介護職向け自己PRの書き方 自分の「強み」を文章にしよう
自己PRとは、これまでの経験から得られた自分の強みを採用担当者に伝えるためのもので、論理的でわかりやすい文章にすることが大切です。さまざまな経験が活かせる介護業界。応募する事業所のニーズとご自身の「強み」の共通点をアピールできるように自己PRを書くことが、転職活動を成功させるコツです。
■執筆者
ささえるラボ編集部です。 福祉・介護の仕事にたずさわるみなさまに役立つ情報をお届けします! 「マイナビ福祉・介護のシゴト」が運営しています。
自己PRとは?
自己PRとは、人材としての自分の強みや魅力をアピールするもので、介護職に限らず転職活動で重要視される情報です。転職活動では、選考過程で履歴書・職務経歴書などへの記入が求められるほか、面接でも質問されることがあります。
採用担当者は、応募者の自己PRを見て、人柄や熱意、考え方といった情報を知り、採用時の判断材料にしています。特に介護職の採用では、学歴や経験以上にコミュニケーション能力や人柄が重視される傾向があるため、自己PRが採否の決め手となる可能性があります。
自己PRを作成する際には、自分を客観視し、端的でわかりやすい文章で自分の強みを伝える必要があります。そのスキルは、仕事をするうえで効率的に介護記録を作成できる、あるいは論理的に考えられることなどにも通じます。自己PRを書くスキルを磨けば、介護職として仕事をするうえでも役立つでしょう。
自己PR作成のポイント
自己PRの書き方には、特に決まりはありません。ただし、効果的な自己PRにするためには、いくつかのポイントがあります。
■1.自分を客観視して強みを見つける
自己PRを書くには、まず自分を客観視して強み(アピールポイント)を見つける必要があります。強みの見つけ方としては「自己分析」を行うことが重要です。
自己分析とは、自身の興味(好きなこと)・価値観(介護職として大切にしたいこと)・能力(得意なことやスキル)を自分自身が理解することです。
自己分析のやり方は様々ですが、まずは自分自身が今までの頑張ったことや熱中したことなどの経験を振り返り、経験を棚卸するといいでしょう。
今までの経験の中で、取り組んだことを思い出し、その取り組みを行った理由や動機を考えてみましょう。その行動の動機こそがあなたらしい自身の強みに繋がることが多いです。
介護業界の経験者の方は以前の職場での取り組みから自身の強みをアピールするとよいでしょう。
[例]
私はおむつ交換の手際がよくなるように頑張った経験がある。よく上司にも褒められていた。
→手際がいいのは、早く手際よく済ませることが利用者の安心につながると思ったから
→先輩に何度もやり方を見ていただきアドバイスをもらったから手際よく上手になった
→私は、利用者に安心してほしいという価値観(介護観)を持っていて、またそのために「努力できる」という強みがある。また先輩に相談できるという「コミュニケーション能力」もある。
というような流れで自己分析をするといいでしょう。
また、自己分析は自分以外の立ち位置からも状況を判断することも重要です。
もし自分が強みだと感じるポイントが複数あるなら、なかでも特に上司や先輩、同僚といった他者からも認められているポイントを選ぶとよいでしょう。
また、自分を客観的に見るためのヒントとして、4つの目を紹介します。「鳥の目」「虫の目」「魚の目」「こうもりの目」と言われる視点です。
▶鳥の目:鳥のように高い位置からマクロ的に見る視点のこと
▶虫の目:虫のように近づいてミクロ的な視点で見ること
▶魚の目:魚のように物事の流れを見る視点のこと
▶こうもりの目:こうもりのように物事を逆さまから見てみること
強みを見つけるときは、これら4つの視点から自分を深掘りしていきましょう。
■2.具体的な体験を盛り込む
自分の強みが見えたら、それをアピールできるエピソードをより具体的にしていきましょう。
例えば自分の強みが「努力できること」であれば、これまでの経験のなかにそれを証明できるようなエピソードがたくさんあるはずです。
具体的な体験を通して強みをアピールすることで、自己PRに説得力が生まれます。
可能であれば、上司や利用者からの評価のコメントや数値で示せる成果などを盛り込むとより伝わりやすくなります。
■3.採用担当者の視点で、自分がどう役立つかを書く
自己PRでは、自分が現場でどのように役立つかを採用担当者の視点で考えながらアピールすることも大切です。応募先の公式サイトや募集要項をよく読んで、理念や経営方針を理解し、それに合う内容にしましょう。
介護施設の採用担当者は、応募者が現場で他のスタッフと連携しながら、自分の強みを活かして、利用者の生活の質をより向上させる介護にあたってくれることを望んでいます。書類を見て、「この人と一緒に働きたい」「この人なら今いる職員とチームで働くことができ、利用者にも喜んでもらえる介護ができる」と思ってもらえるような文章が書ければ理想的です。
