本日のお悩み
グループホームに勤務しています。
グループホームでの看取りに加算ができたと思いますが、ユニットのうちの多くが看取りの状態になった場合、特養のような状態になってしまいます。
グループホームとしての機能はどうしたらいいのでしょうか?
また、看取りをすることによって介護報酬をもらえるということは、そのぶん職員の給料も上がるのですか?
「加算」に振り回されない介護、「加算」をうまく活用した経営、その双方を大切に。
グループホームにお勤めなのですね。
認知症の方、おひとりおひとりに向き合いながら、共同生活を支えていらっしゃることと思います。
グループホームにおける看取り介護加算は、特別養護老人ホームでの加算設定から遅れること3年、平成21年度(2009年度)の報酬改定時に設定されました。
以後、現在に至るまで報酬改定の際には加算額や要件の見直しが行われており、これは、国のグループホームに対する重度化対応への期待の表れと言えると思います。
■グループホームが「ミニ特養」化する経緯とは
ご存知の通り、グループホームとは
「認知症の方々が比較的少人数の家庭的で落ち着いた雰囲気の中で、食事や掃除などの日常生活行為を職員たちと共同で行うことにより、 認知症状が穏やかになり安定した生活と本人の望む生活を実現すること」を目的としています。
しかしながら、加齢や入居期間の長期化とともにADLは低下し、認知機能の更なる低下がみられる方も多く出てきます。
こうなると、日常生活行為を共同で営むということも困難になる方が増えていくわけですが、だからといってグループホームを退居していただくわけにはいかず、おっしゃるようにミニ特養のような状態になっていくこともあると思います。
■それぞれの「できること」にフォーカスする
では、このような状態になったときの、グループホームの機能はどうなるのか。
これは重度化された方とそうでない方の、それぞれに合った共同生活の在り方を個々に実現することだと思います。
看取りのフェイズに入った方が、日常生活行為を共同で営むことは困難なことが多いでしょう。
だからこそ、その方が現在「できること」にフォーカスを当て、その時点にあった関わりをすることは考えられないでしょうか。
加算の算定の有無に関わらず、その方の今を大切にした介護を心掛けてみてはいかがでしょうか。
■加算と職員の給料の関係
もう一つの質問、「看取りを行うと給料が増えるか」についてですが、これは法人や経営者の考え方次第だと思います。
また「看取り介護加算」には加算要件を満たす必要があることにもご注意ください。
ひとつ言えることは、多くの経営者たちは単に加算の有無だけで、職員の給与を決定しているわけではないということです。
法人や施設全体の収支のバランス、将来計画、人材の需給状況により、人件費は設定されていきます。
もちろん、看取りを行うことによる「時間外勤務」に対する手当などは発生するとは思います。
また、グループホーム全体の重度化や看取りをする割合の増加により、収入や利益が増えて、その一部を職員の人件費の増額に充てるという考え方も出てくるでしょう。
■グループホームで看取りを行う意義とは?
大切なのは、「加算が付くから看取りを行う」「給与が上がるから看取りを頑張る」というのをモチベーションにすることなく、「グループホームにおいて看取りを行う意義」を一緒に働く仲間たちと議論し、当事者や家族、地域にとって、どのような意味があるのかを意識しながら取り組むことです。
そうすると、看取りに対する見方も変わっていくかもしれませんね。
これから、グループホームが果たす社会的役割はますます増えていきます。
質問者さんが、その一翼を担い続けられることを願うばかりです。
福岡福祉向上委員会 代表