Lさん(83歳、女性、要介護1)は、アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)である。一人暮らしで、週2回、訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。
ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が訪問すると、息子が来ていて、「最近、母が年金の引き出しや、水道代の支払いを忘れるようだ。日常生活自立支援事業というものがあると聞いたことがあるが、どのような制度なのか」と質問があった。
訪問介護員の説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.「申込みをしたい場合は、家庭裁判所が受付窓口です」
2.「年金の振込口座を、息子さん名義の口座に変更することができます」
3.「Lさんが契約内容を理解できない場合は、息子さんが契約できます」
4.「生活支援員が、水道代の支払いをLさんの代わりに行うことができます」
5.「利用後に苦情がある場合は、国民健康保険団体連合会が受付窓口です」
4.「生活支援員が、水道代の支払いをLさんの代わりに行うことができます」
1.(×)家庭裁判所が受付窓口となるのは成年後見人制度です。日常生活自立支援事業の実施主体は都道府県または指定都市の社会福祉協議会であり、受付窓口は市町村社会福祉協議会となります。
2.(×)年金の振込口座を本人以外のものに変更することはできません。
3.(×)利用者本人が事業の契約内容について理解できることが利用条件となっています。
4.(○)生活支援員は、税金や公共料金の支払い手続きを支援することができます。
5.(×)日常生活自立支援事業の利用に関する相談・苦情は、居住する市町村の社会福祉協議会内に設置されている運営適正化委員会が受け付けています。
アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type)の、もの盗られ妄想に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.説明をすれば自身の考えの誤りに気づくことが多い。
2.本人の不安から生じることが多い。
3.現実に存在しない人が犯人とされる。
4.主に幻視が原因である。
5.症状の予防には抗精神病薬が有効である。
1.(×)もの盗られ妄想では、自身の行動の記憶そのものが失われているため、説明しても考えの誤りに気付くことはできません。
2.(○)もの盗られ妄想の対象は現金、財布、通帳、貴金属などの貴重品がほとんどであり、大切なものだからと普段とは別の場所にしまい込むことで引き起こされがちです。本人の性格や生活環境なども影響しますが、認知症の症状である記憶障害と不安が重なることで生じると考えられます。
3.(×)本人の身近にいる人ほど犯人にされやすくなります。
4.(×)幻視が原因ではなく、記憶障害による思い込みが原因です。
5.(×)抗精神病薬は主に統合失調症の治療薬であり、副作用として記憶障害を引き起こすことがあります。認知症による妄想に対しては認知症治療薬が用いられますが、まずは本人の不安を受け止める対応が必要です。
認知症ケアの技法であるユマニチュードに関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1.「見る」とは、離れた位置からさりげなく見守ることである。
2.「話す」とは、意識的に高いトーンの大きな声で話しかけることである。
3.「触れる」とは、指先で軽く触れることである。
4.「立つ」とは、立位をとる機会を作ることである。
5.「オートフィードバック」とは、ケアを評価することである。
4.「立つ」とは、立位をとる機会を作ることである。
ユマニチュードは「人間らしさを取り戻す」という意味のフランス語であり、人の関係性に着目したケア技法です。見る、話す、触れる、立つの4つの柱で構成されています。
1.(×)見る際は、正面・近い距離から視線の高さを合わせ、正直であること、平等であること、親近感を抱いていることなどを伝えます。
2.(×)話す際は、低めの大きすぎない声で前向きな言葉を使い、穏やかで心地よい状態をつくります。
3.(×)触れる際は、広い面積で触れ、つかまないでゆっくりと手を動かすことで優しさを伝えます。
4.(○)立つ時間を増やすことで、人間らしさを取り戻すことができると考えられています。
5.(×)オートフィードバックは、今行っているケアの内容を相手に対して実況的に伝えることです。
認知症ケアパスに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1.都道府県ごとに作られるものである。
2.介護保険制度の地域密着型サービスの1つである。
3.認知症(dementia)の人の状態に応じた適切なサービス提供の流れをまとめたものである。
4.レスパイトケアとも呼ばれるものである。
5.介護支援専門員(ケアマネジャー)が中心になって作成する。
3.認知症(dementia)の人の状態に応じた適切なサービス提供の流れをまとめたものである。
1.(×)認知症ケアパスは、市町村ごとに作られています。
2.(×)地域密着型サービスは介護保険サービスの一類型であり、認知症ケアパスは該当しません。
3.(○)認知症の人やその家族が、いつ、どこで、どのような医療や介護サービスを受ければよいかを標準的に示したものです。各自治体のホームページで配布窓口や内容が公開され、住民がいつでも情報を得られるようにされています。
4.(×)レスパイトケアは、ショートステイなどのサービスを利用することで、在宅で介護を担っている介護者が一時的に介護から離れて休息できるよう支援することです。
5.(×)市町村の自治体担当者などが中心となって作成されます。
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