介護職向け・ケース別自己PR例文
介護業界には、これまでの経験が活かせる現場がたくさんあります。経験者はもちろん、未経験者も、応募する現場のニーズに合わせた自己PRを作成して転職活動を成功させましょう。介護職向けの自己PRの例文を、経験レベル・ケース別に紹介します。
■【例文1】経験あり/同じサービス形態に転職
特別介護老人ホーム(特養)で介護職として3年の経験があります。要介護度の高いご利用者が多い特養では、体力とチームワークが求められます。そんななかで、私が介護スキルとともに高めてきたのが協調性です。日頃からほかの職員に積極的に声をかけ、現場が和やかな雰囲気になるよう心がけています。
その甲斐あって現在の職場では、職員間の連携がスムーズだと感じています。例えばあるご利用者の食が進まなかったケースでは、看護師とともに原因を探り、栄養士や調理師と相談して食事形態を変更しました。その結果、ご利用者は以前より食事の量が増え、見るからに元気になられました。
就職して3年が経ち、新しい環境で自分がプロとしてどこまで通用するかを知り、さらなるスキルアップを目指したいと思うようになりました。貴事業所においても職員同士で連携を取りながら、ご利用者に満足していただけるサービスを提供していきたいです。
経験者として同じサービス形態に転職する場合は、自分の強みとともに、即戦力として貢献できることを採用担当者に知ってもらう必要があります。上の例文は、3年間の実務経験と職場で良好な人間関係を構築できる協調性に加え、向上心をアピールする内容になっています。
■【例文2】経験あり/別のサービス形態に転職
5年間有料老人ホームで働き、介護スキルを高めてきました。業務のなかでも特に力を入れてきたのが、ご利用者に喜んでもらえるレクリエーションを企画・開催することです。
現在の職場では、当初レクリエーションの参加率が低かったのですが、私が中心となって、ご利用者の要望を取り入れながらさまざまな新しい企画を立案し、盛り上げ方を工夫したところ、参加率が約2倍になりました。
通所介護施設(デイサービス)への転職を考えた理由の一つが、よりレクリエーションの頻度の多い施設で働くことで、自分の得意分野を活かせると思ったからです。貴事業所でも、多彩なレクリエーション企画を通して、ご利用者の身体機能の維持、生きがいの創出に貢献できればと思います。
一方、同じ介護業界でもサービス形態によって職務内容は変わります。応募する事業所のサービス形態の特徴を踏まえてアピールする必要があります。例文では、「レクリエーションの企画・開催」という得意分野に加えて、通所介護施設(デイサービス)で働きたい理由を絡めて、やる気や採用後のビジョンも伝えています。
■【例文3】未経験/他の業種から転職
私の一番の強みは、長年、メーカーの営業職として培ってきたコミュニケーション力です。
メーカーの営業担当者の仕事は、顧客のニーズを引き出して技術部門に伝え、ともに商品開発を進め、顧客に商品を売り込むことです。一年目は苦労しましたが、顧客の声にも社内の開発担当者の声にもじっくりと耳を傾け、丁寧に交渉を重ねることで、毎年順調に営業成績をアップさせてきました。
このスキルは、有料老人ホームである貴事業所でも、ご利用者のニーズの把握と介護サービスの満足度向上に役立つと考えています。
介護サービスの利用者にはさまざまなバックグラウンドの人がいるため、利用者をより理解する、身近な視点で話ができる、という点ではどのような経験も役立ちます。また、他の業務で身につけたスキルも介護の現場で活かせるものがたくさんあります。
例えば長年営業担当として働いてきた人であれば、高いコミュニケーション能力は介護の現場でも十分発揮できるはずです。例文のように、自分のスキルが応募先の事業所でどう役立つかをアピールすると印象的です。
■【例文4】未経験/ブランクありの再就職
以前は大学で事務職員をしていましたが、育児のために10年以上仕事を離れていました。
介護職は未経験ですが、これまで子育てや家事で身につけてきた物事を同時に処理する能力を介護職として活かしていきたいです。
また、学校のPTA活動では、本部役員として多数の保護者の意見をまとめてきました。この経験も、チームワークに活かせると考えています。
昨今、未経験者から介護職に応募する人が増えています。未経験でブランクが長い場合、アピールできる経験や強みが何もないと思ってしまいがちですが、未就業期間に体験したことが強みになる可能性もあります。
