マイナビ福祉・介護のシゴト
【30代の転職】30代の介護職への転職事情と転職を有利にする資格

【30代の転職】30代の介護職への転職事情と転職を有利にする資格

介護職員初任者研修や実務者研修などの介護関連資格は、働きながらでも取得できる資格です。30代ならマイペースで時間をかけて、実務経験を積みながら資格取得を目指すことも可能。資格取得についても紹介します。


30代の介護職への転職事情と転職を有利にする資格

執筆者

ささえるラボ編集部

https://mynavi-kaigo.jp/media/users/3

ささえるラボ編集部です。 福祉・介護の仕事にたずさわるみなさまに役立つ情報をお届けします! 「マイナビ福祉・介護のシゴト」が運営しています。

介護の現場では、さまざまな年齢の人が働いています。このうち、介護施設で働く人の約半数が30~40代ということもあり、30代で介護職への転職を考える人も多いでしょう。特に異業種から介護職へ転職する場合には、専門職である介護職への転職が成功するのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。

じつは、介護職への転職では、資格を取得していると転職活動を有利に進めることができるのです。この記事では、30代で介護職に転職する際に有利になる資格を、介護職の転職事情とともに見ていきましょう。
(出典:介護労働安定センター「平成29年度介護労働実態調査」)

30代を取り巻く介護職の転職事情とは

30代で介護職に転職する際、まず知っておきたいのが介護職を取り巻く転職の現状です。厚生労働省の調査結果を見てみましょう。

施設等で働く介護職員の年齢内訳

・30〜39歳:22.9%
・40〜49歳:24.1%
・50〜59歳:19.9%
となっており、介護職員の約半数が30代と40代であることがわかります。

介護職に就く30代の男女比

・男性:20.4%
・女性:7.9%
この結果から、30代では男性が多く活躍しているといえるでしょう。
介護職には女性が多いといわれているものの、同性介護を基本とする施設も多いことから、さまざまな現場で男性が求められていることが背景にあると考えられます。

また、介護職は他の産業に比べて常勤の採用率が高くなっています。2017年の全産業の採用率が12.1%に対し、介護職員の採用率は20.1%でした。また、厚生労働省の発表では介護業界の有効求人倍率は平均4.09倍と高く、中途採用でも正社員で採用される可能性が高いといえるでしょう。

(出典:厚生労働省「介護労働の現状」:介護労働安定センター「平静29年度介護労働実態調査」)

30代で介護職に転職するメリット

1.働き方が選べる

介護施設や事業所にはさまざまな形態があり、正社員として働いている人だけでなく、パートなどの非正規職員として活躍している人もいます。例えば入所施設では、夜勤を専門として働く夜勤専従という働き方もできます。

また、訪問介護では、自分の希望する時間や日数に合わせて働くこともできます。子育て世代である30代は、現状の生活を維持しながら働いている人もいます。それぞれの条件に合わせて働き方が選べる介護職への転職は可能性が広がると考えられます。

2.働きながら資格を取得できる

介護の現場で働く人のなかには、仕事をしながら経験を積んで介護に関わる資格の取得を目指している人もいます。そのため、施設や事業所でも資格取得に向けた支援を行っているところもあります。

また、介護職は時間外労働の平均時間は8.2時間で、自宅での勉強時間を確保しやすい環境となっています。働きながら資格を取得できる職場環境が整っている点も、メリットのひとつといえるでしょう。

(出典:全国労働組合総連合「介護労働実態調査 報告書」)

3.将来ケアマネジャーになり長く働くことができる

介護職に就く人のなかには、将来的にケアマネジャーを目指す人もいます。ケアマネジャーになるためには、まず介護福祉士資格を取得したうえで5年の経験を積む必要があります。介護福祉士資格を得るためにも3年の経験が必要となるため、未経験からケアマネジャーを目指すと最低でも8年のキャリアを積まなくてはいけません。

30代で介護職に転職すれば、最短で40代でケアマネジャーの資格を得ることができるでしょう。また、居宅介護事業所の責任者になることもできる主任ケアマネジャーの資格は、ケアマネージャーとして5年の経験を積むことが必要です。
将来ケアマネジャーになり、介護職としてキャリアを磨きたいと考えているなら、30代で介護職に転職した方が可能性が広がるといえるでしょう。

