第34回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(障害の理解)

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第34回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(障害の理解)

問題1

障害者の法的定義に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
(注)「精神保健福祉法」とは、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」のことである。

1.身体障害者福祉法における身体障害者は、身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上のものをいう。
2.知的障害者は、知的障害者福祉法に定義されている。
3.「精神保健福祉法」における精神障害者には、知的障害者が含まれていない。
4.障害者基本法において発達障害者は、精神障害者に含まれていない。
5.障害児は、障害者基本法に定義されている。

解答

1.身体障害者福祉法における身体障害者は、身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上のものをいう。

解説

1.(○)身体障害者福祉法第4条に規定された内容であり、身体障害者は、身体障害者手帳の交付を受けた18歳以上の者と定義されています。
2.(×)知的障害者福祉法において、障害者を法的に定義する条項は存在しません。
3.(×)第5条において、「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者」と定義されており、知的障害者も含まれています。
4.(×)第2条において、「身体障害、知的障害、精神疾患(発達障害を含む)、その他の心身の機能に障害がある者」と定義されており、発達障害者も含まれています。
5.(×)障害児が定義されているのは、児童福祉法第4条第2項です。

問題2

Hさん(45歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)を発症して半年間入院した。退院してからは、障害者支援施設に入所して自立訓練を受けている。2か月ほど過ぎたが、右片麻痺(みぎかたまひ)と言語障害が残っている。妻のJさん(35歳)はパート勤務で、小学3年生の子どもがいて、将来が見えずに不安な気持ちである。
家族に対する介護福祉職の支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.家族の不安な気持ちに寄り添い、今の課題を一緒に整理し考えていく。
2.Jさんの気持ちを最優先して方向性を決める。
3.訓練の様子を伝えるために、頻繁にJさんに施設に来てもらう。
4.家族が困っているので専門職主導で方向性を決める。
5.レスパイトケアを勧める。

解答

1.家族の不安な気持ちに寄り添い、今の課題を一緒に整理し考えていく。

解説

1.(○)将来が見えずに不安を抱いているJさんの気持ちに寄り添った支援が求めれることから、今の課題を整理し、一緒に考えていくことが適切です。
2.(×)JさんとHさんのどちらの気持ちも尊重する必要があり、どちらかを一方的に優先することは不適切です。
3.(×)小学生の子どもがいて、パート勤務をしているJさんに、負担がかかる可能性があります。
4.(×)Hさん本人や家族の自己決定が尊重されるべきであり、専門職主導で方向性を決めることは不適切です
5.(×)レスパイトケアは、一時的に介護から解放することでリフレッシュを促す「介護者のためのケア」です。現段階のJさんの不安を解消することはできないため、最も適切とはいえません。

問題3

Gさんはパーキンソン病(Parkinson disease)と診断され、薬物療法が開始されている。立位で重心が傾き、歩行中に停止することや向きを変えることが困難である。
Gさんのこの症状を表現するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.安静時振戦
2.筋固縮
3.無動
4.寡動
5.姿勢保持障害

解答

5.姿勢保持障害

解説

1.(×)安静時振戦は、安静時に本人の意思とは無関係に四肢が小刻みに震える症状です。
2.(×)筋固縮(筋強剛)は、筋肉が持続的に緊張して硬くなることで、顔がこわばったり、手足が動かしにくくなったり、動作が緩慢になったりする症状です。
3.(×)無動は、動作が次第に鈍くなり、同時に別の動作を行うことが難しくなって、自発的な動きが少なくなる状態です。
4.(×)寡動は、動作が次第に鈍くなり、動き自体が小さく、ゆっくりとなる状態です。
5.(○)姿勢保持障害(姿勢反射障害)では、体のバランスが取りにくくなることで、前かがみの姿勢や突進現象、小刻み歩行、すくみ足などの症状が生じます。これらの症状はパーキンソン病の進行に伴って出現しやすくなるため、転倒に注意が必要です。

問題4

Dさん(35歳、男性)は重度の知的障害があり、地元の施設入所支援を利用している。Dさんの友人Eさんは、以前に同じ施設入所支援を利用していて、現在は共同生活援助(グループホーム)で暮らしている。Dさんは、共同生活援助で生活するEさんの様子を見て、その生活に関心をもったようである。施設の職員は、Dさんの共同生活援助での生活は、適切な援助を受ければ可能であると考えている。一方、Dさんの母親は、親亡き後の不安から施設入所支援を継続させたいと思っている。
介護福祉職が現時点で行うDさんへの意思決定支援として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.母親の意思を、本人に伝える。
2.共同生活援助の生活について話し合う。
3.介護福祉職の考えを、本人に伝える。
4.具体的な選択肢を用意し、選んでもらう。
5.地域生活のリスクについて説明する。