介護現場では、ほかの職員とコミュニケーションを取りながら、利用者のニーズを瞬時に把握して、優先順位をつけて支援にあたることはよくあります。上の例文のように、子育てやPTA活動で得た経験を介護業務に結びつけてアピールすると、未就業期間も人間力を高める時間に費やされたことが伝わります。
その他の職種向け・職種別自己PR例文
■【例文1】ホームヘルパー(訪問介護員)への転職
主に入居型の施設で介護職として働いてきました。昨年、介護職員実務者研修を修了しています。
私の強みは、ご利用者の些細な体調の変化に気づきやすいことです。新人の頃から上司の教えを守り、常にご利用者の様子や表情をよく見るよう心がけることで、観察力を磨いてきました。これまで勤務してきた職場では、私が異変を察知して迅速に看護師や往診医に連絡した結果、大事に至らずに済んだケースが何度もありました。
最近は、地域福祉の必要性を実感していて、ホームヘルパーになってご利用者が住み慣れた家でその人らしく生きていく支援をしたいと考えています。貴事業所でも、介護職としてのスキルと経験を生かして、ご利用者の健康維持やQOL向上に貢献できればと思います。
ホームヘルパー(訪問介護員)は、利用者の自宅を訪ねて介護サービスや生活援助を行う仕事です。基本的に一人で業務にあたるため、介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)・介護職員実務者研修(旧ヘルパー1級)・介護福祉士のいずれかの資格を持っていることが転職の条件になります。
例文では、「利用者の変化にいち早く気づける」という介護職としての強みと具体的なエピソードを紹介し、ホームヘルパーになりたい理由を絡めて貢献できる人材であることをアピールしています。
すでにホームヘルパーの経験がある場合は、ホームヘルパーとしての強みや経験をアピールしましょう。
■【例文2】ケアマネジャー(介護支援専門員)への転職
これまで介護職として、通所介護(デイサービス)や訪問介護、特別養護老人ホーム、グループホームと、幅広いサービス形態の施設で働いてきました。
介護職として私が大切にしてきたのは、ご利用者はもちろん、そのご家族にも丁寧に対応することです。例えばご利用者の様子を聞かれたときには、ただ「お元気ですよ」と答えるのではなく、日常の様子をできる限り具体的にご説明しています。ご家族から感謝の言葉をいただく機会も多く、信頼していただけていると自負しています。
昨年、資格を取得したばかりで、ケアマネージャーは未経験です。しかし、介護職として多数のご利用者やご家族と接し、多様な現場を見てきた経験は、必ずケアマネージャーの仕事にも役立つと考えています。
ケアマネージャー(介護支援相談員)は、 介護施設や居宅介護支援事業所で、利用者自身やその家族からの相談を受けて、介護のケアプラン(サービス計画書)を作成し、関係する事業者との連絡・調整を行います。ケアマネージャーになるには、介護福祉士や看護師などの医療福祉系の国家資格を持ち、5年以上の実務を経験したうえで、ケアマネージャーの試験に合格しなければなりません。
十分な経験とスキルに加えて、人間性も重視される職種なので、それを考慮して自己PRを作成しましょう。例文は未経験者のケースですが、「利用者とその家族への対応力」という介護職としての強みと多様な現場経験が、ケアマネージャーの仕事にも役立つことをアピールしています。経験者は、ケアマネージャーとしての自分の強みや実績をアピールしましょう。
■【例文3】生活相談員への転職
有料老人ホームの介護職として5年間勤務した後、2年間、同施設で生活相談員を勤めました。仕事をするうえでの私の強みは、責任感の強さです。
生活相談員は、ときにはご利用者やご家族から対応が難しい相談や意見を伺うこともありますが、現場の介護職やケアマネージャーとも連携しながら解決策を探ってきました。無理な要望の場合は、対応できない理由をきちんと説明するようにしています。勤務先が実施したご利用者のご家族へのアンケートでは、相談対応の誠実さを評価する声が多数寄せられました。
貴事業所でも、これまでの経験をもとに、1件1件の相談対応をご利用者やご家族が納得してくださるまで責任感を持って遂行したいと考えています。介護職としてご利用者と接するのも好きなので、現場の業務もできる限りサポートしていきます。
生活相談員は、主に特別養護老人ホームや通所介護施設(デイサービス)などの介護施設で、利用者やその家族に入所の説明をしたり、入所後のさまざまな相談に対応したりする仕事です。社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格のいずれかの資格が必要ですが、自治体によっては実務経験があれば資格なしでも生活相談員になれる場合もあります。