30代で介護職に転職したときのデメリット

収入について

30代で介護職に転職したときに、まず感じるデメリットは収入ではないでしょうか。

30代であれば、まだ今後の生活状況が変化する可能性が高い年代です。また、結婚や出産、子育てなどの出費を考えておく必要があります。介護職員の平均賃金(総年代平均)は22.6万円との報告もあり、全産業の平均額30.6万円に比べ8万円の差があることがわかっています。こうした数字を見ると、将来設計を考えるうえで不安になるかもしれません。

しかし、国は2009年から処遇改善に取り組んでおり、介護職員の平均賃金は毎年上がっています。また、2019年10月から同一事業所で10年以上働く介護福祉士がいる事業所には月8万円が加算されるようになり、長く働くほど収入も高くなります。今後も処遇改善は定期的に行われる予定となっており、将来的には収入に対する不安は解消される可能性があります。

(※1出典:全国労働組合総連合の「介護労働実態調査報告書」 ※2出典:賃金構造基本統計調査)

介護職の給料アップにつながる「処遇改善手当て」とは?加算の仕組みや目的を理解しよう | ささえるラボ

https://mynavi-kaigo.jp/media/articles/511

介護業界の人手不足を解消するために国が創設した「介護職員処遇改善加算」。要件を満たした事業所には加算金が支給され、「処遇改善加算手当て」として従業員に配分されます。加算の仕組みや目的などの基礎知識を紹介します。

身体面にかかる負担について

次にデメリットとして挙げられるのが、身体面にかかる負担です。
特別養護老人ホームなど要介護度が高い人が多く入所する施設では、身体介護を行う場面も多くなります。

しかし、腰痛などの身体的負担を理由に退職する人もいることから、国は離職防止や定着促進、生産性の向上を目的として、介護ロボットやICT化の促進を進めています。身体介護の多い施設などでは、すでに介護負担を減らすための機器を導入しているところも増えてきており、身体的負担は今後少なくなっていくでしょう。

また、24時間体制で介護を行う入所施設では一般的にはシフト制が導入されているため、変則勤務に不安を感じる人もいます。しかし、施設や事業所にはさまざまな種類があり、勤務体制も施設によって異なります。例えば、デイサービスなどの通所施設では日勤帯の規則的な勤務体制となっていることが多いでしょう。

自分に合う勤務体制を導入している施設や事業所を選ぶことで、変則勤務に対する不安は解消できるでしょう。

30代で介護職に転職するなら目指したい資格とは

30代で介護職に転職するなら将来の設計図を自分で描いていることも重要なポイントになります。ここでは、代表的な資格を4つ紹介します。

資格名

内容

取得資格

平均取得期間

取得方法

介護職員初任者研修

介護の基礎知識・スキルを保有していることを証明できる入門資格

誰でも取得可能

最短1ヵ月

130時間の講義と演習を受講し修了試験に合格すれば取得できる

実務者研修

サービス提供責任者として働くことが可能
医療的ケア、たん吸引などの実践的スキルの保有者であることを証明できる資格

誰でも取得可能

6ヵ月

450時間以上の学習時間
介護職員初任者研修取得者には科目免除がある

介護福祉士

介護職唯一の国家資格

国家試験に合格

ルートにもよるが90日〜3

3つのルートがある
①養成施設で学ぶルート
②実務者研修を修了し、3年以上の実務経験を積み国家試験受験資格を得るルート
③福祉系学校を卒業するルート

普通自動車第一種免許

日本の行動で自動車及び原動機付き自転車を運転するために必要な免許

18歳以上

 

技能試験と学科試験に合格することが必要。
技能試験は、指定自動車教習所に通い、技能卒業検定に合格するか、運転免許試験場で技能試験を受け、合格する方法がある。
学科試験は運転免許試験場で受験する。


介護職員初任者研修

介護職員初任者研修とは、介護施設や訪問介護で介護職員として働くために必要な、基本的な技術や知識を学ぶための資格です。求人情報の資格要件に記載されることもあり、取得していると転職に有利に働く資格と言えます。介護職員初任者研修には受講要件がないため、誰でも受講することができます。

◆取得するには
130時間の講義と演習で構成された研修を受講し、修了試験に合格すれば取得することができます。職業訓練でも講座が開催されていることもあり、就職前に資格を取得する人も少なくありません。
通信課程の場合、自宅学習のほかにスクーリングを受ける必要があります。介護職員初任者研修に必要な学習時間数130時間のうち、通信課程で習得できるのは40.5時間までとなっており、残りの89.5時間はスクーリングにて学ばなければなりません。そのため、スクーリングの頻度によって取得期間が変わってきます。

