業務内容と違う!という思いがあると読み取りました。
そして、役割分担が出来ていない、と疑問を持っていらっしゃるのではないかと思います。

介護職の役割とは?

まず、「介護職」の役割ですが、おっしゃる通り身の回りのこと、生活全般の支援です。

ただこの生活全般の支援とは、直接身体の介助をしたり、家事の援助をしたり、ということだけではありません。生活環境を整えることも、介護職の役割です。

たとえば施設であれば、その方の居室を生活動線を考慮して家具の配置を変える、手すりなど福祉用具の導入を検討する、好きな物を置くなどしてリラックスできる環境を作る、などです。

人の生活というと、その方がどうやってこれまでを生きてきたかという生活歴や個人の趣味嗜好、環境、既往歴などなど、あらゆる要素が関係してくるので、介護職は様々な視点から、その方の生活とケア方針を考える必要があります。

ケアマネージャーの役割は、ケアの方向を統一すること

そして、介護職のほかにも、医師や看護師、セラピー職、家族、友人、地域の人など様々な人が利用者の方の生活にかかわっています。介護は、チームワークで行います。

その中でケアマネジャーは、利用者本人の生活の意向を把握し、かかわる人たちのケアの方向を、統一するのが役割です。

コミュニケーションのズレが原因かも

今回ご質問いただいた内容からは、介護職とケアマネジャーの役割分担というよりは、それぞれがきちんとコミュニケーションを取れていないことに課題があるように読み取れました。

質問文には、「相談にも乗ってくれず」と書いてありますので、もしかしたら質問者さんから投げかけをしたのに、期待した答えが返ってこなかったということなのかもしれませんね。

ケアマネジャーさんがどのような考えを持っていたかわかりませんが、どう対応するか?は、お伝えしたようにチームケアですから、ケアマネジャー個人が考えることではなく、普段その方の生活をみている介護職も、受け身ではなく主体的に一緒に考えることだと思います。

ではどうすればよかったのか?専門家の意見は…

今回のケースで考えてみましょう。

ケアマネジャーに相談する際に、普段の生活の様子をみている介護職の視点から、今後のしてほしい動きを伝えてみます。例えば、「〇〇さんのテレビが壊れてしまった。普段、部屋で過ごすときににテレビを見る方なので、どうするか家族に相談をしてほしい」といった具合です。

また、家族への連絡は、絶対にケアマネジャーがしなければいけないというものではありません。
(事業所ごとに、決まりがあるところもあるかと思います)
介護職が家族と信頼関係を築くことで、安心感を与えられるというメリットもあります。

ケアの質向上のために

チームケアにおいて、役割はそれぞれであっても、その方の生活を支えるというケアの方向性は、
一緒のはずです。

チームでのコミュニケーションが密であるほど、ケアの質も上がるのではないかと思います。
歩み寄る姿勢が求められる場面も多くあるかもしれませんが、利用者の方の生活を支えるため、という目的があることであり、介護職の責務です。

最後に

もし、なんだか上手くコミュニケーションがとれないな、と感じることがあったら、同じチームのメンバーとも課題を共有してみてください。

質問者さんのその発信が、そのチームを変革するきっかけとなるかもしれません。
どの職場でも、コミュニケーションが重要視されています。

ぜひ、今後も同様のことがあったら、主体的に問題解決のためのコミュニケーションをとってみてください。

専門家への質問はこちらから!

この記事のライター

福岡福祉向上委員会 代表

関連する投稿


住居型有料老人ホームでの老老介護|介護職員ができるサポート方法とは?

住居型有料老人ホームでの老老介護|介護職員ができるサポート方法とは?

住居型有料老人ホームなどの介護施設では、夫婦での入居が認められています。長年連れ添った家族と同じ施設に入れることは安心感がある反面、施設に入居をしているにもかかわらず、老老介護になってしまうというリスクもあります。この記事では、夫婦で入居している方に介護職員ができるサポート方法を専門家が解説します!【執筆者/専門家:伊藤 浩一】


介護支援専門員(ケアマネージャー)の更新研修は必要?なぜ多くの研修を受けなければならないのか研修の目的や意義を解説!