ときには無理な要望やクレームにも対応する必要があり、責任感や忍耐強さ、高いコミュニケーション力が求められる職種です。経験に関わらず、適性をしっかりアピールすることが大切です。経験者は、例文のように具体的なエピソードを通して、即戦力として役立つことをしっかり伝えましょう。未経験者は、生活相談員を目指したい理由を加えてアピールしてもよいでしょう。
■【例文4】サービス提供責任者への転職
入居型の施設で2年勤務した後、6年間ホームヘルパーを続けてきました。訪問介護の仕事は、ご利用者のご自宅で多様なニーズや生活スタイルに合わせて業務を進めなければならないため、柔軟な対応が求められます。
私自身、経験が浅いうちは対応に悩むことも多々ありましたが、勤務先の先輩たちやサービス提供責任者のサポートを受けながらスキルを高め、どんなケースでも臨機応変に対応できるようになりました。
次は私自身がヘルパーを支えるサービス提供責任者を目指したいと思うようになり、2カ月前に介護福祉士の資格を取得しました。サービス提供責任者は未経験ながら、これまでの経験と対応力を活かして、ご利用者と現場のヘルパーの架け橋になれるよう努めます。
サービス提供責任者は、主に訪問介護事業所で、利用者とヘルパーとの間に立って、連絡・調整を行うコーディネーター的な役目です。ケアマネージャーが作成したケアプランをもとに、訪問介護サービスのプラン作成やヘルパーへの指示・指導を行います。サービス提供責任者になるには、実務者研修か介護福祉士の資格取得が必要です。
自己PRでは、訪問介護というサービス形態の特徴をしっかり意識したうえで、自分がサービス提供責任者として貢献できる人材であることを伝える必要があります。
例文では、未経験者として、ホームヘルパーとしての自分の強みや経験とともに、サービス提供責任者を目指す理由や意気込みをアピールしています。経験者の場合は、サービス提供責任者としての強みや実績を盛り込みましょう。
自己PRと志望動機の違いは?
選考書類を書く際には、自己PRと志望動機を混同してしまうことや同じ内容になってしまうこともあるようです。自己PRは、相手の目線に立って「自分の強みや仕事上のこだわり」と、「それがどう役立つか」を伝えるのが基本。一方の志望動機は、自分目線で「応募先の事業所で働きたい理由」と「採用された後に実現したいこと」を伝えるものです。
両者の根本的な違いを認識したうえで、それぞれのテーマに則した文面を書くことが大切です。ただし、文章の流れによっては、自己PRの中で志望動機に触れるケースやその逆のケースもあるでしょう。
また、履歴書や職務経歴書によっては、自己PRと志望動機を同じ欄に書く形式のものもあります。その場合は、両方の要素を盛り込んだ文章にするか、同じ欄内にそれぞれ同程度の文章量で分けて書くとよいでしょう。
アピールポイント例
自己PRでアピールする強み(アピールポイント)は、人それぞれです。介護業界に転職する場合の自己PRのアピールポイントの例を紹介します。
■コミュニケーション力がある
介護業界では、どの職種でも利用者やその家族と接する機会があるため、コミュニケーション力が不可欠です。高いコミュニケーション力をアピールできれば、未経験もしくは経験が浅くても、採用の可能性は十分にあります。
■協調性がある
介護の現場では、ほかの職員との連携・チームワークが重要です。性格や意見が異なる人たちともうまくやっていける能力やそれを示す経験は、有効なアピール材料になります。
■気配りができる
介護職は、利用者の様子や体調の変化に常に気を配る必要があります。気配りができる、よく気が利く、思いやりがあるといった長所は、利用者目線のサービスにつながるため、介護職としての適正をアピールことができます。
■リーダーシップがある
介護職は中堅・ベテランになると、チームリーダーや管理職を任されることがあります。経験・スキルとともにリーダーシップを備えた介護職は、どこの施設でも求められる人材です。新人を適切に指導できる育成力をアピールするのもよいでしょう。
■柔軟性がある
介護サービスの利用者とその家族はそれぞれ異なる感覚や価値観、ニーズを持っているので、職員には相手やケースに応じて柔軟に対応できる力が求められます。また、介護の現場では、利用者の転倒や誤飲といったリスクにも常に備えなければなりません。予期せぬトラブルの際に臨機応変に対応できるスキルも必要です。
■向上心がある
介護業務は、基本的には、着替え、排泄、食事、入浴といったケア労働の繰り返しで、数字で成果が現れる仕事ではありません。サービスの質を高めていくには、現場で働く職員が、理念や目標を持って、スキルを磨いていく必要があります。資格を取って専門知識を身につけたい、認知症や最新のケアについて学びたいといった向上心がある人は、どの施設でも歓迎されるでしょう。
■体力がある
