立ち上がり介助が上手くできない…
■本日のお悩み
両脇に手を置いて「1、2、3」の「3」で体を持ち上げるのですが、私がやるときだけ立ち上がれず困っています。
最初は上手くやれていたのですが、最近失敗のほうが多く、そのことが頭から離れません。
立ち上がり介助がうまくいくポイントなどについてアドバイスをよろしくお願いします。
■執筆者/専門家
けあぷろかれっじ 代表 ・NPO法人JINZEM 監事 介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士 『介護福祉は究極のサービス業』 私たちは、障がいや疾患を持ちながらも、その身を委ねてくださっているご利用者やご家族の想いに対し、人生の総仕上げの瞬間に介入するという、責任と覚悟をもって向き合うことが必要だと感じています。 目の前のご利用者に『生ききって』頂く。 私たち介護職と出会ったことで、より良き人生の総仕上げを迎えて頂ける為のサポートをさせていただく事が、私たちに課せられた使命だと思っています。
半身麻痺の方の立ち上がり介助の方法ですね!
頭の中でイメージするのと、実際に行うのとでは、分かっているつもりでも、なかなか上手にサポートできないですよね。初めはうまくいっていたとのことですが、力任せに持ち上げていただけかもしれませんので、基本を押さえたうえでご自身で行っていた方法を振り返ってみてください。
私も仕事を始めたころはうまくできずに、悩んだ経験がございます。
ポイントごとに分けて、説明させていただきますね。
ボディメカニクスを活用した立ち上がり介助を行いましょう!
双方の負担を減らすための方法として身体力学を活用したボディメカニクスという介助技術があります。
介護技術の移乗動作や立位動作など、様々な場面で活用しますので、それぞれの活用方法などを今一度ご確認いただきたいと思います。
今回ご質問頂いた立ち上がり介助の主な場面では、
・介助者やご利用者の支持基底面積を広くとる
・大きな筋肉を使用する
・介助者の重心を低く落とし、重心移動でサポートする
等がポイントとなりますが…言葉だけで表すには難しい表現ですよね。
もう少しわかりやすくご説明しますね。
■立ち上がり介助のポイント6つ!
立ち上がり介助のポイントは以下の通りです。
2.利用者さんに浅く座ってもらう
3.『こちらの足を引いていただけますか?』など声かけをする
4.手前に引きあげるイメージで、立位動作を補助する
5.麻痺がある場合、麻痺側の膝折れを支える
6.苦痛などがないか観察、確認する
■1.立ち上がるための同意を得る
うなずくことや言葉での返答で、利用者さんに伝わっているかどうか確認ができると思います。
ご本人がこれから立ち上がることを理解していないうちに、力任せに持ち上げようとしてしまった場合は、ご本人は立ち上がるばかりか、怖さを感じて体に力を入れてしまいます。
そこで、『私が支えていますから、立ち上がっていただいてもよろしいですか?』など、立ち上がるための声掛けは忘れないようにしましょう。
■2.利用者さんに浅く座ってもらう
お尻の位置を座面の少し手前に引いていただき、立ち上がりの動作がスムーズになるようサポートしましょう。
■3.『こちらの足を引いていただけますか?』など声かけをする
この際、足底がきちんと床についているかが重要なポイントとなりますので、確認を行いましょう。 麻痺側の足は膝よりも前に来るよう場所を変えて差し上げてください。 両足が引かれている状態だと、立ち上がった際に前のめりに転んでしまうので要注意です。
※健側:ケガや麻痺による障害を受けておらず、通常どおりに動かせる側の下肢や上肢のこと
■4.手前に引きあげるイメージで、立位動作を補助する
足底に体重が乗ると、太ももの前方(大腿四頭筋)やお尻(大殿筋)の大きな筋肉に力が加わり立ち上がりやすくなります。
■5.麻痺がある場合、麻痺側の膝折れを支える
膝折れを防止する方法はいくつかありますが、私が行っている方法は、膝が外側に向かって開いてしまう場合であれば、自分の膝を利用者さんの膝の外側に合わせるように置くことで、外側に開いてしまうことを防ぐ方法です。
前方に膝折れがある場合には、利用者さんの足の外側に自分の足を付け、自分の脛骨とご利用者の脛骨をクロスするように添えておきます。押し付けることのないよう注意してください。
■6.苦痛などがないか観察、確認する
立ち上がった際には起立性の低血圧などを起こされていないか確認する意味でも、『ご気分悪くありませんか?』などとお声掛けするのが良いと思います。
※介助時の注意点※
2.立ち上がる際は急かさず「ゆっくり」と
3.軽介助の場合は利用者さんとの「スペース」を大切に
ー1.「リフト」と「シフト」の違いを覚えておこう
持ち上げる(リフト)は 2人介助などで頭部と足をそれぞれ持ちながら移乗する際などに活用します。「リフト」と「シフト」の違いは必ず覚えておきましょう。
ー2.立ち上がる際は急かさず「ゆっくり」と
急に力任せにシフトしても、びっくりされてしまい、利用者さんの体に余計な力が入ってしまいます。 利用者さんご自身の力を発揮できるように支持して差し上げてください。
ー3.軽介助の場合は利用者さんとの「スペース」を大切に
利用者さんの立ち上がる力が弱いときには、腋下ではなく、肩甲骨まで手を差し入れて立位動作の補助を行うとスムーズかと思います。
■立ち上がり介助の練習はどのように行う?
ー利用者さんの状態を自分で再現してみましょう
・浅く座る
・足を引く
・床に足底をつける
・前傾になる
→これらのような姿勢だと、太腿の筋肉に力が入ることを感じることができるはずです。
・深く座る
・足を投げ出す
・頭を前に倒さずに立ち上がろうとする
→このようなときはどう頑張っても絶対に立ち上がれないと思います。
最後に:マンガで立ち上がり介助のポイントを確認!
正しい動作を繰り返し反復することで、よりスムーズになり質問者さんの力となります!
慣れるまでは大変だと思いますが、応援しています!頑張ってください!
最後にマンガで立ち上がり介助のポイントを復習しましょう。
マンガ監修:望月太敦(公益社団法人東京都介護福祉士会 副会長)
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・けあぷろかれっじ 代表
・NPO法人JINZEM 監事
介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、潜水士