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要支援者へのリハビリ適正化、利用者にうまく説明するには?

要支援者へのリハビリ適正化、利用者にうまく説明するには?

【回答者:後藤 晴紀】制度の概要と、事業所の役割・期待をふまえてご説明いたします!


本日のお悩み

通所リハビリの主任です。
今年の介護保険改正で、「通所リハを1年利用し効果が出るようにリハビリを行ったあとは、地域のサービスに移行していくように」となりました。
それができない場合は減算となるそうですが、利用者様にご理解いただく説明方法が浮かばず困っています。

すでに何年も継続して来てくださっている要支援の方もいらっしゃり、そんな方にも理解いただける説明方法を教えていただきたいです。
よろしくお願いします。

相談者:小梅さんの さん

制度の概要と、事業所の役割・期待をふまえてご説明いたします!

後藤 晴紀

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/9

けあぷろかれっじ代表 介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士

ご質問ありがとうございます!

法改正とはいえ、ご利用者にとっては、12か月後にはサービスが利用できなくなると不安に感じる方も少なくありませんよね。
そして、その説明は慎重かつ丁寧に行わなければ、ご利用者との信頼関係にも関わってきます。

主任さんも不安かと思いますが、その不安を解消できるように、今後の対応について法改正の概要・要支援のサービス利用の考え方なども踏まえてご回答させていただきます。

「長期間利用の介護予防リハビリテーションの適正化」の概要とは

では、上記の内容を詳しく説明していきます。
まずはご質問の介護保険改正の概要についてです。

近年の受給者数や利用期間及び利用者のADL等を踏まえ、適切なサービス提供とする観点から、介護予防サービスにおけるリハビリテーションについて、利用開始から一定期間が経過した後の評価の見直しを行うといった内容でしたね。
一般社団法人全国デイ・ケア協会から『「活動・参加」に向けたリハビリテーションマネジメントあり方マニュアル』というものも作成されています。

「活動・参加」に向けたリハビリテーションマネジメントあり方マニュアル

(外部サイトに遷移します)

ここでは、通所介護予防リハビリテーションについて
要介護(要支援)認定者数約 667 万人のうち、約28パーセントが要支援者となり、年々増加傾向にあると記されています。
この要支援者の方への早期のリハビリ介入は、要介護状態の予防ともいえる重要な期間となります。

要支援認定者とは、「要介護状態までにはいかないものの、家事や身の回りの支度などの日常生活に支援を必要とする状態」を言います。
状態像としては、 「日常生活上の基本的動作についてはほぼ自分で行うことが可能であるものの、炊事、洗濯等の家事、薬の管理、電話の利用、金銭管理等、生活する上で必要な活動に社会的支援が必要な状態」とされていますね。

事業所に期待されていること

要支援者に対して求められる支援の内容

そして、要支援者に対して事業所に求められる支援は「身体機能の向上」「運動の習慣・継続」「生活能力の向上」の3つです。

これらのことからも事業所はしっかりとした目標設定を行い、その達成に向けた適切な関わりを行うことで、本人をより良い状態で社会参加に資する取り組みへ移行していくことが重要ということが分かりますよね。

目標達成後、どう社会参加するか?も提案できるように

さらに、事業所としても要支援者の目標達成による修了に向けて、社会資源を把握することはリハビリテーションマネジメントを行う上で非常に重要となります。
修了後も途切れなく地域の通いの場に移行できるよう、地域の通いの場の「会場」「開催日時」「内容」等をしっかりと把握することが求められ、総合事業と合わせて、有効な社会参加の手段を提案できるようにしておかなくてはいけません。

平成29年4月から開始されている総合事業は、「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」があり、それぞれの事業の特性を把握し、目標設定に合った個々の修了先を設定することで、要支援者への関わりがより効果的になると思われます。

目的は「地域で自立した生活を送る」こと

上記を踏まえたうえで、フレイルやサルコペニア予防をし、地域や居宅で可能な限り自立した生活を送れるようにサポートをする観点から、この要件が創設されたと考えられます。

適切なサービスを提供し、短期間のうちに「身体機能の向上」「運動の習慣・継続」「生活能力の向上」が行えることで、地域の活動の場で可能な限り自立した生活を送ることが目的という事ですね。

利用者へ説明すること まとめ

以上のことから、利用者へは
① 法改正があった旨
② 状態が改善された後には、他のサービスに移行する可能性がある旨
③ サービスを利用したいと申し出があった場合のサービス利用の可否
④ 12か月間でのサービス利用の目的と目標
⑤ その後のサービスの選択肢

これらの説明を行ったうえで、12か月後のイメージをポジティブに思い描けるように説明をしていきましょう。

ケアマネとの連携も大切

地域資源やその後のサービスの選択については、ケアマネージャーとも連携し、事前に情報収集やご提案ができる環境を整えておく必要があるかと思います。
密に連携を取ってみてくださいね。

ご質問ありがとうございました。
少しでもご利用者へのご説明のイメージができたら幸いです。

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この記事のライター

・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事

介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士

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