第34回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(介護の基本)

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第34回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(介護の基本)

問題1

Fさん(66歳、戸籍上の性別は男性、要介護3)は、性同一性障害であることを理由に施設利用を避けてきた。最近、数年前の脳卒中(stroke)の後遺症がひどくなり、一人暮らしが難しくなってきた。Fさんは,担当の訪問介護員(ホームヘルパー)に施設入所について、「性同一性障害でも施設に受け入れてもらえるでしょうか」と相談した。
訪問介護員の応答として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.「居室の表札は、通称名ではなく戸籍上の名前になります」
2.「多床室になる場合がありますよ」
3.「施設での生活で心配なことは何ですか」
4.「トイレや入浴については問題がありますね」
5.「同性による介護が原則です」

解答

3.「施設での生活で心配なことは何ですか」

解説

性同一性障害は、生まれ持った身体上の性(=戸籍上の性)と、自認する性が一致せず、持続的な違和感を覚える状態を指します。

1.(×)戸籍上の名前の表札になることがFさんの精神的負担になるかどうか不明ですが、いずれにせよ施設によって対応が異なると考えられます。
2.(×)Fさんが個室を希望しているかどうか不明です。
3.(○)Fさんが受け入れてもらいたい点は何であるのか、まずはニーズを把握することが大切です。Fさんの思いに寄り添い、一緒に問題を解決していく姿勢が望まれます。
4.(×)訪問介護員が問題点を勝手に判断することは不適切です。
5.(×)施設によっては異なる対応も可能であり、Fさんの希望も不明であるため不適切です。

問題2

訪問介護員(ホームヘルパー)が、利用者や家族からハラスメント(harassment)を受けたときの対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.利用者に後ろから急に抱きつかれたが、黙って耐えた。
2.利用者から暴力を受けたので、「やめてください」と伝え、上司に相談した。
3.利用者が繰り返す性的な話を、苦痛だが笑顔で聞いた。
4.家族から暴言を受けたが、担当なのでそのまま利用者宅に通った。
5.家族からサービス外のことを頼まれて、断ったら怒鳴られたので実施した。

解答

2.利用者から暴力を受けたので、「やめてください」と伝え、上司に相談した。

解説

1.(×)ハラスメントが常態化するおそれがあるため、不適切な対応です。
2.(○)利用者や家族からのハラスメントはあってはならないものであり、平時から基本方針として事業所内で意識や対応を統一する必要があります。暴力に対しては毅然とした態度で制止し、上司に報告・相談することが適切です。
3.(×)まずはその場で苦痛は苦痛として表現し、事業所で対応を相談することが適切です。
4.(×)家族から受けた暴言というハラスメントを、担当だからといって個人で抱え込む必要はありません。速やかに上司に相談すべきです。
5.(×)サービス外のことを実施するなど、ハラスメントを受けて相手の要求に従うことは、前例を作ることになり問題を複雑化させます。サービス内容については契約時に了解済みのはずですが、分かりやすく周知していく努力も必要ではあります。

問題3

施設における利用者の個人情報の安全管理対策として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.介護福祉職が個人所有するスマートフォンの居室への持込みは制限しない。
2.不要な個人情報を破棄する場合は、万が一に備えて復元できるようにしておく。
3.利用者からの照会に速やかに応じるために、整理用のインデックス(index)は使用しない。
4.個人情報に関する苦情対応体制について、施設の掲示板等で利用者に周知徹底する。
5.個人情報の盗難を防ぐために、職員の休憩室に監視カメラを設置する。

解答

4.個人情報に関する苦情対応体制について、施設の掲示板等で利用者に周知徹底する。

解説

1.(×)個人所有するスマートフォンの持ち込みは、個人情報の漏洩や不要なトラブルの原因となる可能性があります。
2.(×)情報を復元できる状態で廃棄すると、個人情報が流出して悪用されるおそれがあります。不要な個人情報は、復元不可能な状態で廃棄することが適切です。
3.(×)利用者からの照会に速やかに応じるためには、整理用のインデックス(index)などを使用し、データを探しやすい状態にしておくことが適切です。
4.(○)施設内に掲示したり、ウェブサイトに掲載したりすることで、個人情報に関する苦情対応体制について利用者に周知徹底する必要があります。
5.(×)職員の休憩室に監視カメラを設置することは、プライバシー保護の観点から不適切です。個人情報の盗難を防ぐ目的であれば、データ保管場所への監視カメラ設置は検討に値します。

