本日のお悩み
会社から、「来月からコロナの影響で、20,000円賃金カットする」と言われ悩んでいます。病気で診断書を出しているにもかかわらず、仕事が無くなると言われ、プレッシャーと追い込みを掛けられました。どのように対処すべきでしょうか。
「コロナ」と「病気」は切り分けて!
■コロナウイルスによる賃金カットについて
新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、現在でも落ち着く状況ではなく、各業界への影響も大きなものとなっております。
コロナの影響で生活自体不安に思われる中、新型コロナウイルスの影響を理由に賃金カットを社長から言われたとのことですが、前回のお悩み相談(2020年4月13日付)で回答したとおり、賃金カット(賃金の引き下げ)は労働条件の不利益変更といって、原則として会社が一方的に労働条件(賃金)を引き下げることはできません。ですので、賃金カットに納得していなければ、受け入れる必要はありません。
コロナウイルスで給料カットの噂が…対策はできますか? | ささえるラボ
https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/138【回答者:伊達伸一】コロナウイルスで給料がカットになるのではないかと噂が流れています。なにか対策を取ることはできるんでしょうか。
■病気で会社を辞めさせられること
また、病気で診断書を出して休んでいるところ、「仕事がなくなる」とプレッシャーをかけられたとのことですが、病気による休暇を理由として、退職を迫っているようです。
労働基準法では、労働者が業務上病気にかかり療養のために休業する期間及びその後の30日間は解雇してはならないとされています(労働基準法19条1項)。病気が業務上のものではなく、私傷病の場合であっても、簡単に解雇することはできません。就業規則で、普通解雇事由として「精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。」が定められているのが一般ですが、解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となる(労働契約法16条)とされており、解雇権濫用法理の適用があります。
あなたは、病気から回復して復職する際、病気で休む前の職場での業務は問題なく行えますでしょうか。もし休む前の職場での業務は難しそうであっても、会社に配転命令権がある場合には、会社は、解雇するにあたって、他の職場で業務が可能かどうかなども考慮しなければなりません。ですので、もし休む前の職場での業務は難しそうであっても、会社の他の職場で働きたいなどの意思表示をして会社と話し合ってみるべきです。
このように、コロナを理由とする賃金カットと、病気で会社を辞めさせられるかは、基本的に別の問題です。問題を切り分けて整理して、会社と話し合ってみてください。
伊達総合法律事務所 代表弁護士