本日のお悩み
私は特養で働いている介護職員です。
私の施設ではサービス担当者会議にケアマネが参加せず、会議録を私のような職員が作成しています。
介護のことをよく知らないまま高卒で入社し、入社した当初からずっとそうだったのでそれを当たり前のようにやってきたのですが、他の施設でもそうなのでしょうか?
相談者:クロス さん
かなり重たい事象であり、重たく受け止める必要があります
それは、大変困ったケアマネですね。
施設長などの管理職は、この現状をどこまで把握しているのでしょうか。
■ケアマネの役割とは?
まずは、特別養護老人ホームにおける「ケアマネージャー」の役割を整理してみましょう。
主たる役割は「施設に入居する方・入居中の方のためにケアプランを作成し、管理すること」です。
さらにその役割を細かい業務に分けていくと、「アセスメント」「サービス担当者会議」「ケアプラン作成と更新」「モニタリング」などがあり、それらはケアマネージャーが主となり行っていきます。
■サービス担当者会議とは?
その中における「サービス担当者会議」をさらに掘り下げてみましょう。
「サービス担当者会議」とは、まさに名前の通り、ケアマネージャーが作成したケアプランの内容を各サービスの担当者が集まって検討するための会議です。
ケアマネージャーがサービス担当者や関係者を招集し、自身が作ったケアプランの説明、よりよいサービスを提供するための意見交換・情報共有をします。
参加者は、ご本人や家族、各サービスにかかわる看護職・リハ職・嘱託医師などで、原則的にはケアプランを作成したケアマネージャーが中心となり、司会進行を担い、会議を進めていきます。
■ケアマネ抜きのサービス担当者会議ははありえない
ここまで読んでいただいて、ご理解をいただけたと思いますが「サービス担当者会議」において「ケアマネージャー」は最重要な役割を担う職種なのです。
つまり、ケアマネージャー抜きでの「サービス担当者会議」などは、ありえないということですね。
今まで監査などでの指摘は無かったのでしょうか。
適切な施設運営がされていないとの指摘を受けても仕方がない状況です。
「行政指導」を受け、介護報酬の返還などにも通じかねない重たい事象です。
■これからとるべき行動は
では、相談者さんはこれからどのような行動をとるべきなのかを考えてみましょう。
まずは一番信頼のおける先輩や上司に相談されてみてはどうでしょうか。
その現状を知っていなければ、伝えるべきであるし、その現状を把握されているのであれば、どう考えられているかを尋ねてはいかがでしょう。
その上で、そのケアマネ個人によるものなのか、施設全体の組織ぐるみのものなのかを見極め、進退も含め考えてもいいかもしれませんね。
■最後に
最後に、この相談をされてこられた勇気と良心に、感謝申し上げます。
相談者さんが、利用者さんも職員さんと共に、安心して過ごせる環境で働ける日が来ることを強く願っています。
ケアマネとの関わり方に関連したお悩み
ケアマネと介護職員の境目が分かりません。
私は無資格の介護職員なのですが、利用者様の身の回りのお世話をするのが介護職員だと認識しています。
例えば認知症の方の居室のテレビが壊れたというのは介護職員が対応し、家族と連携を取り、解決するものなのでしょうか?
ケアマネは見て見ぬふりで何一つせず、こちらに投げっぱなしです。
介護はチームワーク。コミュニケーションに主体性を持ってみては。
ご質問を拝見し、思っていた業務内容と違う!という思いがあると読み取りました。
そして、役割分担が出来ていない、と疑問を持っていらっしゃるのではないかと思います。
■介護職の役割とは?
まず、「介護職」の役割ですが、おっしゃる通り身の回りのこと、生活全般の支援です。
ただこの生活全般の支援とは、直接身体の介助をしたり、家事の援助をしたり、ということだけではありません。生活環境を整えることも、介護職の役割です。
たとえば施設であれば、その方の居室を生活動線を考慮して家具の配置を変える、手すりなど福祉用具の導入を検討する、好きな物を置くなどしてリラックスできる環境を作る、などです。
人の生活というと、その方がどうやってこれまでを生きてきたかという生活歴や個人の趣味嗜好、環境、既往歴などなど、あらゆる要素が関係してくるので、介護職は様々な視点から、その方の生活とケア方針を考える必要があります。
■ケアマネージャーの役割は、ケアの方向を統一すること
そして、介護職のほかにも、医師や看護師、セラピー職、家族、友人、地域の人など様々な人が利用者の方の生活にかかわっています。介護は、チームワークで行います。
その中でケアマネジャーは、利用者本人の生活の意向を把握し、かかわる人たちのケアの方向を、統一するのが役割です。
■コミュニケーションのズレが原因かも
今回ご質問いただいた内容からは、介護職とケアマネジャーの役割分担というよりは、それぞれがきちんとコミュニケーションを取れていないことに課題があるように読み取れました。
質問文には、「相談にも乗ってくれず」と書いてありますので、もしかしたら質問者さんから投げかけをしたのに、期待した答えが返ってこなかったということなのかもしれませんね。
ケアマネジャーさんがどのような考えを持っていたかわかりませんが、どう対応するか?は、お伝えしたようにチームケアですから、ケアマネジャー個人が考えることではなく、普段その方の生活をみている介護職も、受け身ではなく主体的に一緒に考えることだと思います。
■ではどうすればよかったのか?専門家の意見は…
今回のケースで考えてみましょう。
ケアマネジャーに相談する際に、普段の生活の様子をみている介護職の視点から、今後のしてほしい動きを伝えてみます。例えば、「〇〇さんのテレビが壊れてしまった。普段、部屋で過ごすときににテレビを見る方なので、どうするか家族に相談をしてほしい」といった具合です。
また、家族への連絡は、絶対にケアマネジャーがしなければいけないというものではありません。
(事業所ごとに、決まりがあるところもあるかと思います)
介護職が家族と信頼関係を築くことで、安心感を与えられるというメリットもあります。
■ケアの質向上のために
チームケアにおいて、役割はそれぞれであっても、その方の生活を支えるというケアの方向性は、
一緒のはずです。
チームでのコミュニケーションが密であるほど、ケアの質も上がるのではないかと思います。
歩み寄る姿勢が求められる場面も多くあるかもしれませんが、利用者の方の生活を支えるため、という目的があることであり、介護職の責務です。
■最後に
もし、なんだか上手くコミュニケーションがとれないな、と感じることがあったら、同じチームのメンバーとも課題を共有してみてください。
質問者さんのその発信が、そのチームを変革するきっかけとなるかもしれません。
どの職場でも、コミュニケーションが重要視されています。
ぜひ、今後も同様のことがあったら、主体的に問題解決のためのコミュニケーションをとってみてください。
福岡福祉向上委員会 代表