第33回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(障害の理解)

第33回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(障害の理解)

第33回 介護福祉士国家試験の試験科目【障害の理解】の過去問と解説を用意しました。 力試しや国試対策にご利用ください。


第33回 介護福祉士国家試験 過去問と解説(障害の理解)

問題1

ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)の社会モデルに基づく障害のとらえ方に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.個人の問題としてとらえる。
2.病気・外傷から直接的に生じる。
3.さまざまな環境との相互作用によって生じる。
4.治療してできるだけ回復させることを目的とする。
5.医療などによる援助を必要とする。

解答

3.さまざまな環境との相互作用によって生じる。

解説

障害のとらえ方には、大きく分けて、社会環境によって作り出されたものとしてとらえる社会モデルと、個人の問題としてとらえる医学モデルがあります。ICFは、さまざまな要因が複合的に作用していると考え、その人の全体像をとらえる総合モデルを採用しています。

1.(×)医学モデルに基づいた障害のとらえ方です。
2.(×)医学モデルに基づいた障害のとらえ方です。
3.(○)社会モデルに基づいた障害のとらえ方です。
4.(×)医学モデルに基づいた障害のとらえ方です。
5.(×)医学モデルに基づいた障害のとらえ方です。

問題2

リハビリテーションに関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1.語源は、「再び適したものにすること」である。
2.ニィリエ(Nirje,B.)によって定義された。
3.医療の領域に限定されている。
4.自立生活運動とは関係がない。
5.機能回復訓練は社会的リハビリテーションである。

解答

1.語源は、「再び適したものにすること」である。

解説

1.(○)リハビリテーションの語源は、ラテン語の「re(リ)」(再び)+「habilis(ハビリス)」(適した)であるといわれています。
2.(×)ニィリエは、ノーマライゼーションの8つの原理を定義しました。
3.(×)医療の領域に限定されることなく、教育的、社会的、職業的などのリハビリテーションがあります。身体機能の回復のみではなく、全人間的復権がリハビリテーションの目的とされています。
4.(×)自立生活運動とは、障害者自身が地域で生活するために必要な制度や社会の意識を作り変える社会運動のことです。自立生活運動は、社会的リハビリテーションが進展する礎となりました。
5.(×)機能回復訓練は、医学的リハビリテーションです。

問題3

発達障害のEさん(5歳、男性)の母親(28歳)は、Eさんのことを一生懸命に理解しようと頑張っている。しかし、うまくいかないことも多く、子育てに自信をなくし、どうしたらよいのかわからずに一人で悩んでいる様子が見られる。
母親への支援に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.現状を受け入れるように説得する。
2.一時的な息抜きのために、レスパイトケアを紹介する。
3.同じ立場にあるペアレント・メンターを紹介する。
4.Eさんへの発達支援を強化するように勧める。
5.介護支援専門員(ケアマネジャー)を紹介する。

解答

3.同じ立場にあるペアレント・メンターを紹介する。

解説

1.(×)母親の悩みを説得で解決することは困難であると考えられます。
2.(×)レスパイトケアは休息の機会となり、母親の気分転換を図ることができます。しかし、悩みを根本的に解決するための支援とはなりません。
3.(○)ペアレント・メンターは、自らも発達障害のある子の養育を経験し、相談支援に関するトレーニングを受けています。発達障害のEさんを育てる上で悩みを抱える母親に対して、育児経験を生かしたサポートや情報提供を行うことが期待できます。
4.(×)発達支援を強化しても、母親が抱えている悩みの解決にはつながりません。
5.(×)介護支援専門員(ケアマネジャー)は介護保険制度におけるケアプランを作成し、ケアの全体的な調整を図る専門職であり、設問の事例にはマッチしません。

問題4

脊髄の完全損傷で、プッシュアップが可能となる最上位のレベルとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.頸髄(けいずい)(C1~C3)
2.頸髄(C7)
3.胸髄
4.腰髄
5.仙髄

