マイナビ福祉・介護のシゴト
今後、年齢を重ねていくなかで体力的にこのまま介護職員として働けるのか心配です…

今後、年齢を重ねていくなかで体力的にこのまま介護職員として働けるのか心配です…

夜勤や身体介護など、体力が必要な介護職。 今後、歳を重ねても体力的に働き続けられるでしょうか? そんなお悩みに専門家が回答します!【専門家:伊藤 浩一】


今後、年齢を重ねていくなかで体力的にこのまま介護職員として働けるのか心配です…

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本日のお悩み

介護職として働いている36歳男性です。介護職員として、日勤も夜勤もこなす日々でやりがいも感じながら働けているのですが、やはり体力仕事だな…と思うことも多いです。
40代、50代と自分の今後を考えると、体力的にこのまま介護職員として働けるのか心配になることがあります。
このような悩みは介護職員に多いのでしょうか?漠然とした悩みで恐縮ですが、アドバイスをお願いします。

ガラパゴス介護にならないように

執筆者/専門家

伊藤 浩一

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/14

茨城県介護福祉士会副会長 特別養護老人ホームもくせい施設長 いばらき中央福祉専門学校学校長代行 NPO法人 ちいきの学校 理事 介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント 介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員

ご質問ありがとうございます。

2023年8月に公益財団法人 介護労働安定センターが、「令和4年度介護労働実態調査結果 都道府県版」を発表しました。

さまざまな調査結果の中で私が注目したのは、介護職員の平均年齢です。
なんと、全国の平均は50.0歳、私の住む茨城県は49.9歳でした。

みなさんはこの数字を見てどう思いますか?

●公益財団法人 介護労働安定センターのホームページはこちら
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日本を支える介護職の平均年齢は、50歳と高め

先述の調査結果から「介護職の平均年齢って結構高めだなぁ」と思われたのではないでしょうか。

そうなんです。
今の日本の介護は、質問者さんがおっしゃる体力的にこれからが心配な50歳が支えているのです。

私は、1975年生まれで今年48歳になります。
若い時は、「夜勤5回はやらせてください!」なんて言っていましたが、正直、今できるかと言われると自信がありません。ごめんなさい。

体力の衰えは感じますよね。
また、私の勤務する特別養護老人ホームで働いてくれている同世代の介護職のみんなと面談すると質問者さんと同じく「夜勤が体力的にキツくなってきた。これから不安」という声が聞かれます。

すごくわかります。
これらからも、介護の仕事にやりがいは感じつつも、未来に不安を感じている中年層が多いことがわかるでしょう。

さて、次に日本の人口ピラミッドを考えてみましょう。
日本の人口層が突出して多い層が2層あります。

厚生労働省 人口ピラミッドの変化

団塊の世代(1947年から1950年に生まれた皆さん:74歳〜76歳)と
団塊ジュニア世代(1971年から1974年に生まれた皆さん:49歳〜52歳)の層です。

つまり、介護職員の平均年齢は50歳であったことも踏まえると
日本の介護は、人口層の多い団塊ジュニア世代が支えているという状況なのです。

この図式、冷静に考えるとやばくないですか?
日本の平均寿命(2023年)は、男性81.5歳、女性87.9歳です。

これから本格的に団塊の世代の皆さんが介護が必要な状況になった時に介護職のボリュームゾーンの人々も歳をとってしまいます。またその下の世代は、人口が少ないのです。

今から5年経ったら介護職の平均年齢は、若い介護職が増えない限り、単純に50歳+5歳=55歳になります。
55歳の自分を想像するだけで体力的にキツそうですね。

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介護職も高齢化していく日本 その対策とは

ではどうすればいいのでしょうか。
介護職の平均年齢を下げるのは単純に若い人を増やせばいい訳です。

しかし、日本の子供の数が減っているのは、皆さんもご存知の通りです。
もちろん、介護の魅力を若い世代に発信し続けることは大切ですが、日本人の若い世代だけに望みを託すのは厳しいでしょう。

1.外国人の皆さんと協働することの必要性

高齢化と少子化の日本にとって、この状況を乗り切るためには、若い世代の人数が多い外国人の皆さんと協働することが必然と言えるでしょう。

ネパールやベトナムから見る日本の介護業界についての記事もぜひご覧ください。
下記記事でも、述べていますが、外国人の皆さんと協働することに関しても課題は多いです。
その課題をまずはより多くの人々が知ることが大事と言えるでしょう。

東南アジアから見る日本の介護業界とは?【ベトナム編】 | ささえるラボ

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2.固定概念を捨て、ロボットやICTの活用を進めよう

次の解決策として、私は、介護業務から身体的な負担を減らしていくことが重要だと考えます。

50代になっても体力のある介護職を目指し、日々トレーニングジムに通って体を鍛えるなんて手もありますが、あまり現実的ではないですね。
適度な運動は大切ですが、日々の業務だけでヘトヘトななか、さらにジムで体力づくりに通うなんて…という声も聞こえてきそうです。