体位変換や移乗介助といった身体介護を伴う介護業務は、基本的に重労働です。加えて、入居型の施設では夜勤をこなさなければなりません。特に未経験からのチャレンジの場合、体力に自信があることはポイントになるでしょう。
なお、記入するスペースにもよりますが、自己PRでは、複数のアピールポイントを挙げるよりも一つに絞るほうが、訴求力を高めることができます。複数の強みがある場合は、応募する事業所で最も役立つものを選びましょう。
自己PRづくりは自分のためのもの
自己PRは履歴書だけでなく、自分のキャリアの見直しにも役立ちます。自己PRをつくるプロセスで、改めて自分らしい働き方や将来の設計が見えてくるかもしれません。転職活動のイメージが漠然としている人も、まずは履歴書や自己PRを作成しながら、今後のキャリアを考えてみませんか?
面接官のホンネは?介護職の自己PRを、採用側の視点から見つめます
ここからは、
・実際の面接で、面接官にどのようなことをPRすれば響くのか?
・自己PRできることが見つからない時の対処法
・無資格未経験の方のPR について
専門家の後藤先生にお話をお伺いしました。
こちらもお役立てください。
■執筆者/専門家
面接官に響く自己PRとは
実際の面接では、面接官にどのようなことをPRすれば響くのでしょうか?
① チームでの協調性
② 積極性
③ あなたの直近の目標
④ 何がやりたいかではなく、何ができるか
この4つをPRすると、面接官はあなたに興味津々になることでしょう!
一つずつ解説していきます。
■① チームでの協調性
介護の仕事はチームプレーだから、協調性が必須
事業所での業務はチームプレーです。たとえ1人でご利用者の対応をする訪問介護においても、そのご利用者の情報共有や、他のヘルパー・ケアマネージャーとの連携が必須です。
そのため、どの事業形態の面接官であっても協調性のある求職者を求めています。
具体的にどんなことをアピールすればいい?
「協調性がある」とは、言われたことを何でも受け入れるということではありませんよね。
自分の事を理解してもらいながら、利用者への支援に活用していけるよう、質問や提案をして利用者との関係を築いてきたことがPRできれば、好印象になります。
同僚と喧嘩をしたり争うのではなく、対話をし続けることで、ご利用者や事業所理念を中心とした提案や議論ができる事を伝えましょう。
同時に、日々の支援を通して、個人としてもチームとしても成長できる働き方をアピールしてみてください。
■② 積極性
資格を持っている場合は、取得した動機も付け加えましょう
協調性を伝えることで、既に、受け身ではない積極的な人物像をアピールできているでしょう。
仮に資格を複数保有している場合は、なぜその資格を取得しようと思ったのかをPRできると、より好印象になります。
自分の職種とは全く違う資格であっても、自己研鑽や興味関心があったことを伝えると、積極的な人物像の印象は、より大きなものとなります。
介護職以外のこれまでの経験も、あなたの強みとしてPRしてくださいね。
■③ あなたの直近の目標
趣味の目標でもOK!目標や目的をもって生活していることをアピールしましょう
さらに積極性を印象付けるために、自分の直近の目標をPRしてみましょう。
こちらも資格取得など仕事上の目標はもちろん、趣味などの興味・関心がある事に関する目標でも構いません。
面接官は、求職者が目標や目的をもって生活しているということを評価します。
興味・関心があることに対する目標であれば、あなたの意外な一面を発見でき、面接官に興味を持ってもらえるかもしれません。
目標達成のためにやっていることもアピールしましょう
ここでの大切なポイントは、目標達成のために何をしているか?どのようなアクションをしているか?を具体的に伝えることです。
ただ目標を掲げるだけでなく、その目標に到達するための行動について話しましょう。
仕事に関連する目標の場合は、その目標が達成されたりチャレンジすることで、職務上どのように活かせるのかを説明してみましょう。
■④ 何がやりたいかではなく、何ができるか
「想い」だけでなく、実際の能力をアピールしよう
面接官は、「介護職をある程度経験した人であれば、排泄介助や食事介助、入浴介助は一通り出来て当たり前ですよね?」という目で求職者を見ています。
無資格未経験であれば「技術を身に着けたい」という目標は適切ですが、経験者の場合、そうはいきません。
介護技術はあくまで手段であり、その上でどのような生活を提供することができるのかを伝えれば、面接官の心を掴むことができるでしょう。
自己PRできることが見つからないときの対処法
自己PRできることがない人なんて絶対にいません!執筆者の後藤は、そう思っています。
あなたがその強みに気付けていないだけ!あなたの経験から、ご自身の強みを振り返って考えてみましょう!