問題4

利用者主体の考えに基づいた介護福祉職の対応に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.1人で衣服を選ぶことが難しい利用者には、毎日の衣服を自分で選べるような声かけをする。
2.食べこぼしが多い利用者には、こぼさないように全介助する。
3.認知症(dementia)の利用者には、排泄(はいせつ)の感覚があっても、定時に排泄の介護を行う。
4.転倒しやすい利用者には、事故防止のため立ち上がらないように声をかける。
5.入浴が自立している利用者も、危険を避けるため個別浴ではなく集団での入浴とする。

解答

1.1人で衣服を選ぶことが難しい利用者には、毎日の衣服を自分で選べるような声かけをする。

解説

1.(○)安易に介護者が選ぶのではなく、利用者の好みや気温などを考慮して自己決定を促すような声かけをすることが、利用者主体の考えに基づいた対応として適切です。
2.(×)食べこぼしが多い場合は、その原因をアセスメントし、姿勢保持の工夫、食器や食形態の変更、福祉用具の利用などにより、自分で食べ続けられるよう支援します。
3.(×)認知症の患者でも排泄の感覚があるのなら、その感覚に合わせて排泄を誘導することが適切です。
4.(×)事故防止が目的であっても、行動制限により機能低下を引き起こす可能性があります。移動環境を整え、安全に立ち上がれるような声がけをすることが望ましいでしょう。
5.(×)入浴の自立度により強制的に決定するのではなく、利用者の希望に応じて個別浴か集団浴かを決めるほうが適切だといえます。

問題5

Gさん(70歳、男性、要介護2)は、パーキンソン病(Parkinson disease)と診断されていて、外出するときは車いすを使用している。歩行が不安定なため、週2回通所リハビリテーションを利用している。Gさんは、1年前に妻が亡くなり、息子と二人暮らしである。Gさんは社交的な性格で地域住民との交流を望んでいるが、自宅周辺は坂道や段差が多くて移動が難しく、交流ができていない。
Gさんの状況をICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)で考えた場合、参加制約の原因になっている環境因子として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.パーキンソン病
2.不安定な歩行
3.息子と二人暮らし
4.自宅周辺の坂道や段差
5.車いす

解答

4.自宅周辺の坂道や段差

解説

1.(×)パーキンソン病などの健康状態は、「心身機能」に該当します。
2.(×)不安定な歩行であることは、「活動」の制限に該当します。
3.(×)息子と二人暮らしは「環境因子」に該当しますが、参加制約の原因であるか否かは不明です。
4.(○)地域住民との交流における「参加」制約の原因となっている「環境因子」は、自宅周辺の坂道や段差という物理的な障壁です。
5.(×)車椅子は「環境因子」に該当し、「活動」の範囲を広げる手段となっています。

問題6

介護保険制度のサービス担当者会議に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.会議の招集は介護支援専門員(ケアマネジャー)の職務である。
2.利用者の自宅で開催することが義務づけられている。
3.月1回以上の頻度で開催することが義務づけられている。
4.サービス提供者の実践力の向上を目的とする。
5.利用者の氏名は匿名化される。

解答

1.会議の招集は介護支援専門員(ケアマネジャー)の職務である。

解説

1.(○)サービス担当者会議は、介護支援専門員(ケアマネジャー)が招集・主催することで行われます。
2.(×)多くは利用者の自宅で開催されますが、開催場所に関しての規定はないことから、介護支援事業所、利用者が入院している病院、通所施設の相談スペースなどが使われることもあります。
3.(×)回数についての規定はなく、介護計画(ケアプラン)作成時、新規サービス利用時、要介護認定の更新時など、必要に応じての開催となります。
4.(×)ケアプランの内容について情報を共有し、想定される課題や支援方針を検討することが目的です。
5.(×)利用者やその家族、サービス実施担当者などが参加メンバーであり、利用者の氏名が匿名化されることはありません。

問題7

社会資源に関する次の記述のうち、フォーマルサービスに該当するものとして、適切なものを1つ選びなさい。

1.一人暮らしの高齢者への見守りを行う地域住民
2.買物を手伝ってくれる家族
3.ゴミ拾いのボランティア活動を行う学生サークル
4.友人や知人と行う相互扶助の活動
5.介護の相談を受ける地域包括支援センター

解答

5.介護の相談を受ける地域包括支援センター

解説

1.(×)一人暮らしの高齢者への見守りを行う地域住民は、インフォーマルサービスに該当します。
2.(×)家族の手伝いは公的なサービスに含まれないため、インフォーマルサービスに該当します。
3.(×)ボランティア活動は、インフォーマルサービスに該当します。
4.(×)友人や知人と行う相互扶助の活動は、インフォーマルサービスに該当します。
5.(○)フォーマルサービスとは、公的機関や専門職による法律や制度に基づいた公的なサービスや支援のことです。介護の相談を受ける地域包括支援センターは、介護保険制度に基づいたフォーマルサービスに該当します。

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