本日のお悩み
社会福祉法人に転職するか、株式会社がやっている介護施設に勤めるか、迷っています。
介護の仕事は初めてなので、働く上で実際何がどう違うのかがいまいちわかりません。
普通の職員にはあまり関係ないのでしょうか?
お給料はあまり変わらなさそうですが、何年も働くと差が出てきたりしますか?
教えてください。
「法人格」よりも大切にしたいこと
初めての介護の仕事とのこと。
この業界へようこそおいでいただき、ありがとうございます。
■「社会福祉法人」と「株式会社」の違いは?
「社会福祉法人」と「株式会社」との選択で悩まれているとのことですね。
まずは、社会福祉法人と株式会社との違いをご説明しますね。
両者の違いはたくさんありますが、働く方にとって意識をしておいた方がよい大きな違いを3つ、私の経験からお伝えしたいと思います。
■違い1 法人の「性質」
第一は法人の「性質」です。
社会福祉法人は「非営利団体」であり、株式会社は「営利団体」であるということです。
つまり、利益を追求するか否かという違いですね。
そして、社会福祉法人は地域福祉の充実・発展という「公共性」も求められており、そのために、株式会社と比べ、「税金」や「補助金」の面では優遇されています。
■違い2 法人の「目的」
第二は法人の「目的」です。
第一の性質にも関連するところですが、社会福祉法人は「社会福祉事業を行うことを目的とする」ことが法で定められています。
一方、株式会社の目的は簡単に書くと「事業を行い、利益を出していくこと」であると言えます。
裏を返せば、社会福祉法人の事業内容は「社会福祉」に限定されていますが、株式会社は定款にさえ謳っていれば自由に事業を営めます。
■違い3 法人の「安定性」
第三に法人の「安定性」の違いです。
社会福祉法人は国や都道府県などの監督官庁、評議員会などのチェックも行われ、安定した経営を常に求められています。
新たな事業をするにも、許認可が必要なケースも多いです。
一方、株式会社は、経営に自由度が多く、経営者次第で大きく発展できることもあれば、地域に根付き、小さく経営することもできます。
また、補助金や税制の面で、社会福祉法人よりも恵まれていないゆえに、資金繰り等により廃業や倒産というリスクも株式会社の方が大きいと言えるでしょう。
■大切なのは、法人や企業そのものを見極めること
上記の3つの違いを見ると、「社会福祉法人」の方が良さそうに思えますが、実はそうとも言えないのが現状です。
「社会福祉法人」でありながら、理念とは裏腹な経営をされているところもあれば、資金面で四苦八苦されているところもあります。
「株式会社」でも「崇高な理念」を掲げ、地域に根付き、住民に愛されている福祉事業者はたくさんあります。
つまり、「社会福祉法人」か「株式会社」か、という法人格の違いではなく、法人や企業そのものを見極めることが大切であると思います。
■良い職場を見極めるには、五感で感じることが大切
見極めるポイントとすれば、「理念」「待遇」「利用者へのサービスの質」「育成体制」「福利厚生」「職場の人間関係」などが大切ですが、たかだか1~2時間の見学や面接では分かりにくいです。
私は、実際に働いている人にしっかりとヒヤリングをしてみたり、自主実習等でじっくりと施設を体験したりすることをお勧めいたします。
自分自身の五感でしっかりと丁寧に感じ、最終的には自分自身で決定することが、後悔なく、末永く働ける秘訣であると言えるでしょう。
質問者さまが、快適に働き続けることができる職場と巡り合われることを切に願っています。
福岡福祉向上委員会 代表