本日のお悩み
施設を辞めた元同僚と久しぶりに会い、「介護職を辞めてほんとに良かった」と言われました。
それを聞いて、自分もこの先どうしようかと考えてしまいます。
自分は介護以外で働いたことがありません。
続けるべき人とそうでない人の違いはどこにありますか?
となりの芝は青い説
茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもみじ館施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員
ご質問ありがとうございます。
元同僚の方との久々の再会。
再会の嬉しさの一方で「介護職を辞めてほんとに良かった」なんて言われたら、現職の質問者さんは本当にガッカリしたことでしょう。
実は私も同じ経験があります。
しかし、私の場合は、介護を辞めて他の業界で働いてみたものの、最初は良かったが、やっぱり介護が自分にあっていたとブーメランのように帰ってきた人がほとんどでしたが・・・。
■介護職を続けるべきか?転職すべきか?
さて、ご質問の件です。
自分がこの先どうしようかと悩んだ時に参考となる「介護を続けるべき人」「転職すべき人」の判断基準をお答えします。
■介護職を続けるべき人は、こんな人
ズバリ介護の仕事を楽しめる人です。
介護の仕事はたいへんだとよく言われますが、そもそも打出の小槌のように何もしなくてもお金が定期的に入ってくる仕事なんてないですよね。
ましてやコロナ禍において、飲食業界や旅行業界などたくさんの業界が大打撃を受け、いっとき補助金で乗り切ったとしても、人々の行動が変わってしまったり、外国人観光客は未だ再開が見通せないなど、半年後、1年後はどうなるか不安を抱えている事業主の方はたくさんいらっしゃいます。
そんな中、慣れない仕事にチャレンジしたものの、最初の新鮮さ、楽しさはありましたが、徐々にノルマなど、数字での実績を求められたり、急な事業変更で当初の希望した仕事や条件でなくなったりとを経験し、やっぱり介護が良かったと戻ってきたのが私の同僚や仲間達でした。
となりの芝は青いんです。
自分の経験を振り返り、「利用者さんと接すること、イベントや行事は楽しいな」「利用者さんの笑顔を見て達成感を得たことがあったな」「人の役に立っている実感を感じたことあるな」のいずれかに該当するのであれば続けるべきです。
■他の仕事に転職すべき人は、こんな人
ズバリ介護の仕事を楽しめない人です。
これは利用者さんを優先し過ぎると陥る状況でもあります。
つまり、利用者さんに一生懸命になりすぎて自分を犠牲にしてしまう方です。
介護の仕事に就く方の大半は人の役に立ちたい、助けになりたいと利他の精神に溢れた方だと思います。
もちろん利用者ファーストの視点は大切ですが、時に自分を追いこんでしまうんですね。
追い込まれてしまったら仕事は楽しくないでしょう。
■転職する・しないに関わらず、まずは自分を大切にする
私は、介護職はまず「自分を大切にする」ことからスタートすべきだと考えます。
誰しも辛そうな人に介護してもらいたくないですよね。
利用者さんに介護させて申し訳ないと思われるかもしれないし、不安感を与えてしまうかもしれません。
仕事とプライベートは切り離し、しっかり身も心もリフレッシュをした上で利用者さんと接するからこそ元気を与えたり、冷静な専門的判断ができるのだと思います。
つまり良いケアにつながるのです。
もし自分をコントロールできていないなと思うならご自分のためにも利用者さんの為にも一度介護を離れるのもありかと思います。
もちろん、「思っていた仕事と違った」というミスマッチングにより仕事を楽しめないのであれば、介護の仕事を辞めても致し方ないと思います。
■仕事を楽しいと感じるための3要素
ということで「介護を続けるべき人」「転職すべき人」の判断基準を「楽しめるか?楽しめないか?」でお答えしましたが、いかがでしょうか?
世の中にはたくさんの仕事がありますので介護以外の職種に魅力を感じても全くおかしくありません。
しかし、どんな仕事も大変さの中に楽しさを見出せるかどうかが重要です。
また、仕事の楽しさは「楽しいと感じる瞬間がある」「参加している」「必要とされている実感」の3要素が大切だそうですよ。
私の経験上、介護の仕事から他職種に転職した方の9割は、同じ事業所ではないかもしれませんが、再度介護の仕事に戻ってきています。
それだけ、介護の仕事には楽しさを感じさせる魅力があると私は信じています。
ご参考になれば幸いです。
茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)