介護支援専門員(ケアマネージャー)の更新研修は必要?なぜ多くの研修を受けなければならないのか研修の目的や意義を解説!

介護支援専門員(ケアマネージャー)の更新研修については、費用が高い、時間が長いなど批判的な意見が多く挙がっています。ではなぜ、ケアマネージャーはこんなに多くの研修を受けなければならないのでしょうか。研修の目的や意義について専門家が解説します![執筆者/専門家:脇 健仁]


【介護業界】実はそれ、労働基準法違反かも?!よくある事例を解説!

【介護業界】実はそれ、労働基準法違反かも?!よくある事例を解説!

「訪問ヘルパーの移動時間は業務外?」「アルバイトに有休はない?」実はそれ、労働基準法違反にあたるかも。この記事では、介護業界でよくある労働基準法違反の事例を専門家が解説します!働く人も事業主も知らなかったということがないようにすることで、働きやすい業界を目指しましょう。[執筆者/社労士:山本 武尊]


【スピードと質どっちが大事なの?】介護現場での仕事の効率と業務内容の質に関するお悩みに答えます!(専門家:後藤晴紀先生 回答)

【スピードと質どっちが大事なの?】介護現場での仕事の効率と業務内容の質に関するお悩みに答えます!(専門家:後藤晴紀先生 回答)

「仕事のできる人」この定義はなかなか難しいと思います。スピード重視で業務の質にはこだわらない環境に身を置く質問者。利用者に丁寧なサービスを提供したい!そんな想いがあり、立ち振る舞いや転職をするか否かなど多くの悩みを抱えています。そんな質問者のお悩みに専門家が回答します!(回答者:後藤 晴紀先生)


【介護事業の経営難はなぜ?】介護職員や経営者に求められる対策とは

【介護事業の経営難はなぜ?】介護職員や経営者に求められる対策とは

介護事業者の倒産数が過去最多となったというニュース。超高齢社会の日本においてなぜ、倒産数が増えてしまったのでしょうか。 今後、事業所が生き残るために必要なことを専門家が解説します。 【解説者:後藤 晴紀/介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員・潜水士】


マイナビ福祉・介護のシゴト 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東・甲信越】
【北陸・東海】
【関西・中四国】
【九州・沖縄】

最新の投稿


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(こころとからだのしくみ)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(こころとからだのしくみ)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【こころとからだのしくみ】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(医療的ケア)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(医療的ケア)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【医療的ケア】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(総合問題)

第36回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(総合問題)

第36回 介護福祉士国家試験の試験科目【総合問題】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

介護職が行う自立支援|4つの基本ケアや実際の取り組みについて解説!

自立支援介護とは、介護が必要になった高齢者が、可能な限り自分の力で生活できるように支援する介護のことです。高齢化が進む日本において、デイサービスなどを提供する介護施設でも近年、自立支援介護は注目されています。この記事では、自立支援介護の4つの基本ケアや実際の取り組みについて専門家が解説します!【執筆者/専門家:古畑 佑奈】


介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

介護施設で年末年始にできるイベント|クリスマス会や忘年会の準備のポイントを解説!

年末年始は、クリスマス会や忘年会などさまざまなイベントが行われる時期です。介護施設でもこれらのようなイベントを実施すると、利用者さんたちの活力を高めたり、親睦を深めたりする良い機会になります。この記事では、年末年始のイベントを企画するにあたって準備したいこと、当日取り入れられるレクリエーションなどを紹介します。【執筆者/専門家:後藤 晴紀】


マイナビ福祉・介護のシゴト
「マイナビ福祉・介護のシゴト」は、福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
介護職をはじめ、福祉・介護業界に関連する職種の求人を掲載しています。
本当に自分にあった施設や事業所を、ご自身で手軽に探すことができるよう職場の雰囲気がリアルに伝わる情報を用意することで、適切なマッチングを実現していきます。
【職種から求人・転職情報を探す】