では、どのように身体的負担を減らしていくのかについてです。
その具体的な方法としては、介護ロボットやITの導入です。

私の施設では、眠りスキャン(パラマウントベッド)を導入することにより、夜勤の巡回業務を軽減することができました。
当初、反対意見もありましたが、いまや現場の職員たちは眠りスキャンなしでは介護ができないと言っています。

▽眠りスキャンの記事はこちら

夜勤こそ介護の働き方革命!夜勤専従の過去と現在を比較して解説! | ささえるラボ

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夜勤は昔と比較すると随分働きやすくなってきています。 介護職への転職を考えるとき、夜勤についても気になるポイントです。 この記事では、夜勤専従としての働き方について、過去と現在を比較しながら 専門家が回答します!【回答者:伊藤 浩一】

今まで通りの介護を本当に人間がやり続けなければならないのか?

先述の通り、質問者のお悩みである「介護職の高齢化」は大きな課題と言えます。

今までの介護を本当にこれからも人間がやり続けなければならないのか?
そもそも、介護サービスはどこまで行えばいいのか?
日本の介護は手厚すぎないか?

本気で考えなければならない時期に来ていると私は考えています。

介護の概念だけが社会の変化から取り残されていないか?

少し話は変わりますが、皆さんはコンビニエンスストアやスーパーマーケットでセルフレジが増えていることに気が付いていると思います。
ガソリンスタンドはどうでしょう?最近では、スタッフの方がガソリンを入れてくれるガソリンスタンドを探す方が難しいと思います。
以前は人がしていた仕事がセルフの仕様へと、なぜ変化をしたのでしょうか。

おそらく、人材がいないからでしょう。

最近、ある牛丼屋さんに行きました。ここでも配膳や下膳もセルフサービスでした。
私は配膳や下膳は店員さんが行ってくれるものと思っていたため、ちょっとしたカルチャーショックでした。
なぜ、この牛丼屋さんも、セルフサービスに変化したのでしょう。
人件費の削減という観点もありますが、人材がいないという背景も想像できるでしょう。

人件費の削減にしても、人材がいないにしても、いずれにしても
変化せざるを得ない状況があり、そこに適用したと言えるでしょう。

携帯も同様です。
現在、ほとんどの方はスマートフォンを使用していると思います。スマートフォン以前の携帯電話は、今やガラケーといわれています。ガラケーとはガラパゴス携帯電話の略ですね。
ガラケーは、通話やメール機能の発達で作られた携帯電話であり、スマートフォンは、インターネットの使用がしやすいように仕様を変えた新しい携帯電話です。

なぜ以前の携帯がガラパゴス携帯電話と言われるようになったのか?ですが、語源であるガラパゴス諸島は、外部との互換性がなく孤立した島=取り残されたという意味で使われています。つまりガラケーとは社会の変化から取り残された携帯電話の意味になります。

では、介護に話を戻しましょう。

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「介護はこうあるべき」を捨てて、変化に柔軟になろう

「日本人だけで介護した方が良い」
「介護は人のぬくもり、ロボットやICTは信用できない」

そんな意見もわかります。
しかし、介護を受ける対象者の価値観も変化しています。

「夜間何度も部屋に入られたら気になって眠れないから訪室しないで欲しい。」
「他人に介護されるのではれば、ロボットの方がいい。」
「一人の時間を大切にしたいからあまり話しかけないで欲しい」
「音楽はロックしか聞かない」
「日本人より東南アジアの職員の方が優しくて良い」

なんてお話、実際私は聞いています。

「介護はこうあるべき」を捨てて、利用者のニーズの変化、社会の変化、そして自分たちの変化をしっかり捉え、柔軟に変化していきましょう。

ガラパゴス介護にならない。
これが介護職員が高齢化している日本介護を救う唯一の考え方です。

質問者の方もぜひ、視点を変え、これからの働き方を考え変化をさせてみることにチャレンジしてみていただけると嬉しいです。

お悩み相談はこちらから

介護職のお悩み相談はこちら! | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/42

ささえるラボの人気コーナー、専門家が答える「お悩み相談室」では、介護職として働く皆様からの質問を募集しています。

この記事のライター

茨城県介護福祉士会副会長
特別養護老人ホームもくせい施設長
いばらき中央福祉専門学校学校長代行
NPO法人 ちいきの学校 理事
介護労働安定センター茨城支部 介護人材育成コンサルタント
介護福祉士 社会福祉士 介護支援専門員 MBA(経営学修士)

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