◆平均取得期間
最短での研修修了期間はスクーリングで受講するために必要な期間ということになりますが、資格取得に集中できれば、一般的には1か月程度とされています。ただし、介護職員初任者研修を受講する人は働きながら学ぶ人も多いため、平均3~4ヵ月で資格を取得する人が多いようです。

実務者研修

実務者研修とは、介護職員初任者研修から一歩進んだ実践的内容を学ぶ介護資格です。介護職員初任者研修と同様に誰でも受験することができます。

介護福祉士国家試験を実務経験を積んで受験する際には、実務者研修を修了していることが義務付けられています。そのため介護福祉士を目指す人に人気の資格です。

◆取得するには
介護職員初任者研修と同様に通信課程が主流です。2018年4月の統計では、実務者研修の総定員約53万人中約51万人が通信課程で学んでいました。このことから、働きながら実務者研修の資格取得を目指している人が多いと考えられるでしょう。
実務者研修の通信課程は、介護職員初任者研修と同様に自宅学習とスクーリングによって構成されています。習得しなければならない21の科目のうち、介護過程Ⅲと医療的ケア・演習の2科目はスクーリングでのみ取得が可能です。
なお、職業訓練でも講座を開講しており、就職前に実務者研修を修了する人もいます。この場合の受講期間は6ヵ月です。

◆平均取得期間
実務者研修で必要となる習得時間数は450時間以上で、受講期間は原則6ヵ月です。ただし、介護職員初任者研修などを修了している場合には科目免除が認められており、受講期間も所有資格によって異なります。

介護福祉士

介護福祉士は、介護業務に直接かかわる唯一の国家資格です。

転職時に介護福祉士資格を取得している人は介護職の経験があるため、即戦力として採用されることが多いでしょう。また、多くの施設や事業所で資格手当がつくことや経験を加味されるため、初任給も上がりやすい傾向があります。介護福祉士資格は介護職の転職では非常に有利に働くと言えるでしょう。

◆取得するには
A.介護福祉養成施設(厚生労働大臣指定の学校)で学ぶ
B.実務経験を積むなどして国家試験の受験資格を得る
すでに介護職の経験がある人の場合は、3年以上の実務経験と実務者研修を修了することで、介護福祉士国家資格を受験することが可能です。
C.福祉系高校を卒業する

◆平均取得期間
Aの場合は指定の介護福祉士養成施設を卒業後、受験をし合格すれば取得できます。
Bの場合は実務経験3年以上が必要です。
Cの場合は福祉系特例高等学校ルートなら卒業後に実務経験を9ヵ月以上経験し、筆記試験、実技試験に合格すれば取得できます。また福祉系高校ルートなら卒業後筆記試験に合格すれば取得できます。

普通運転免許(普通自動車第一種免許)

介護関連資格以外で介護職への転職に有利な資格が、普通運転免許です。訪問介護では1日に複数の利用者宅を回るため、車での移動が欠かせません。通所施設では送迎業務を介護職員が行うところも多いため、普通運転免許を持っていると転職に有利です。入所施設でも、緊急時の受診や行事で外出するときには介護職員が車の運転をすることもあります。普通運転免許は介護職員に必須の資格ではないものの、介護職への転職では持っておくと面接時のアピール材料のひとつにすることができるでしょう。

まとめ 30代で介護職に転職するときは資格取得を目指す姿勢が大切

30代以上が多く働く介護の現場では、年齢が転職に不利になることはありません。未経験者や無資格者でも採用されることが多く、異業種からの転職でも不安は少ないといえるでしょう。しかし、介護職は専門の知識や技術を必要とする職種でもあるため、介護に関連する資格を取得している人の方が転職を成功させやすい状況です。

30代で介護職への転職を成功に導きたいのであれば、介護職員初任者研修や実務者研修などの資格を取得しておくことをおすすめします。特に、実務者研修は将来介護福祉士を目指す人には必須の資格となります。

事前に介護職員初任者研修を受講し、資格を取得しておき、後は実務を経験しながらステップアップを目指すことも、30代ならマイペースで進めることが可能です。介護職経験者で資格をなにも取得していない場合は、早めに将来設計を立て、希望の働き方やなりたい介護職のイメージを明確にしておくことが転職を成功させるひとつの方法だといえるでしょう。

マイナビ福祉・介護のシゴト 閲覧ランキング
【北海道・東北】
【関東】
【北陸・東海・甲信越】
【関西】
【中四国・九州・沖縄】

この記事のライター

ささえるラボ編集部です。
福祉・介護の仕事にたずさわるみなさまに役立つ情報をお届けします!

「マイナビ福祉・介護のシゴト」が運営しています。

関連する投稿


人間関係の悩みで退職。こんな私が介護職として復帰しても大丈夫?