解答

2.共同生活援助の生活について話し合う。

解説

1.(×)本人の意思を母親に伝え、両者で話し合う環境をつくることが大切です。
2.(○)本人の意思を尊重し、グループホームの入所に必要な情報を提供しながら自己決定を促すことが最も適切です。
3.(×)本人の意思を尊重すべきであり、介護福祉職の個人的な考えを主張することは不適切です。
4.(×)具体的な選択肢を用意して選んでもらうことは、不当な誘導につながる可能性があるため、必ずしも適切とはいえません。
5.(×)メリットとデメリットの両方を説明し、本人の意思決定を支援することが適切です。

問題5

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)では出現しにくい症状として、適切なものを1つ選びなさい。

1.四肢の運動障害
2.構音障害
3.嚥下障害(えんげしょうがい)
4.感覚障害
5.呼吸障害

解答

4.感覚障害

解説

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動神経(上位運動ニューロン+下位運動ニューロン)が障害されることにより、身体を動かすために必要な筋肉が徐々に衰えて動けなくなっていく疾患であり、難病に指定されています。

1.(×)運動を司る神経が機能を失う病態であるため、四肢の運動障害はすべての患者にみられます。
2.(×)口や舌などの筋肉も萎縮するため、構音障害が生じます。
3.(×)喉や舌などの筋萎縮により、嚥下障害が生じて経口摂取が困難になります。
4.(○)感覚、意識、視力、聴力、内臓機能などは、多くの患者で最後まで保たれることが特徴です。
5.(×)呼吸筋の低下に伴って呼吸障害が生じるため、人工呼吸器の導入が検討されます。

問題6

障害者への理解を深めるために有効なアセスメントツールの1つであるエコマップが表すものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.家族との関係
2.社会との相関関係
3.認知機能
4.機能の自立度
5.日常生活動作

解答

2.社会との相関関係

解説

1.(×)3世代以上の家族構成と家族関係を図式化したものは、ジェノグラムです。
2.(○)エコマップ(社会関係図)は、障害者を中心として、家族や友人、医療機関、社会福祉機関、行政、ボランティアなどの相関関係をネットワークとして示したものです。
3.(×)認知機能の評価方法には改定長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)やMMSEがあり、重症度評価にはCDRやFASTが用いられます。
4.(×)機能の自立度を評価するツールとしては、バーセルインデックスがあります。
5.(×)日常生活動作を評価する尺度としては、障害高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準などがあります。

問題7

「障害者総合支援法」で定める協議会に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
(注)「障害者総合支援法」とは「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。

1.当事者・家族以外の専門家で構成する。
2.療育手帳を交付する。
3.相談支援専門員を配置しなければならない。
4.国が設置する。
5.地域の実情に応じた支援体制の整備について協議を行う。

解答

5.地域の実情に応じた支援体制の整備について協議を行う。

解説

1.(×)関係機関、関係団体、福祉・医療・教育・雇用に関連する職務従事者や関係者に加え、当事者・家族も協議会の構成員に含まれています(障害者総合支援法第89条の3第1項)。
2.(×)療育手帳の交付は、都道府県知事、指定都市市長、児童相談所を設置する中核市の市長が行います。
3.(×)相談支援専門員が配置されるのは、相談支援事業所や基幹相談支援センターです。協議会に相談支援専門員の配置義務はありません。
4.(×)協議会は地方公共団体が設置します(障害者総合支援法第89条の3第1項)。
5.(○)障害者総合支援法に基づく協議会は、地域の実情に応じた支援体制の整備について協議を行います(障害者総合支援法第89条の3第2項)。

問題8

障害者が障害福祉サービスを利用するために相談支援専門員が作成する計画として、正しいものを1つ選びなさい。

1.地域福祉計画
2.個別支援計画
3.サービス等利用計画
4.障害福祉計画
5.介護サービス計画

解答

3.サービス等利用計画

解説

1.(×)地域福祉計画は、社会福祉法に規定された行政の計画であり、市町村地域福祉計画と都道府県地域福祉計画の2種類があります。
2.(×)個別支援計画は、障害福祉サービス提供事業者のサービス提供責任者が作成します。
3.(○)相談支援専門員が、障害福祉サービスを利用する障害者のために作成するのは、サービス等利用計画です。
4.(×)障害福祉計画は、障害者総合支援法に基づくものであり、市町村障害福祉計画と都道府県障害福祉計画の2種類があります。
5.(×)介護サービス計画(ケアプラン)は、介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成します。

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