解答

2.頸髄(C7)

解説

プッシュアップ動作とは、腕の力で座面を押して殿部を持ち上げる動作であり、除圧を目的として行われます。また、脊髄の完全損傷では、頸髄以下の機能が麻痺している状態であるため、胸髄や腰髄、仙髄はプッシュアップ可能となる最上位のレベルにはなり得ません。
1.(×)頸髄(C1~C3)の損傷は人工呼吸器が必須となるレベルであり、プッシュアップ動作は困難であると考えられます。
2.(○)頸髄(C7)の損傷では、下肢に麻痺が存在しますが、上肢の肘を伸ばすことが可能です。プッシュアップが可能となる最上位のレベルとなります。
3.(×)胸髄の損傷では、部位により下肢や胴体の麻痺を生じます。
4.(×)腰髄の損傷では、部位により股関節や下肢の麻痺を生じます。
5.(×)仙髄の損傷では、脚力の低下や排尿障害などを生じます。

問題5

筋ジストロフィー(muscular dystrophy)の病態について、適切なものを1つ選びなさい。

1.網膜が変性する。
2.運動神経が変性する。
3.自己免疫が原因である。
4.中脳の黒質が病変部位となる。
5.筋線維に変性が生じる。

解答

5.筋線維に変性が生じる。

解説

1.(×)網膜の変性は、網膜色素変性症の特徴的な主症状です。
2.(×)運動神経(運動ニューロン)の変性は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)で特徴的にみられます。
3.(×)筋ジストロフィーは遺伝性筋疾患であり、自己免疫疾患ではありません。
4.(×)中脳の黒質(ドパミン神経細胞)が病変部位となるのは、パーキンソン病です。
5.(○)筋ジストロフィーは、骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患の総称であり、筋線維に変性が生じ、進行性の筋力低下をきたします。

問題6

「障害者虐待防止法」の心理的虐待に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

(注)「障害者虐待防止法」とは、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」のことである。

1.身体に外傷が生じるおそれのある暴行を加えること。
2.わいせつな行為をすること。
3.著しい暴言、または著しく拒絶的な対応を行うこと。
4.衰弱させるような著しい減食、または長時間の放置を行うこと。
5.財産を不当に処分すること。

解答

3.著しい暴言、または著しく拒絶的な対応を行うこと。

解説

「障害者虐待防止法」における障害者虐待の定義として、養護者による虐待、障害者福祉施設従事者による虐待、使用者による虐待の3つが挙げられています。また、虐待の種類は、身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、放棄・放任(ネグレスト)、経済的虐待の5つとされています。

1.(×)身体的虐待に該当します。
2.(×)性的虐待に該当します。
3.(○)著しい暴言、または著しく拒絶的な対応を行うことは、心理的虐待に該当します。
4.(×)放棄・放任(ネグレスト)に該当します。
5.(×)経済的虐待にに該当します。

問題7

心臓機能障害のある人に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。

1.塩分の制限は必要としない。
2.呼吸困難や息切れなどの症状がみられることが多い。
3.日常生活で外出を避けるべきである。
4.ペースメーカーの装着者は、身体障害者手帳の交付対象から除外される。
5.精神的なストレスの影響は少ない。

解答

2.呼吸困難や息切れなどの症状がみられることが多い。

解説

1.(×)過剰に塩分を摂取すると、体内の水分量が増加して心臓に負担がかかります。心機能障害の有無にかかわらず、血圧コントロールのためにも、適切な塩分摂取を心がける必要があります。
2.(○)呼吸困難や息切れ、手足の冷え、動悸、足のむくみなどの症状が典型的にみられます。
3.(×)筋力や体力を維持するためにも、無理のない範囲で運動を継続することが適切です。
4.(×)ペースメーカーへの依存度や日常生活動作の制限の程度により等級が認定され、1~6級に該当する場合は身体障害者手帳の交付対象となります。
5.(×)精神的ストレスは、心機能障害の誘因となります。

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