■「人の役に立ちたい」の根底にあることを深掘りしてみましょう
自分と対話してみよう
あなたは、なぜ介護職として働きたいと思ったのですか?
こう質問すると、たいていは「人の役に立ちたいと思ったから」という答えが返ってきます。
では、なぜ人の役に立ちたいと思ったのでしょうか?
もっと具体的に考えて、あなたの言葉で話せるようにしてみてください。
そして、自分はそれに対してどのようなことができるかもしれないと思ったのか、具体的に思ったことをノートに書き出してみてください。そこに書いてあることこそ、あなたがPRできる強みですからね。
面接官が求めているのは、抽象的で「それっぽい」返答よりも、より具体的で「あなたらしい」答えです。
■捉え方を変えると、短所は長所に生まれ変わる!
面接で短所を聞かれたとき、「私は人見知りです」と答えたとします。
しかし、介護職員は対人援助職であり、そもそも同僚やご利用者と関わりながら働く専門職です。
人見知りという短所を伝えただけでは、先輩職員やご利用者との人間関係を築くのが難しいのではないかと、面接官の不信感を煽ってしまいます。
短所を長所に変える具体例~人見知りの場合~
これまで人見知りという事は自覚していましたが、自分を振り返ってみると、人へ何かを伝えるよりも人の話を聞いてあげることが得意な事に気が付きました。
ご利用者の皆さんの話をたくさん聞いて、その想いを叶えたいと思います。
先輩スタッフさんとも連携しながら、情報を吸い上げていく事は得意です。
このように具体的な内容を伝えると、「人見知り」という短所が「話を聞くことが得意」という長所に生まれ変わります。
■介護職未経験の人は、どんなことをPRすればいい?
介護職未経験者がアピールすべき4つのこと
未経験の方のPRポイントについては、以下の4つを織り込んで伝えましょう。
①これまでに熱中したものごとや、その時掲げていた目標
②その法人のどんなところを魅力に感じたか
③新たな挑戦の場として、介護業界に入職したいと思った理由と、どんなことができるようになりたいと思っているのか
④資格取得への意欲や、介護職について調べてみて感じたこと
自己PRと志望動機を織り交ぜるのが得策
未経験の方については、何ができるか?よりも、どのような事がしたいのか?という視点でアピールしていきましょう。
介護職の経験がないと、実際に働いたときどのように自分が貢献できるのかイメージがつきにくいと思います。
そのような場合には、上の4つを組み込んで、志望動機を織り交ぜた自己PRを作ることが得策と言えるかもしれません。
未経験者が面接前にやっておくべき3つのこと
自己PRを作るために
・介護という職業を調べてみる
・初任者研修などの取得できる資格は事前に取得しておく
・入職を希望している施設のホームページから情報を集める
などの事前準備をしてみましょう。
これらを行う事で、介護業界や介護の仕事に触れることができ、全く知らない状態から、少し介護のことを知っている状態になります。
すると、あなたの考えが整理しやすくなると思いますし、自分ができることやあなた自身の強みに気付くきっかけにもなります。
こうして準備に費やした行動や時間が、面接官へ本気度を示すことになるでしょう。
マンガでまとめ♪
マンガ監修:望月太敦(公益社団法人東京都介護福祉士会 副会長)
ささえるラボ編集部です。
福祉・介護の仕事にたずさわるみなさまに役立つ情報をお届けします!
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