人間関係の悩みで退職。こんな私が介護職として復帰しても大丈夫?

人間関係の悩みで一度は辞めた介護職。こんな自分が介護職として再度、復帰しても大丈夫なのでしょうか?ー 介護職の方のお悩みに専門家がお答えします。 【執筆者:羽吹 さゆり】


介護職の資格手当はどのくらいが相場?社労士が解説します!

介護職の資格手当はどのくらいが相場?社労士が解説します!

処遇改善以外にも、介護職の給与を増やすうえで、重要になる資格手当。これらの相場はどのくらいなのでしょうか?しかし、手当が高いからという理由だけで、よい職場と判断するのも危険です。法人から支給される給与がどのように決められているのかを理解することで、自分に合う職場が見つかる視点になるでしょう。【執筆者:社労士/山本 武尊】


障害者施設・障害福祉サービスにはどんな種類がある?仕事内容や介護施設との違いも解説

障害者施設・障害福祉サービスにはどんな種類がある?仕事内容や介護施設との違いも解説

障害者向けのサービスの種類は多く、障害者施設でも、利用者の介助などを担う職員の存在が不可欠です。サービスの種類、主な仕事内容、働くために必要な資格、介護施設との違いなど、障害者施設に関する基礎知識を徹底解説します。【執筆:ささえるラボ編集部/監修:望月 太敦】


【生活援助従事者研修】生活援助従事者研修とは? 気になる資格を解説!

【生活援助従事者研修】生活援助従事者研修とは? 気になる資格を解説!

訪問介護サービスにてご利用者様の日常生活の支援を行うことができる生活援助従事者研修について解説します。


【機能訓練指導員】機能訓練指導員とは? 気になる職種を解説!

【機能訓練指導員】機能訓練指導員とは? 気になる職種を解説!

介護施設などのご利用者に対し、身体機能の維持や回復のためのリハビリ等を行う機能訓練指導員について解説していきます。機能訓練士として勤務するに必要な条件などを解説します。


最新の投稿


第104話 スキルアップ/ほっこり介護マンガ

第104話 スキルアップ/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


【事例あり】ご利用者と地域・社会との架け橋となる介護の仕事

【事例あり】ご利用者と地域・社会との架け橋となる介護の仕事

高齢化、人口減少の日本において重要となる「地域と高齢者・障害者を結ぶ取り組み」に注目し、ご紹介します。 茨城県介護福祉士会 副会長、特別養護老人ホームもくせい 施設長でいらっしゃる伊藤先生の講演内容をささえるラボでもご紹介いたします。【情報提供/伊藤 浩一】


陰部洗浄は毎日必要?失禁時の陰部洗浄のポイントとは

陰部洗浄は毎日必要?失禁時の陰部洗浄のポイントとは

「陰部洗浄は毎日必要?どの程度の頻度が適切?」介護職の皆さんから、問い合わせを受けること多いこの疑問について、今回は失禁時の陰部洗浄を考える際に介護職が押さえておきたいポイントを解説します。 【執筆者:大関 美里】


第103話 嫌なことは聞えない/ほっこり介護マンガ

第103話 嫌なことは聞えない/ほっこり介護マンガ

「介護職員・並木マイの ほっこり成長日記 ~転職して、介護の仕事はじめました~」 保険会社から介護の仕事に転職した、並木マイさん(31歳)の成長と 介護現場のあるあるを描く、ほっこり癒し系マンガ! 休憩時間、このマンガを読んだあなたが クスっと笑えてちょっと癒され、ほっこりした気持ちになれますように。


介護職から転職するなら? 経験を活かせる職種や業種、成功のコツを解説

介護職から転職するなら? 経験を活かせる職種や業種、成功のコツを解説

介護職から転職する場合、どんな職種・業種なら経験やスキルを活かせるのでしょうか。おすすめの職種をはじめ、他業界に転職するメリット・デメリット、成功のコツなど、介護職が転職を考えるにあたって知っておきたい知識を紹介します。【執筆者:ささえるラボ編集部】


マイナビ福祉・介護のシゴト
「マイナビ福祉・介護のシゴト」は、福祉・介護職に特化した中途、パート向け求人サイトです。
介護職をはじめ、福祉・介護業界に関連する職種の求人を掲載しています。
本当に自分にあった施設や事業所を、ご自身で手軽に探すことができるよう職場の雰囲気がリアルに伝わる情報を用意することで、適切なマッチングを実現していきます。
【職種から求人・転職情報を探す】